Oh! SID!!

 
 コモドール64のサウンドチップであるSIDを使った「SIDチューン」の楽曲シーンは、質・量ともに興味深く、いくつかの曲をピックアップしてよく聞いているのですが、プレーヤーソフトを探しなおすついでに簡単にまとめてみました。ハイファイではなくローファイなおはなしです。

■SIDファイルの入手
 
 8bit世代のホビーパソコンであるコモドール64のサウンドチップ、SIDの音は、耳馴染みのあるファミコンの音と比べると少々豪華で、独特のまるっとした、厚みのある味わい深い音色が特徴です。SIDのチップチューンは、ほかのプラットフォーム、例えばファミコンの内蔵音源を使うNSFファイルや、MIDIファイルなどと同様で、楽譜に相当するsidファイルを用意し、SIDチップの音源エミュレーターソフトに読み込ませて再生する(演奏させる)のが基本的な流れです。このため、sidファイル自体は小さな容量のファイルです。リアルなSIDチップを搭載した「HardSID」などを用いて演奏する方法もありますが、それはまた別のはなし。

 SIDチューンのシーンがほかのプラットフォームと大きく異なり、特異な存在となっているのは、SIDチューンのアーカイブサイト「HVSC」(High Voltage SID Collection)の存在でしょう。SIDの楽曲を制作する作者や楽曲などの情報が整備され、登録された楽曲はアーカイブとして配布されています。楽曲数は2009年末にまとめられた#52で3万7801曲と膨大な規模になっています。

 HVSCだけでなく、ほかのサイトでもコンペなどが定期的に開催されており、ヨーロッパを中心に今なおシーンは動き続けているようです。コモドール64で発売されたゲームのサウンドトラックとして制作された楽曲もありますが、多くはオリジナル楽曲やカバー楽曲、つまり曲そのものを目的として制作されています。懐の深いSIDの音源やフィルターに加え、最近では技巧も一段と成熟し、2000年代に入ると従来にはない音色の楽曲も見受けられるなど、いまだ研鑽が続いている様子がうかがえます。

 SIDファイルは単体でも配布されていますが、HVSCで配布されているものを入手するのが手っ取り早いでしょう。HVSC #52ではすべての楽曲が収録されたコンプリート版で73MBとなっています。

 
■SIDプレーヤー

 SIDファイルが用意できたらプレーヤーソフトですが、SIDの再生には大きく分けて2種類の方法があります。一般的なプレーヤーであるWinAmpやfoobarなどのソフトにプラグインを追加し、再生できるようにするパターンと、SID再生専用ソフトを利用するパターンです。私は普段foobarを使っていますが、SID再生プラグインのバージョンが古く、うまく再生できないのと、後述するリストでの使い勝手の問題もあり、SIDでは専用ソフトを使っています。専用ソフトでは大抵の場合、ダウンロードしたHVSCのフォルダを指定する項目がどこかにあるので、その設定だけは最初に済ませておきます。

 SID再生専用ソフトはHVSCのサイトでも紹介されていますが、Sidplay2.5が最もシンプルな再生ソフトでしょう。単発で楽曲を聞くだけならこれで問題ないと思います。しかし、お気に入りの曲が出てくると、リスト再生機能を重視したくなります。

 


Sidplay2.5

 

 ここで問題となるのは、曲の長さの指定です。NSFなどでも同様ですが、内蔵音源エミュレーターに楽譜を読ませ、再生毎に演算で音を出しているわけで、曲の長さを別途指定しないと、再生が終わっても次の曲に行かないか、ループを続ける場合がほとんどです。多くのSID再生専用ソフトではデフォルト設定として1曲の再生時間を指定できますが、すべての曲に当てはめるのはちょっと強引です。曲の長さは Songlengths.txt というSIDファイルとは別のファイルで存在しており、HVSCアーカイブの指定された場所に収録されています。このテキストには長さ指定のある曲すべてが記載されています。SID再生専用ソフトにこれを読む機能があれば、制作者が指定した長さで再生できるのです。また、曲長とは関係ないですが、楽曲に関する特記事項をテキストでまとめたSTILというファイルもあり、これもSID再生専用ソフトでは専用に表示するウィンドウなどがあったりします。

