Resonessence Labs CONCERO HP

 Resonessence Labsの「CONCERO HP」を自宅用のDDC/ヘッドホンアンプとして買ってみました。日本では2013年8月の発売なので、今から1年以上前に発売されていることになりますが、ハイレゾ音源の配信フォーマットが、販売レベルにおいてはある程度落ち着いてきたように見受けられるので、現時点でフル対応といって差し支えない「CONCERO HP」を自宅用に導入してみた次第です。「CONCERO HP」に合わせてUSBケーブルもWireworldの赤くて平たい「Starlight 7 USB 2.0」にしてみました。主に組み合わせているヘッドホンはリケーブルした「HD650」です。

 本体は想像よりも小型でしたが、基板の乗った底面以外はアルミの削り出しで、肉厚でズシリとした安定感があります。私はすでに、Resonessence Labsのラインナップでは入門用ともいえる「HERUS」を買って、その音の傾向は気に入っていたので、買う前に「CONCERO HP」に期待していたのは正統的進化(発売時期は逆ですが)といったものです。逆に不安だったのは、「HERUS」が想像以上のパフォーマンスを見せてくれたので、「CONCERO HP」になんとなく満足できなかったらどうしよう……というものでした。

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USB Audio Player PRO + HERUS

 当ブログでは2013年11月に「HERUS」を紹介し、Androidでは「USB Audio Recorder PRO」というアプリで聞いていましたが、2014年に入って同じ開発者から「USB Audio Player PRO」というアプリがリリースされていました。有り体に言うと、「USB Audio Recorder PRO」をプレーヤーアプリとして使っていた人が欲しかったプレーヤー機能が全部入ったアプリ、ということになるでしょうか。

「USB Audio Player PRO」メインの再生画面
「USB Audio Player PRO」メインの再生画面

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Resonessence Labs HERUS

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 Resonessence Labsの「HERUS」(ヒールス)を買ってみました。USBバスパワー駆動が可能で、DSDにも対応した小型・高性能なDAC/ヘッドホンアンプです。

 我が家ではDSDネイティブ再生の環境が無かったのと、DSD音源はクラシックを中心に買い始めていたので、そろそろ何か欲しかったというのもありますが、「HERUS」は現時点でのハイレゾ音源フォーマットにフル対応と考えると、4万円を切る価格は手頃ともいえるので、DSD対応DACの入門機として買ってみました。

 据え置き型のDACと比べると、出力が1系統のみで切り替えられないので、ヘッドホン専用です。USBバスパワー駆動が可能という特徴からしても、ノートパソコンと組み合わせて、外出先でも手軽にハイレゾ音源を、というのが想定されている姿かと思います。

 「HERUS」のスペックなど詳細は上記のリンク先のように日本語のWebサイトがあるのでそちらに任せます。セットアップですが、予め「HERUS」のドライバーをインストールして接続し、我が家のWindows 7で使っているプレーヤーソフト「JRiver Media Center」(以下JRMC)(Ver.19.0.67)では、オプションでオーディオの設定から「Resonessence Herus Audio」(WASAPI)を選び、その下のBitstreamingの項目でカスタムのDoP 1.0を選択したぐらいでしょうか。若干手探りなので(笑)、実は間違っているとか、もっと良い設定がある可能性もありますが……。

 公式のWebサイトにも書かれていますが、初期設定ではボリュームが最大なのでその点だけ注意して再生します。「HERUS」本体にはボリュームはおろかボタンひとつ無いので、ボリュームの調整もプレーヤーソフト側で行います。ロゴマークは通電中に青く光るインジケーターになっていますが、デコード中のフォーマットの種類を色などで判別することはできないようです。USBに接続直後の、スタンバイ中の僅かな時間は赤く光りますが、基本は青く光るだけのようです。

 

 

