USB Audio Player PRO + HERUS

 当ブログでは2013年11月に「HERUS」を紹介し、Androidでは「USB Audio Recorder PRO」というアプリで聞いていましたが、2014年に入って同じ開発者から「USB Audio Player PRO」というアプリがリリースされていました。有り体に言うと、「USB Audio Recorder PRO」をプレーヤーアプリとして使っていた人が欲しかったプレーヤー機能が全部入ったアプリ、ということになるでしょうか。

「USB Audio Player PRO」メインの再生画面
「USB Audio Player PRO」メインの再生画面

“USB Audio Player PRO + HERUS”の続きを読む

HERUS用にUSB OTGケーブルを作る

Photo & Video Sharing by SmugMug

 当方でも紹介した「HERUS」をAndroidスマートフォンで使っていると、USB OTGケーブルで片方がUSB Bという仕様のUSBケーブルが欲しくなります。Resonessence Labsのページでは地味に紹介されていたりしますが、ここは頑張って自作してみようと。

 コネクターと線材をバラバラに用意するのもいいですが、USBの規格的にマズかったりするとイヤなので(多分大丈夫でしょうが)、市販のケーブルの片方を改造する半自作にしました。なんとなくの要件は以下のとおり。

  • スマートフォン用でmicroUSB BのUSB OTGケーブル
  • もう片方はフルサイズのUSB B
  • microUSB Bコネクターはライトアングルタイプ
  • 可能な範囲で高品質なケーブル、を元に改造

 

 被験体となったのは、高級オーディオ用USBケーブル……といきたいところですが、ここはひとまず、コネクターが金メッキなぐらいでほかは普通のスペックと思われるUSBケーブルを選びました。USB A→Bのケーブルで、USB Aの側を改造するだけです。

 microUSBコネクターは自分で調達する必要があります。ライトアングルなどと呼ばれる90度横向きにケーブルが出るタイプにしたかったので、eBayで香港の業者からコネクターのパーツ(10個セット)を買いました。10個もいらないですが、練習用に作ったり失敗したりするので結果的に安心して作業ができました。

_DSC6851-Edit

 コネクターの、外から見える接点の信号や順番はもちろん規格で決まっていますが、ケーブルをハンダ付けする側の端子配置はコネクターのメーカーによって差があります。届いたパーツは上側に端子が3つ、下側に2つ付いているタイプでした。USBケーブル内部の線は赤が1番、白が2番、緑が3番、黒が5番と、それぞれ決まっているので、指定の場所にハンダ付けしていきます。4本の信号線の周りを覆っている網状のシールドは、まとめて1本の線にして、microUSBコネクターの側面にある、プラグの外周パーツとつながったケースグランドにハンダ付けしました。この時点で被験体となったUSBケーブルの線材自体はきわめて普通であることが判明しているのですが、一応オーディオ用ハンダを使っておきました。

 USB OTGケーブルというのは内部構造的には単純で、通常のUSBケーブルでは使われない4番を、短いリード線を用意して(写真の黄色の線)、5番の端子につないでしまうだけです。5番には2本の線がつながることになります。

 配線が済んだら、コネクターのケースに入れれば完成です。ハンダ付けはぶっちゃけ上手くないので、やり直したりしてひどい感じになってますが、テスターの導通チェックモードで隣の端子や線とショートしていないかどうか、だけは入念にチェックします。被験体になったケーブルにはメッシュの外装シースが使われているのですが、これはコネクターのケースの内部にまで通すとケースが閉まらなくなるので、手前で切り、端は熱収縮チューブでおさえました。

 今回買ったコネクターに装着できるケーブルは恐らく直径4mmで、一般的なUSBケーブルを想定していると思われるので、高級オーディオ用USBケーブルを被験体にできなかったはこのあたりの事情もあります。太いケーブルをまとめるのは不可能ではないでしょうが、そういうテクニックや道具は持ち合わせていないので……。