 Sidplay2.5はシンプルですがやや古風で、曲を探すディレクトリ探索ウィンドウがFTPクライアントのようで少々使いづらいですね。リスト作成時、曲毎に曲長を指定する方式で、Songlengths.txtを反映できないようなので、常用プレーヤーからは除外しています。foobarなどのプラグイン型も同様の理由でリスト再生に難が出てきます。

 私はしばらく、Sidtoolというソフトを使っていました。これは再生自体はSidplay2を使いつつ、リスト再生など周辺を強化したソフトです。しかし我が家では動きが重めで、些細な挙動や表示崩れにびみょーになじめていなかったこともあり、改めてSID再生専用ソフトを探し直し、今回はJavaで制作された「JSIDPlay2」を試してみました。Java実行環境がインストールされていれば単体で起動させられるほか、ブラウザ上で起動させることも可能です。基本はCUIのソフトですが、GUIが用意されているので一般的なプレーヤーソフトとして扱えます。ほかには、主にアタリのコンピュータの楽曲再生に対応し、SIDファイルもサポートした「Jam」などもあります。

 
■Java SIDPlay2

 JSIDPlay2はかなり多機能で、コンソール画面に加えてコモドール BASICの画面なども用意されており、SID再生だけにとどまらないコモドール64の総合エミュレーターとして制作されているようですが、ぶっちゃけそっちはよく分からないので(笑)、SID再生部分だけにフォーカスします。

 JSIDPlay2のサイト、「Live Demo (Beta with Graphical User Interface)」と書かれた項目の3番目、「Click here to launch and install」からリンクされている http://jsidplay2.sourceforge.net/jsidplay2.jnlp にアクセスすると、GUIを含んだJava SIDPlay2をダウンロードしてインストールできるようになると思います。

 起動毎にソフト作者の子供と思わしきスパゲッティをたらしている外国人の子供がスプラッシュ表示されるのはこの際黙っておくとして、メイン画面はボタンとタブが一画面に並び、騒然とした画面構成ですが、必要なタブは限られてきます。

 


JSIDPlay2

 

 まずは「HVSC」のタブで、最下部のディレクトリ指定にてHVSCアーカイブを置いた場所を指定します。そうすると、ツリー型のディレクトリ指定が可能になります。HVSCはSIDチューンの作者名順にフォルダ分けがされているので、そこから作者のフォルダを開くと、SIDファイルがズラッと表示され、目的のSIDファイルをダブルクリックすると再生が始まります。STILの情報がある曲は「A=」みたいなアイコンが付いており、STILのタブで内容を確認できます。HVSCタブで再生中、気に入った曲があれば、右クリックで「Favorites」を指定すればお気に入りとしてリストに登録できます。

 「Favorites」は別タブになっており、曲長を反映させた再生を行えます。下部でランダム再生などの指定もできます。曲を追加したら、忘れずに「Save」をクリックして保存しておきます。「Save…」ではセーブファイルを別名で保存できます。ひとつのSIDファイルの中に複数の曲が収録されている場合は、ウィンドウ上部の「Load Tune」で現在の曲を確認でき、「Previous Song」「Next Song」で1SIDファイルの中の曲の選択が行えます。一般的な利用で使うのはこのあたりでしょうか。

 
■SIDチューン

 SIDのシーンにドップリとつかっていたり、定期的にポッドキャストやストリーミングラジオで情報を集めていたりしないと、どの曲を聞けばいいのかなんて分かりません。デモ用の楽曲も含まれているとはいえ、3万7000曲以上のアーカイブの中から探すのは大変です。

 ストリーミングラジオの「kohina」ではSIDチューンを多数流しているので、どんな雰囲気なのか知りたいのならおすすめです。基本はOGGでの配信ですが、ブラウザ上でも再生できます。すでに10年近く愛聴しており、気になるSIDの曲がかかると曲名をメモし、後からHVSCの中で探すということを繰り返しています……。