 「JRMC」は内部では64bitで処理を行いますが、設定すれば、CDなどの16bit/44.1kHzといった、1980年に規格化されたCD-DAの比較的おとなしい音源を、アップサンプリングして対応するDACに出力することが可能です。「HERUS」はPCMで24bit/352.8kHzまで対応しているので、「JRMC」のDSPオプションで入力サンプリングレートごとにアップサンプリングの値を指定すれば、元のデータはCDでも最大24bit/352.8kHzにまでアップサンプリングして「HERUS」に渡せます。ちなみに「JRMC」には、DSD以外をすべてDSDに変換(?)して出力するモードもあります。「JRMC」の話を差し込んでいるので少しややこしいですが、ここでアップサンプリングしているのは、あくまでプレーヤーソフトの「JRMC」においての話で、「HERUS」の内部でアップサンプリングしている訳ではありません。アップサンプリングされた結果、高いサンプリングレートになったデータでも「HERUS」に入力できる、ということです。

 352.8kHzなどという高いサンプリングレートになると、アップサンプリングの是非はともかくとして、いわゆるアップサンプリングのイメージを超えた、割と別次元の、非常に繊細で緻密な音になります。一角だった氷山が全部見えてしまったような(?)感じでしょうか。192kHzまでのアップサンプリングは聞いたことがありますが、それと比較しても、音が個別に繊細になっている印象があります。元のCDの音により相性はありますが、最近の作品でも録音状態があまりよろしくなかったようなタイプの音源には、効果が高いように思えます。ままあることですが、既存のライブラリをすべて聴き直したくなる感じです。

 DSD音源に関しては、これまでネイティブ再生の環境が無かったので比較対象は無いのですが、PCMに変換して再生していたこれまでと比較すれば、やはり“生音”な感覚がグッと強くなります。FLACで24bit/192kHzの音源も、キレやメリハリのある感じが、私のこれまでの環境と比べれば際立っていますね。

 

CD(FLAC)をアップサンプリング、24bit/352.8kHzで再生
CD(FLAC)をアップサンプリング、24bit/352.8kHzで再生

ハイレゾ配信のFLACファイル(24bit/192kHz)を再生
ハイレゾ配信のFLACファイル(24bit/192kHz)を再生
ハイレゾ配信のDSFファイル(1bit/2.8MHz)を再生
ハイレゾ配信のDSFファイル(1bit/2.8MHz)を再生

 
 「HERUS」は全体的に、非常に高い透明感があり、分離やスピード感、立体感に富み、ディテールも綺麗に整って、高域から低域までバランスよく、そしてパワフルに聞かせてくれます。「HD650」のようなヘッドホンでもそれなりに余裕をもって駆動してくれているようです。簡単に言うと、爽快、痛快な印象でしょうか。

 ESSのDACチップを知り尽くしたメーカーということもあり、高効率、省電力、小型の筐体、そして高度なプログラムが揃い、PCオーディオの時代を象徴するかのようなアイテムといえるかもしれません。「本体が薄いと音も薄い」などと言われていた時代はもう過去のものなのでしょうか? 「HERUS」は少なくとも、「ノートパソコンと一緒に簡単に持ち運べる、バスパワー駆動の、ハイレゾ音源フル対応のDAC/ヘッドホンアンプ」として、5万円以下のクラスでは今後リファレンスになり得る高いパフォーマンスを持っていると思います。ミニプラグではなく標準プラグとしたのも、高性能なヘッドホンの利用にも耐えうるという自信の表れでしょう。

 出張先のホテルの部屋で、あるいは喫茶店での作業中に、これまでなら自宅でしか楽しめなかった最先端のハイレゾ音源を、何事もなかったかのように余裕を持って再生できるとしたら、そしてそれを十分に堪能し感動できるとしたら、「HERUS」の持つ価値は、価格や仕様以上に高まると思います。

 

Androidで「HERUS」を使う

 

 

