HD650最終形態

 


 
 HD800に踏み切れないアナタとワタシのために「ALO SXC Cryo 18awg Sennheiser Headphone Cable」を買ってみました。というのは半分冗談ですが、短い間とはいえ自分のソースでHD800を試聴した限りでは、HD800はHD650の延長線上にあると感じたので、HD650を最強に強めればあるいはもしや? みたいに都合よくイクわけはないでしょうけども、まぁ最後の悪あがきということでHD650最終形態としてALOの「SXC Cryo 18awg」を購入してみようとなったわけです。長さは8フィートで、標準の(1/4)ステレオプラグ仕様を注文しました。

 使い始めて感じたのは「これはワタシの手に負えない」ということでしょうか。いきなり敗北宣言ですが、なんかすごい! でも詳しくワカラナイ!っという感じだったので、ふわふわとイメージが浮かぶたびにメモをするだけにしました。要約すると、「ライブに来たような空気感」「すべての音が埋もれずに聞こえる」「音というより“演奏”」「楽器それぞれの存在感が段違い」といったもので、目を閉じると演奏している空間に頭だけ突っ込んだような感覚に陥ることも。生音系は圧倒的な表現力で、そこに楽器と演奏者がいるというような存在感が感じられます。

 低音域がどうとか、そういうのは書くまでもなく(?)、低中高からボーカルの重み、艶、管弦楽の芯のある綺麗な伸び、背景の黒さ、シャープさなど、およそワタシが考えつく稚拙な視点はどれも非常に満足できるレベルで、それ以上というか、プラスアルファの雰囲気、空気感に近いものが伝わってくるのがすごいと思いました。また、最初はショボ目の録音のソースを再生することがためらわれたのですが、思ったよりもアラが出ない感じでマイルドに仕上げられる印象です。

 ややネガティブ傾向のイメージとしては、HD650自体の仕様から、頭内の定位などはこれまでと大きく変わりません。より空間が広く、明確になり、位置関係もつかみやすくなるなどの違いはありますが、S-LOGICのように根本的に覆されるようなことはありません。あと、ケーブルはゴワゴワして柔軟性はあまり無いので、そういうところを重視する人は注意する必要があると思います。

 HD650の素のキャラクターというものを私は知らないのですが、HD800にフラッグシップを譲った今だからこそ、大人気ないまでに高まったディテール描写と空気感にあふれたこの最終形態がより痛快に感じるのかもしれません。もっとも、このケーブルにはHD800用もありますが……。
 

 

 
 構成は、PC→(USB)→DLIII→(SAECバランス)→GCHA→(SXC Cryo 18awg)→HD650 です。PCではiTunesのALACをfoobar2000で再生しています。ソースは、「ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズ ~アニメ・スタンダード Vol.1~」「エヴァンゲリヲン新劇場版:破 オリジナル サウンド トラック SPECIAL EDITION」「トップをねらえ2! ORIGINAL SOUNDTRACK」「牧野由依 天球の音楽」「牧野由依 マキノユイ。」など。ラスマス・フェイバーのアニソン・ジャズカバーは、演奏・録音ともに完全にジャズのCDで、今回のHD650最終形態にぴったりのソースでした。収録中の模様はYouTubeでも見られます。エヴァ破もダイナミックで鬼気迫る録音の数々に引き込まれます。

 HD650は購入直後から付属のケーブルは使わず、HeadRoomで売っているカルダスのゼンハイザー用ケーブルを使っていました。こちらとの比較も考えたのですが、そういや装着するとき固かったなぁなどと思い出しながらケーブルを本体から外していたところ、左のケーブルがどうにも外れず、最終的にHD650の本体に挿す側のプラグから先端の金属端子だけが抜ける(端子だけ本体に残る)という事態にうそーんと戦慄したものの、残った端子はふつうに抜け、本体側には目立ったダメージは無い様子で一安心だったのですが、カルダスのケーブルは使えなくなってしまいました(笑)。ステレオミニプラグだし再びHD25で使おうと思っていたのですが……(※その後の再利用はコチラ)。 以上のような理由で直接的にデフォルトのケーブル、これまでのケーブルと比較しておりませんのであしからず。