 ケーブルの中身を見てしまったのもありますが(笑)、今回の改造で、無駄な接点やパーツが減ったという以外、オーディオ的進化はあまりないと思いますが、使い勝手は少し改善した感じでしょうか。

Resonessence Labs HERUS

Photo & Video Sharing by SmugMug

 
 Resonessence Labsの「HERUS」(ヒールス)を買ってみました。USBバスパワー駆動が可能で、DSDにも対応した小型・高性能なDAC/ヘッドホンアンプです。

 我が家ではDSDネイティブ再生の環境が無かったのと、DSD音源はクラシックを中心に買い始めていたので、そろそろ何か欲しかったというのもありますが、「HERUS」は現時点でのハイレゾ音源フォーマットにフル対応と考えると、4万円を切る価格は手頃ともいえるので、DSD対応DACの入門機として買ってみました。

 据え置き型のDACと比べると、出力が1系統のみで切り替えられないので、ヘッドホン専用です。USBバスパワー駆動が可能という特徴からしても、ノートパソコンと組み合わせて、外出先でも手軽にハイレゾ音源を、というのが想定されている姿かと思います。

 「HERUS」のスペックなど詳細は上記のリンク先のように日本語のWebサイトがあるのでそちらに任せます。セットアップですが、予め「HERUS」のドライバーをインストールして接続し、我が家のWindows 7で使っているプレーヤーソフト「JRiver Media Center」(以下JRMC)(Ver.19.0.67)では、オプションでオーディオの設定から「Resonessence Herus Audio」(WASAPI)を選び、その下のBitstreamingの項目でカスタムのDoP 1.0を選択したぐらいでしょうか。若干手探りなので(笑)、実は間違っているとか、もっと良い設定がある可能性もありますが……。

 公式のWebサイトにも書かれていますが、初期設定ではボリュームが最大なのでその点だけ注意して再生します。「HERUS」本体にはボリュームはおろかボタンひとつ無いので、ボリュームの調整もプレーヤーソフト側で行います。ロゴマークは通電中に青く光るインジケーターになっていますが、デコード中のフォーマットの種類を色などで判別することはできないようです。USBに接続直後の、スタンバイ中の僅かな時間は赤く光りますが、基本は青く光るだけのようです。

 

 

 「JRMC」は内部では64bitで処理を行いますが、設定すれば、CDなどの16bit/44.1kHzといった、1980年に規格化されたCD-DAの比較的おとなしい音源を、アップサンプリングして対応するDACに出力することが可能です。「HERUS」はPCMで24bit/352.8kHzまで対応しているので、「JRMC」のDSPオプションで入力サンプリングレートごとにアップサンプリングの値を指定すれば、元のデータはCDでも最大24bit/352.8kHzにまでアップサンプリングして「HERUS」に渡せます。ちなみに「JRMC」には、DSD以外をすべてDSDに変換(?)して出力するモードもあります。「JRMC」の話を差し込んでいるので少しややこしいですが、ここでアップサンプリングしているのは、あくまでプレーヤーソフトの「JRMC」においての話で、「HERUS」の内部でアップサンプリングしている訳ではありません。アップサンプリングされた結果、高いサンプリングレートになったデータでも「HERUS」に入力できる、ということです。

 352.8kHzなどという高いサンプリングレートになると、アップサンプリングの是非はともかくとして、いわゆるアップサンプリングのイメージを超えた、割と別次元の、非常に繊細で緻密な音になります。一角だった氷山が全部見えてしまったような(?)感じでしょうか。192kHzまでのアップサンプリングは聞いたことがありますが、それと比較しても、音が個別に繊細になっている印象があります。元のCDの音により相性はありますが、最近の作品でも録音状態があまりよろしくなかったようなタイプの音源には、効果が高いように思えます。ままあることですが、既存のライブラリをすべて聴き直したくなる感じです。