 「HERUS」に発売前から注目していたもうひとつの大きな特徴は、iPhoneやAndroidスマートフォンでの、バスパワー駆動での動作をアナウンスしていたことです。スマートフォンに関しては、iOS、Androidともに、OS、ハードウェア、プレーヤーアプリのいずれもが流動的で、現在は決定的な利用方法が確立する直前といった雰囲気ですが、iOSはオンキヨーがDSD対応のプレーヤーアプリ「HF Player」をリリースしたことで、一歩先んじている状態でしょう。

 AndroidはOS標準の状態だと16bitでしか出力できないとされ、アプリ「Neutron Music Player」などでも出力側は16bitと表示されます。また、外部DACに対しデジタル出力するにはスマートフォン本体がUSB OTG(On The Go)に対応している必要があり、これはメーカーやモデルにより対応状況はさまざまです。

 Androidで現在、Root奪取が不要の簡単な手法として広がっているのは、録音アプリ「USB Audio Recorder PRO」を使い、USB OTGケーブル経由でUSB DACを接続・認識するというものです。「USB Audio Recorder PRO」は動作確認用のapkファイルが配布されていますし、動作が確認されたDACおよびスマートフォンの機種リストが公開されているので、ある程度目星を付けることはできます。

 我が家にある中では、「Nexus 7 (2013)」(Android 4.3)と「GALAXY SIII Progre (SCL21)」(Android 4.1)がUSB OTG対応で、「USB Audio Recorder PRO」が動作しました。「Nexus 7」は公開リストの注記にあるように、OSのAndroid自体の言語設定をEnglish(US)にしないと「USB Audio Recorder PRO」でUSB DACを認識できないという謎仕様でしたが、一度接続・認識させた後は、言語を日本語に戻しても認識されるようになりました。「GALAXY SIII Progre」は特に変更する点はありません。「ハイパワーUSBデバイスが接続~~ デバイスにアクセスできません」みたいな警告が通知エリアに出た時は、挿しなおせば大丈夫でした。

 ※追記 「Nexus 7」は上記の初回のセットアップを済ませている状態からAndroid 4.4にバージョンアップしましたが、「USB Audio Recorder PRO」は問題なく動作しています。

 音は、パソコンでの再生に比べるとやや痩せた印象にはなりますが、冷静に考えれば、スマートフォンで再生できる音としては格段にパワフルで豪華なものです。効率の良いイヤホンでは無音時のバックグラウンドノイズが少し気になりますが、平均的なレベルではあります。スマートフォンのように移動中での利用を考慮すると、特にヘッドホンはクローズドタイプ、小型タイプなど、選び方に別軸の要素が加わるので、なかなか悩ましいところです。

 利用しやすさ、使い勝手という部分では、USBオーディオインターフェイスを使う録音アプリである「USB Audio Recorder PRO」に依存する部分が多いので、プレーヤーとしては快適ではありません。このアプリは録音がメインなので、再生機能は確認用でしょうから仕方ないでしょう。24bit/192kHzのFLACファイルや、24bit/48kHzのWAVファイルを再生できますが、DSD音源(DSFファイル)は対応していないので、再生できませんでした。

 プレイリスト作成機能はありませんが、擬似的なプレイリスト再生機能があります。これは、ディレクトリの中の楽曲ファイルを指定すれば、同一ディレクトリのファイルを順番に再生するというもので、次曲ボタンとシャッフル再生が用意されています。プレーヤーとしての利用なら、このプレイリスト画面(Play Listタブ)がメインになると思います。

 初期設定の状態ではまずバックグラウンド再生ができず、アプリの画面を表示している状態で電源ボタンを押して画面をスリープさせると再生できなくなりますが、これは設定を変更すれば可能になります。設定変更後、ホームボタンを一度押すなどしてほかの画面に移動するとバックグラウンド再生に移行し、そこでは電源ボタンを押して画面をスリープさせてもバックグラウンド再生が継続します。バックグラウンド再生を有効化していても、「USB Audio Recorder PRO」を画面に表示している状態で画面をスリープさせると、バックグラウンド再生には移行せず再生が止まります。