 ポッドキャストでは「8Bit Mayhem C64 Scene Podcast」がクリティカルですが、現在の更新は不定期です。8Bit Mayhemではやや難解な曲も多いのですが、おすすめは「Episode #8 – Special Birthday Episode – Jeroen Tel in the mix!」でしょうか。SIDのシーンでも有名と思われるJeroen Tel氏が自身の楽曲をフロア向けにミックスしたライブバージョンで、厳密なチップチューンではないものの、彼の代表曲が一堂に会したハイテンションなリミックスになっています。

 
 チップチューンの醍醐味は、打ち込み楽曲ならではの奇抜さに加え、機械的でシンプルな音色であっても、チューニングによって魂を吹き込まれたかのように躍動的になるところではないでしょうか。少ない音数を駆使するアイデアも見逃せません。制約を受け入れてなお輝きを失わないこれらの楽曲は、ノスタルジーを超えた不思議な魅力に彩られていると思います。

 さて、私もいくつかおすすめとしてピックアップしたいと思います。個人的な好みから、なるべく1曲がしっかりと構成されているものを選んでみたつもりです。上記のHVSCのアーカイブで、作者のフォルダを開けば入っています。
 

・Zardax - Suerya - 03:04 (1996) → MP3
・Zardax - Flashbacks - 03:01 (1992)
・PRI - Soundwave - 04:37 (1993)
・PRI - Multirock - 04:42 (1993)
・Jeroen Tel - Alternative Fuel- 02:35 (2004)
・Jeroen Tel - RoboCop 3 - 03:56 (1992)
・Jammer - Level - 03:05 (2004) → MP3
・Jammer - Water Is Fun - 02:37 (2005)
・Jammer - Hot Mommas - 03:01 (2007)

 

トラックボール新世紀

  
 ブラウン管と一緒に人類が20世紀に置いてけぼりにし、コッソリ21世紀に密輸されていたのがトラックボールだ。MSの撤退、大手メーカーでもアップデートされないラインナップや提供されないVista用ユーティリティなど、斜陽、衰退、絶滅危惧デバイスとして申し分ない状況が続いていた。もはや過去の名機を細々と使い続けていくしか道が残されていないかのように思われた。

 一方で、いわゆるトラックボール然とした大型入力デバイスではなく、小型デバイスにおいては変化の兆しが見え始める。AppleがMighty Mouseと名付けたマウスには、超小型の「スクロールボール」が搭載されたほか、小型マウスのスクロールホイール部分に小型のトラックボールを搭載するモデルも登場している。大手の衰退に反比例するかのようにサンワサプライなどから大型のトラックボールが発売されているのはトラックボール人口の維持という面でわずかながらの希望であった。また、「ごろ寝マウス」や超小型入力デバイスに小型のトラックボールが搭載される例も増えつつあり、モバイル環境向け、あるいは補助デバイスとしての活路が見出されつつある。加えて、BlackBerry、HTC G1などスマートフォンのポインティングデバイスとしても普及の兆しが見え始めている。

 言うまでもなく、トラックボールをマウスの代わりのポインティングデバイスとして捉えた場合、マウスのように操作に必要な(あいまいな)面積が必要なく、デバイスのサイズだけで完結することが利点に挙げられる。直線的な動きや急速な動き、惰性の動きには強みを発揮し、高解像度時代のデュアルディスプレイ環境でも指先ひとつで悠々とポインターを操作できる。また、スクロールホイールとして捉えた場合は、360度にアナログ感覚で操作できる点が特徴となる。不利な点は、きれいなカーブを描くといったフリーハンドの要素がある用途にあまり向かない点。このためゲームやイラスト分野では操作は行いにくい場合が多い。

 トラックボール自体の有利不利はともかく、トラックボールメーカーの雄であったケンジントンがキーボード・マウスに傾倒し、トラックボールのラインナップをアップデートしないこと、同社製トラックボールのユーティリティにVista用が用意されないことなどは、世のトラックボールユーザーに少なからず閉塞感を与えていたのである。

 そんな中、6年というインターバルを経て発表された、次代を担うトラックボールが本機「SlimBlade Trackball」(SBT)である。

 

 
EM5に見えはじめた陰り
 こっからは個人的なお話で(笑)。至高と崇め奉りながら常用しているのは、ボールの支持にステンレス・ボールベアリングを採用した5代目「Expert Mouse」(EM5)で、使い始めてから6年以上が経過しています。