 DSD音源に関しては、これまでネイティブ再生の環境が無かったので比較対象は無いのですが、PCMに変換して再生していたこれまでと比較すれば、やはり“生音”な感覚がグッと強くなります。FLACで24bit/192kHzの音源も、キレやメリハリのある感じが、私のこれまでの環境と比べれば際立っていますね。

 

CD(FLAC)をアップサンプリング、24bit/352.8kHzで再生
CD(FLAC)をアップサンプリング、24bit/352.8kHzで再生

ハイレゾ配信のFLACファイル(24bit/192kHz)を再生
ハイレゾ配信のFLACファイル(24bit/192kHz)を再生
ハイレゾ配信のDSFファイル(1bit/2.8MHz)を再生
ハイレゾ配信のDSFファイル(1bit/2.8MHz)を再生

 
 「HERUS」は全体的に、非常に高い透明感があり、分離やスピード感、立体感に富み、ディテールも綺麗に整って、高域から低域までバランスよく、そしてパワフルに聞かせてくれます。「HD650」のようなヘッドホンでもそれなりに余裕をもって駆動してくれているようです。簡単に言うと、爽快、痛快な印象でしょうか。

 ESSのDACチップを知り尽くしたメーカーということもあり、高効率、省電力、小型の筐体、そして高度なプログラムが揃い、PCオーディオの時代を象徴するかのようなアイテムといえるかもしれません。「本体が薄いと音も薄い」などと言われていた時代はもう過去のものなのでしょうか? 「HERUS」は少なくとも、「ノートパソコンと一緒に簡単に持ち運べる、バスパワー駆動の、ハイレゾ音源フル対応のDAC/ヘッドホンアンプ」として、5万円以下のクラスでは今後リファレンスになり得る高いパフォーマンスを持っていると思います。ミニプラグではなく標準プラグとしたのも、高性能なヘッドホンの利用にも耐えうるという自信の表れでしょう。

 出張先のホテルの部屋で、あるいは喫茶店での作業中に、これまでなら自宅でしか楽しめなかった最先端のハイレゾ音源を、何事もなかったかのように余裕を持って再生できるとしたら、そしてそれを十分に堪能し感動できるとしたら、「HERUS」の持つ価値は、価格や仕様以上に高まると思います。

 

Androidで「HERUS」を使う

 

 

 「HERUS」に発売前から注目していたもうひとつの大きな特徴は、iPhoneやAndroidスマートフォンでの、バスパワー駆動での動作をアナウンスしていたことです。スマートフォンに関しては、iOS、Androidともに、OS、ハードウェア、プレーヤーアプリのいずれもが流動的で、現在は決定的な利用方法が確立する直前といった雰囲気ですが、iOSはオンキヨーがDSD対応のプレーヤーアプリ「HF Player」をリリースしたことで、一歩先んじている状態でしょう。

 AndroidはOS標準の状態だと16bitでしか出力できないとされ、アプリ「Neutron Music Player」などでも出力側は16bitと表示されます。また、外部DACに対しデジタル出力するにはスマートフォン本体がUSB OTG(On The Go)に対応している必要があり、これはメーカーやモデルにより対応状況はさまざまです。

 Androidで現在、Root奪取が不要の簡単な手法として広がっているのは、録音アプリ「USB Audio Recorder PRO」を使い、USB OTGケーブル経由でUSB DACを接続・認識するというものです。「USB Audio Recorder PRO」は動作確認用のapkファイルが配布されていますし、動作が確認されたDACおよびスマートフォンの機種リストが公開されているので、ある程度目星を付けることはできます。

 我が家にある中では、「Nexus 7 (2013)」(Android 4.3)と「GALAXY SIII Progre (SCL21)」(Android 4.1)がUSB OTG対応で、「USB Audio Recorder PRO」が動作しました。「Nexus 7」は公開リストの注記にあるように、OSのAndroid自体の言語設定をEnglish(US)にしないと「USB Audio Recorder PRO」でUSB DACを認識できないという謎仕様でしたが、一度接続・認識させた後は、言語を日本語に戻しても認識されるようになりました。「GALAXY SIII Progre」は特に変更する点はありません。「ハイパワーUSBデバイスが接続~~ デバイスにアクセスできません」みたいな警告が通知エリアに出た時は、挿しなおせば大丈夫でした。