 これらの設定を駆使すれば、一応スマートフォンを使った移動環境でもなんとか使える感じでしょうか。ただし、バスパワー駆動の関係で電池の消費は多いので、電池残量には注意する必要があります。

 やはりAndroidでもオンキヨーの「HF Player」か、それに類するアプリが出てきてからが本番ということになるでしょうが、再生だけでなく、デジタル出力でDACに出力するとなると、現在のAndroid(4.3とか)の環境では、「USB Audio Recorder PRO」のように出力段を丸ごとアプリ側に内蔵するようなアプローチか、Androidウォークマンなどのようにハードウェアを含めて作りこむアプローチになると思われ、アプリに関しては、OS側の進展が無い場合、なかなか時間がかかるかもしれません。
 
 ※追記2 長々と書いといてなんですが、上記のうち「GALAXY SIII Progre」は「USB Audio Recorder PRO」を使わなくても「HERUS」から音を出せました……。接続する順番か何かの都合で音が出ないことはあり、そこで勘違いしていました。最近のGALAXYシリーズはUSB OTG関連で独自の対応をしているので、USB Audio Classもサポートしているのだと思います。プリインの音楽プレーヤーアプリやGoogle Playミュージックアプリなど標準的なもので再生して「HERUS」から音が出ました。ただ、「GALAXY SIII Progre」については単体でハイレゾ音源の再生はサポートしていないのと、USBから何bitで出力されているのか明示されないので、詳細な仕様までは確認できていません。

RSA SR-71B / Whiplash Elite TWag

 


 
 Ray Samuels Audio(RSA)のポータブルヘッドホンアンプ「SR-71B」が2010年12月末に発売されたので、シリーズを愛用している身として早速購入してみました。今回は初期ロットの出荷を注文したので、直接Ray Samuelsさんとメールでやりとりし、PayPalを利用しての購入です。ボディカラーはいつも黒だったので、シルバーにしてみました。

 9Vの電池を2個使い、電源から独立したデュアルモノ構成のポータブルヘッドホンアンプとして登場したのが初代の「SR-71」で、その後、各種をブラッシュアップし、純粋な後継モデルとして2008年10月に登場したのが「SR-71A」でした。SR-71Aは、ゲインを3段階でコントロールできるスイッチが搭載され、感度やインピーダンスの面で幅広いイヤホン・ヘッドホンに対応できるようになったほか、音質面でも成熟の域に達していたように感じます。分析的すぎず、丁寧で音楽的、温かみのある“RSAの音”とでもいうべき世界を感じたのがSR-71Aでした。
 

 

 
 ポータブルオーディオの世界はここ数年で様変わりし、限られた選択肢だったポータブルヘッドホンアンプもさまざまなメーカーの製品が登場しています。そんな中にあって、据え置きのヘッドホンアンプでひとつの流れができつつある「バランス接続」を、ポータブル環境での新たな要素として取り入れたのがSR-71Bです。詳しくはRSAのWebサイトに譲りますが、SR-71Bはシリーズの特徴であるデュアルモノ構成を継承、バランス化に伴いクアッドモノ構成としているのが最大の特徴です。
 
■ ワイド化・薄型化・バッテリー化
 外観はこれまでと同様で、ケースの工作精度の高さや、印字の綺麗さが目立ちます。ボリュームノブの感触も同様で、しっかりとした重さと遊びの無さは安心感があります。3.5mmジャックはSR-71Aから変更され、よりホールド力のあるものになっています。ゲインの変更スイッチも健在で、内部の構成の変更に伴い左右で独立して実装されています。