届くまで
 ちなみに今回の感想は届いた直後ではなくしばらく使ってみた後のものなのですが、購入時の流れも少し。国内でもミックスウェーブが輸入代理店として各店に卸していますが、11月末の1ドル90円を割り込む円高を受け、個人輸入で購入しました。ALOのWebサイトから直接購入し、決済はPayPalではなくサイトに用意されている独自のものを使いました。住所入力時に7桁の郵便番号のハイフン( – )が抜けているとエラーになるという点に気づくまでしばらくトライアンドエラーが続きましたが、それ以外はとくに難しいこともないと思います。製品紹介ページにプラグ形状を指定しろみたいなことが書いてあったので、通信欄に1/4プラグでおねげーしますと英語で加えました。

 11月28日午前3時頃に注文を完了し、ちょうど24時間後ぐらいに出荷通知とUSPSのトラッキングナンバーが送られてきました。自宅への到着は12月4日で、滞りなく届いたようです。ちなみにALOのKenさんからは、12月6日に「もうケーブル届いた?」って内容の一言だけのメールがきました(笑)。冒頭の写真のカット違いを送って届いたことを伝えました。同じ日にはALOのユーザー向けに「これから旅行に行くからしばらくメールの確認ぐらいだぞ」みたいなメールが来ていたので、旅行前に発送関連のトラブルが無いのを確認しておきたかったのかもしれません。

 
 ケーブルの交換ができるヘッドホンにはバランス化など別軸の進化も用意されていますが、ひとまずアンバランスで環境構築している人にとっては、HD650のひとつの到達地点として今回の「SXC Cryo 18awg」を候補に入れてもいいかと思います。
 

PS Audio GCHA + Digital Link III

 少ない投資で大きな実りとばかりにムーバブルオーディオの世界に傾倒している昨今、凝り出すと天井が知れないご家庭向けオーディオは5.1chシステムを安い中古AVアンプと中古スピーカーで揃えるぐらいで適当にしのいできたのですが、うっかりご家庭用のヘッドホン「HD650」を買ってしまったのがどうもよくなかったというか。そもそも「HD650」にしたって、「SR-71A」のゲイン切替機能搭載を知って、定番的ヘッドホンで聞いてみるか的な口実で買っとくかみたいな流れでして、まぁとにかくそんな感じで流れるものが盛大に流れた結果、気がついたら持ち歩けないヘッドホンアンプに加え、持ち運べないDACまでもが仲良く姉妹でお家にやってきておりました。

 ポータブルじゃないヘッドホンアンプはPS Audioの「GCHA」、ポータブルじゃないDAC(Digital to Analog Converter)は同じくPS Audioの「Digital Link III」(DLIII)です。両機はバランス接続が可能なので、あまり投資はできなかったものの、なんとか及第点クラスと思われるSAECの「XR6N」で接続しています。どーでもいいですが「xN」は金属素材の純度で、6Nは6桁のNine、純度99.9999%を意味しています。工業的に純度表示と実際の差は例によって諸説あるようですが、オーディオケーブルにおける6Nはまぁよく見かけるクラスではないでしょうか。多分。電源ケーブルに至っては哀しいかなストックのケーブルを利用していますが、きゃしゃなものでもなかったので、ひとまずこれで慣れ親しみ、交換はいつかのお楽しみとしておきます。

 我が家では、CDソースでも、すでにCDプレーヤー主体ではなくPC(iTunes/foobar2000)主体のリスニングスタイルですから、PCとUSB接続できるDACで、音はリスニング向けのもの、というトコロで評価がおおむね固まっていたPS Audioの2製品に手を出してみた次第です。CDプレーヤーは一応、ソニーの「DVP-NS915V」があるので、光端子でDLIIIに接続し、PCとCDプレーヤーの2つを選べるようにしました。しかし何か一丁前に「DVP-NS915V」とか書いてますけど、ソニーグループの戦略的にとりあえずSACDが “再生可能” な、DVDメインのいわゆるユニバーサルプレーヤーでして、単体DVDプレーヤーでとにかく安いやつを、と買いに行ってつかまえてきた一品というか、CDトランスポーターとしてもオーディオ的な期待は皆無なので、やっぱりPC主体で使うことになると思います。

 んで、PC → (USB) → DLIII → (SAECバランスケーブル) → GCHA → (Cardasヘッドホンケーブル) → HD650 という流れになるのですが、前段となるDLIIIは、96kHz、192kHzの2種類のサンプリング周波数が選べたりします。USBでも光でも音質に大きくかけ離れた差はなく、そういった意味では相対的にUSBの入力に対する処理が優秀と言えるかもしれません。選べるサンプリング周波数は音的に明確に差が出るので、輪郭が綺麗で空間も広く感じられる192kHzをひとまず常用することになりそうです。