 ※追記 「Nexus 7」は上記の初回のセットアップを済ませている状態からAndroid 4.4にバージョンアップしましたが、「USB Audio Recorder PRO」は問題なく動作しています。

 音は、パソコンでの再生に比べるとやや痩せた印象にはなりますが、冷静に考えれば、スマートフォンで再生できる音としては格段にパワフルで豪華なものです。効率の良いイヤホンでは無音時のバックグラウンドノイズが少し気になりますが、平均的なレベルではあります。スマートフォンのように移動中での利用を考慮すると、特にヘッドホンはクローズドタイプ、小型タイプなど、選び方に別軸の要素が加わるので、なかなか悩ましいところです。

 利用しやすさ、使い勝手という部分では、USBオーディオインターフェイスを使う録音アプリである「USB Audio Recorder PRO」に依存する部分が多いので、プレーヤーとしては快適ではありません。このアプリは録音がメインなので、再生機能は確認用でしょうから仕方ないでしょう。24bit/192kHzのFLACファイルや、24bit/48kHzのWAVファイルを再生できますが、DSD音源(DSFファイル)は対応していないので、再生できませんでした。

 プレイリスト作成機能はありませんが、擬似的なプレイリスト再生機能があります。これは、ディレクトリの中の楽曲ファイルを指定すれば、同一ディレクトリのファイルを順番に再生するというもので、次曲ボタンとシャッフル再生が用意されています。プレーヤーとしての利用なら、このプレイリスト画面(Play Listタブ)がメインになると思います。

 初期設定の状態ではまずバックグラウンド再生ができず、アプリの画面を表示している状態で電源ボタンを押して画面をスリープさせると再生できなくなりますが、これは設定を変更すれば可能になります。設定変更後、ホームボタンを一度押すなどしてほかの画面に移動するとバックグラウンド再生に移行し、そこでは電源ボタンを押して画面をスリープさせてもバックグラウンド再生が継続します。バックグラウンド再生を有効化していても、「USB Audio Recorder PRO」を画面に表示している状態で画面をスリープさせると、バックグラウンド再生には移行せず再生が止まります。

 これらの設定を駆使すれば、一応スマートフォンを使った移動環境でもなんとか使える感じでしょうか。ただし、バスパワー駆動の関係で電池の消費は多いので、電池残量には注意する必要があります。

 やはりAndroidでもオンキヨーの「HF Player」か、それに類するアプリが出てきてからが本番ということになるでしょうが、再生だけでなく、デジタル出力でDACに出力するとなると、現在のAndroid(4.3とか)の環境では、「USB Audio Recorder PRO」のように出力段を丸ごとアプリ側に内蔵するようなアプローチか、Androidウォークマンなどのようにハードウェアを含めて作りこむアプローチになると思われ、アプリに関しては、OS側の進展が無い場合、なかなか時間がかかるかもしれません。
 
 ※追記2 長々と書いといてなんですが、上記のうち「GALAXY SIII Progre」は「USB Audio Recorder PRO」を使わなくても「HERUS」から音を出せました……。接続する順番か何かの都合で音が出ないことはあり、そこで勘違いしていました。最近のGALAXYシリーズはUSB OTG関連で独自の対応をしているので、USB Audio Classもサポートしているのだと思います。プリインの音楽プレーヤーアプリやGoogle Playミュージックアプリなど標準的なもので再生して「HERUS」から音が出ました。ただ、「GALAXY SIII Progre」については単体でハイレゾ音源の再生はサポートしていないのと、USBから何bitで出力されているのか明示されないので、詳細な仕様までは確認できていません。