 本体サイズはSR-71Aと比較して、幅が広く、薄くなっています。電源としてリチウムイオンバッテリーを内蔵しているので、9V電池×2というサイズから開放されたといえるでしょう。バッテリー内蔵としたことで重量も軽くなりました。充電時間は2時間前後、連続使用時間は正確に測っていませんが、14~15時間といったところです(20時間以内なのは確実だと思います)。

 入力、出力ともに、バランスと従来のシングルエンド(SE)の2種類がそれぞれ用意されています。内部は完全にバランス化され、クアッドモノとして4つのアンプを搭載している写真も公開されています。バランス接続のために用意されている見慣れない4ピンの四角形のコネクターは、RSAから初のバランス出力ヘッドホンアンプとしてリリースされた「Protector」で採用されたコネクターで、俗にProtectorコネクターなどと書かれていることもあるようです。このコネクターをつかったアンプへの入力というのは、今のことろポータブル環境で利用できる製品がないと思われるので(変換ケーブルを使えばできると思いますが)、ひとまずバランスコネクターは出力側で利用することになります(1月19日追記: 後述するWhiplash Audioでは、iBassoのポータブルDAC用ケーブルでProtectorコネクターが選べるようになっています )。
 

 

 
 入出力の端子が増えたことや、バッテリー内蔵型としたことで、端子やスイッチは後ろ側にも配置されていますが、持ち歩きやすさという面ではやや面倒になりました。SR-71Bでは最近のヘッドホンアンプ同様に、入力端子が後ろ側にあるのですが、もともとL字のProtectorのバランスコネクターはともかく、従来型のDockケーブルだと後ろ側への張り出しが大きく、これまで使っていたケースに収めるのが難しくなりました。後ろ側で使うためのDockケーブルもあるのですが、そのうち入力でもバランスコネクターを使うようになったら……と考えて、ちょっと迷っているところです。

 
■ Whiplash Elite TWag
 Protectorが発売されていたことで、イヤホンの交換ケーブルを販売しているブランドでは、Protectorの四角形のコネクターをオプションとして選択できるものがあります。私はUE 18用として、Whiplash Audioの「Whiplash Elite JHA, UE, Westone IEM replacement cable」を選んでみました。注文時にはコネクター形状、長さ、線材を選択でき、コネクターを「Protector Balanced」、長さは初期選択の48インチ、線材も初期選択のTWag(銀線)です。ケーブルの分岐部分ににある結束具(?)が木製なのは見た目のアクセントになっています。ケーブル自体は想像以上に柔らかくしなやかで、ゴワついて扱いにくいという感じがないのはありがたいところです。

【追記 2011/06/22 】
 2011年5月7日に、Whiplash Audioにて上記とは別のアイテムとしてDockケーブルを注文したところ、自動返信のメールがきてクレジットカードの決済が行われたものの(同サイトでは従来通りの流れ)、6月22日になっても商品が届いていません。6月初旬に2度ほど、異なる宛先にメールで問い合わせても、まったく返信がありません。今調べたところ、Head-Fiのフォーラムによると、どうやら4月末ごろ(?)にWhiplashの中の人の家族が大変だったようで、一時的に販売業務が滞っていたようです。5月上旬から再開しているようですが、それを鑑みても6月上旬のメールに返信が無いのはやはりちょっと微妙です。上記のイヤホン用ケーブルは注文時期的にも普通に届きましたが、いずれにしても、注文直後の自動返信メール以外、発送通知などの連絡は無いこと、マイページの注文履歴ページは注文後からステータスが変更されないこと、などに留意した上で利用を検討してください。

【追記 2011/06/23 】
 上記を書きつつ3度目のメールを送ったところ、「ごめん! 見逃してた! 明日発送する!」(意訳)という返信がきました(笑)。なんとか届きそうです。
 