 アンプのGCHAはボリューム部分が特殊で、一般的なアンプとは異なり電流を調節して音量を制御しているとのことで、これによりボリューム位置にかかわらず背景にノイズが乗らないというアドバンテージを備えています。一方、大げさな機構がいらないせいか、ボリュームノブの動きは軽く、触っただけで動いてしまうので、設置場所の都合からブラインドタッチを余儀なくされている身としてはやや扱いに慎重になる部分です。
 
 
 あたらしいオーディオ機器を買い「昔聞いていたCDをまた聞きたくなりました」なんて話はよく目にしますが……ええ。聞きたくなりました。iTunesに取り込む候補から漏れていた昔のCDを何枚かサルベージしてしまいました。

 DACの処理なんだと思いますが、CDの時点ですでに微妙な録音のソースもそれなりに整えて聞かせてしまうのは恐ろしくもあり、楽しいところです。空間は広めなので窮屈な印象は無く、音によっては左右だけでなく前後にも大きく広がる印象もあります。低音域はかなりの深度まできれいに分離されて、澄み切った水の深い川底をのぞくようです。高音域はきつさが現れることなく、張りのあるまま綺麗に伸びます。

 そして、全体を支配するのは我が家のご本尊でもあらせられるSTAX様にも迫るキレ、減衰速度です。タイトなスネアも、厚みのあるパーカッションも、ベースもホーンセクションも無様に停滞することなくスッと自然に空間に溶けていき、特に生音系やボーカルは繊細なエッジが際だつ印象です。もちろん、我が家のSTAX様が(「Ω」ではないので)苦手とする低音域はHD650ではしっかりと出ているので、比較的ジャンルを選ばないという意味において、ついに世襲の時来たりとノタまっても過言ではありません。あくまで我が家的に、ですが。

 まぁこれでもまだ慣らし段階ですし、ひさびさにいろいろCDを引っ張り出して聞いてみたい機器が登場したようです。
 

HD650

 「いつかは欲しいものリスト」なんてのがナニかの拍子に耳から脳汁と一緒に出てきたりするのですが、さらにうっかり勝手に盛り上がってしまい、ゼンハイザーの「HD650」を買ってしまったようです。

 盛り上がったキッカケは別の機会にゆずるとして、こちらのHD650は我が家のヘッドホン開祖であらせられます「STAX Classic System II」(SR-303+SRM313)以来の超ドレッドノート級ゲルマンアイテムとして飛来したヘッドホンとなるわけでして、お家でちゃんとしたオープンエア型ダイナミックヘッドホンを楽しみたいよぅという主にフツーの理由から召喚されました。間違っても高祖STAX様がちゃんとしていないということではなく、ノーマルな運用ができるヘッドホンの範疇で、ということです。STAXは列車砲かヤシマ作戦の陽電子砲かといった塩梅なので。やたらと繊細な兵器ですけど。密閉型では同じくゼンハイザーの「HD25」をすでに持っていますが、まぁオープンエア型も欲しかったのと、部屋の中で密閉型だと電話とか余裕でスルーするという微妙に切実な問題もあったり……ま、電話とかメッタにかかってこないけどね☆

 内容は今更書くまでもなく、ゼンハイザーのトップエンドでオープンエア型の名機、リファレンスとして評価が定着していると思われますが、何より買ったばっかりで音が馴染むまでは書くのがはばかられるというオーディオにありがちなアンビヴァレントな時期であったりします。鳴らし始めでも程よく締まって沈む低音域、艶めかしい中音域、今は少しマスクされているものの素性の良さそうな高音域、と期待通りの雰囲気です。特定音域の特化ではなくディティールをしっかりと描いた上でものすごくバランス型な気がします。幸い、慣らし運転中の機器がもうひとつあるので、それと同じ時間慣らせば程よい頃合いになると思われます。

 写真に写っているケーブルについては補足が必要で、標準(ストック)のケーブルは箱から取り出すと同時に取り外し、水色といってもLANケーブルではなく、HD25で使用していたカルダスのケーブルに交換しています。プラグ部分は形状からカナレだと思います。外出用として1.2m+ミニプラグバージョンを輸入したのですが、現在はフジヤエービックなど国内でも、標準プラグバージョンがたまに入荷しているようです。