 
■ SR-71B バランスの音
 SR-71Bのバランスの音を聞く前に、UE 18 Proをストックのケーブルの状態で使い、iPod→ALO Cryo SXC 18G→SR-71B→UE 18という、入出力ともにSEという構成で聞いてみました。音質はSR-71Aを継承している印象で、これまでSR-71シリーズで感じていた傾向と同様、前述した“RSAの音”とでもいうべきものだと感じました。この時点で、SEであってもSR-71Aを置き換えられる内容だと感じ、愛着のあるSR-71Aもついに世代交代か……と、ちょっと寂しくなりました(笑)。

 イヤホンケーブルをバランスコネクター対応のWhiplashのものに変えても、音質面でアンプの大まかな傾向は変わらないようで、RSAらしい音になっていると思います。もっとも、私はSR-71BとWhiplashのイヤホンケーブルを同時にバーンインしながら聞いているので、以下はあくまでも「SR-71B+Whiplash Elite TWag」というセットが前提です。

 では、SR-71Bのバランスコネクターに対応したイヤホンケーブルを使うことで何が変わったかといえば、それはとにもかくにも空間表現という一言に尽きるのではないでしょうか。

 3次元的と評されている方もいましたが、サラウンドとは考え方がちがうものの、すべてが立体的な空間に生まれ変わっている印象です。音質とは異なる面で、従来とは根本的に違っていると感じられます。天蓋が開けたような開放感があり、よくできたスピーカーで聞いている時のような、イヤホンではこれまでなかった、各要素が分離している空間感覚が印象的です。

 定位も著しい向上が見られ、野球のボールからビー玉になったような、点に近づいた感覚です。点音源化と明確な分離により、左右に散らばった音などは、その存在感のリアルさもあって、サラウンド環境で聞いているかのような立体的な錯覚に陥ることもあります。こうした傾向は、生音、オーケストラなどでは特に顕著で、イヤホンで聞ける音(空間表現)としてかつてない領域に達していると感じました。打ち込み系でも、明確に左右に振られている音はしっかりと分離したり、移動したりしますし、中央のボーカルやそれ以外もよく分離するので、結果的に“聞きやすい”と感じます。

 また、録音状態があまりよろしくなく、もともとゴチャっと入っているような曲も、それなりに各要素を分離させて聞かせてしまう能力があるため、やはり聞きやすく、録音がちょっと良くなったような副次効果(?)も感じられました。従来であれば、アンプがグレードアップすると、録音がよろしくない曲はさらにアラが目立つことも少なくありませんが、聞きたい曲が必ずしも良録音であるとは限りませんから、こうした従来にはない空間表現でもって、弱点をカバーするかのように楽しめるのは、嬉しく、新鮮でもあります。
 
 私はProtectorの音を聞いたことがありませんが、SR-71Bのバランスコネクターによる音は、私にとって、ポータブルヘッドホンアンプの世界が新時代に入ったと確信するのに十分なものです。入力系やDockケーブル、ケースはしばらく試行錯誤が続きそうですが、じっくりとSR-71Bの世界を楽しみたいと思います。
 

ALO Cryo SXC 18G

 クライオだお! と何人が言ったか知りませんが、しょーこりもなくALOのDockケーブル「ALO Cryo SXC 18G」買ってしまいました。フジヤの店員によれば、フジヤはALOの取り扱いをまもなく終了するとのことで、すでにDockケーブルの店頭在庫は無かったこともあり、今回はアキバのダイナ5555で買いました。製品として以前と違うのは、パッケージに入った状態ですでに曲げクセが付けてあることでしょうか(笑)。
 


 
 約5カ月前の7月にフジヤエービックで「ALO OCC Cryo 22awg」を買ったわけですが、コスト的な点で前回買ったのが上・中・下の「下」だとすると、今回のは「上」ですね。上から順に、「ALO Cryo SXC 18G」「ALO Cryo SXC 22G」「ALO OCC Cryo 22awg」です。18だ22だのというのは線材の太さで、18のほうが太いです。「SXC」の見た目が銀色なのは銀被膜のせいで、線材はいずれも銅です。「Cryo」は極低温処理を施すクライオ処理のことです。
 

 
 前回も書いていますが、2006年11月にALOの「The Jumbo Dock」を買って以来ALOのDockケーブルを愛用しており、2009年7月に「ALO OCC Cryo 22awg」に替えました。で、今回買い替えたのは正直、音とはちょっと関係無いキッカケでして、結論から言うと「ALO OCC Cryo 22awg」のステレオミニプラグがボロボロになったからです。このテの指摘は慎重に行いところですが、買った時からそうだったのかはちょっと分からず、見落としていた可能性もありますが、少なくとも使い始めて数日で現在のようなメッキの剥がれが発生していたので、個人的には不良品をつかんだ、と認識しています。SR-71Aのジャックがキツめであると考えることも出来ますが、それにしてもあっさりと剥がれすぎです。買った店に持っていって交換とかの交渉をしなかったのは……まぁメンドクサイからですかね……。今回買ったブツも、慎重に取り扱う必要がありそうです。

 ただ、イベントや店頭デモでALOの現行のDockケーブルを何度か見る機会があったのですが、ぶっちゃけこのDockケーブルに使われているSwichcraftのプラグは品質的に微妙じゃないですか? と。微妙さを音質の変化で言い表せないところが悔しいのですが、表面処理は平滑度に乏しくヘアラインが残った荒い感じですし、絶縁リングの処理もガタガタです。前述のイベントなどでは、デモ用ケーブルで私のものと同様にメッキが剥がれかけているものも見受けられました。Dockケーブルとして本国で195ドル、日本で約2万5000円とかするわりには(少なくとも見た目は)お粗末なプラグです。Swichcraftがショボいのか、Swichcraftの中でもショボいプラグを採用したのか定かではありませんが、ちょっと残念な部分です。「The Jumbo Dock」に使われていたカナレ電気のステレオミニプラグ(F-12)は平日毎日、3年近く使ってもピカピカのままで、現役で使用していた頃も表面が酸化で黒ずむといったことはありませんでした。ことモバイル環境では温度・湿度の変化、抜き差しの頻度などキビシイ使用環境になりがちで、金メッキというだけで工作精度の低いプラグよりカナレのプラグの驚くべき耐久性に魅力を感じるのですが、どーでしょうか。
 

 

 
 で、買い直しする際にはメッキ剥がれを恐れ、イチルの望みをかけ「ALO OCC Cryo 22awg」とは違うメッキになっている「ALO Cryo SXC 18G」を選んだ、というが直接の理由です。「中」の「ALO Cryo SXC 22G」だと、プラグは「ALO OCC Cryo 22awg」と同じですからね。

 音質については、ちょっと難しいですね……とっかえひっかえ交換すると差は見えてきますが、少なくとも使い始めの今の段階ではハッとさせられる程の差は感じられません。強いて言うなら、18Gでは全体的にわずかに明瞭度が上がり、低~中音域ではより分離と制動が進んだように感じられます。傾向・方向性はほぼ同じで、銅の厚みと銀の鋭さを兼ね備えた、いいとこ取りの内容です。私はイヤホンのケーブルを銀線に交換しているので、ソースによってはやや高音域が過多になりますが、金属的で刺激的なキツさは抑えられていると思います。一カ月後ぐらいなら、もう少し差が分かりやすくなっているかもしれません。楽曲データはALACで、構成はiPod nano(3G)→[今回のブツ]→SR-71A→Null Audio Lune Silver→triple.fi 10 Pro です。

 今回はアコースティックから打ち込み系、電波系(!)までソースを何曲かに固定して聴いたので、個人的な録音評価順に曲をメモっときます。ハナレグミ「音タイム」音タイム、坂本真綾「かぜよみ」ピーナッツ、榊原ゆい「JOKER」Get Love Power、baker「filmstock」celluloid、平野綾「スピード☆スター」Super Driver、アーティスト「アルバム名」曲名、です。チラ裏すんません。