 かなり大型だったケンジントンの前作、7代目「Expert Mouse」(EM7)はEM5からの4ボタンを継承しながら、トラックボールに皆無だったスクロール機能をスクロールリングというデバイスで実現し、興味をそそられていたものの、独創とも協調ともとれないデザインやルビー球支持によるフィーリングの違いに、わざわざ乗り換える価値を見いだせないでいたのです。

 しかし基本スペックが屈強なEM5においても、時代の流れに取り残されつつあったのもまた確かです。現代的なマウスと比べるといわゆる分解能の能力が低く、Vistaなどではポインタの移動速度がちょっと実用的とはいえない、低速な状態になります。この部分はレジストリを直接いじって対応できますが、手軽に調整できるものでもないので、一時的とはいえ調整値が固まるまでは少々不便です。また、会社でもEM5を5年以上使っていますが、最近になって縦軸のベアリングが滑るようになってきました。ボールの摩耗なのかベアリングの不調なのか分かりませんが、これまでにない挙動で、さすがに平日毎日8時間とか使い続けている中では、可動部が限界に近づいているのかもしれません。無敵と思われたEM5も経年劣化らしき挙動が出てきたことで、いよいよ買い替え候補の選定に本腰を入れざるを得なくなったわけです。

 
スペース・スクロール
 マウスでは標準的なスクロール操作について、EM5と心中する勢いだった私はホイール的なものに頼らずキーボードのスペースバーでスクロールする方法を体に染みこませました。エクスプローラなどではダメですが、一般的なブラウザならスペースバーでページスクロールが行えます。ただし、一般的には、入力フォームなどのボタンにフォーカスがあたっている場合はスペースバーを押すとフォーカス位置をクリックしたと判定されるので、スペースバーでスクロールする際には、何も無い場所をクリックしてフォーカスをあらかじめ外すようなクセを身につけています。

 戻る、進む、タブを閉じるといった操作は、マウスジェスチャーでカバーするようにし、トラックボールの4ボタンに頼らないようにしました。Vistaでは、EM5を含むEM7までのユーティリティが用意されなかったことから、上部の2つのボタンは事実上無意味なものとなりました。個人的にVista環境(会社)での使用時間が最も長いため、これに揃えるべく自宅のXPでもユーティリティ(MouseWorks)に依存することをやめ、アンインストールして、Vista同様にレジストリを改変して初速、加速度、最高速度などの移動速度にまつわる数値を入念に再調整して利用していました。

 このようにソフトウェア面では、標準ドライバ環境(ポインタ+2ボタン)に体を慣れさせたことで汎用性が上がり、そのことは今回購入した次期トラックボール候補であるSBTにとってプラスに働きました。

 

 
SBTは2ボタンが基本形
 というのも、SBTは4ボタン構成であるものの、Vistaを含めて用意されているユーティリティはボタンに対する自由な機能割り当てができず、上部の2ボタンに用意された特定の機能を有効化するか否かというだけのものだからです。ユーティリティをインストールすると、左上ボタンがメディアボタンとなり、トラックボールやほかのボタンで再生や選曲の操作が行えます。右上のボタンはビューモードで、画像の拡大・縮小などをトラックボールとほかのボタンで行えるようになります。まぁ、正直無くてはならない機能とは感じなかったので、ユーティリティは利用していません。なお、上部の2ボタンにも機能を割り当てられるバッチファイルが、有志により2chのスレッドで公開されているので、4ボタンに依存している人はそちらを試してみるといいかもしれません。

 
ねんがん の すくろーる きのう を てに いれた
 さて、外見からは分かりませんが、SBTのもっとも大きな特徴はスクロール機能がスマートな形で搭載されていることです。ボールのまわりにはメッキのパーツがあしらわれていますが、ここは回転しません。ボールをひねることで回転が検出され、これがスクロール操作となります。これはユーティリティ不要で、標準的なマウスのスクロールホイールと同じく標準ドライバで機能します。ひねりが検出されると、電子的に「チキチキ」という疑似スクロール音が出て、回転検出の有無は容易に判別できます。

 問題はスクロール操作、ボールのひねり操作を簡単に行えるか、という点ですが、これについては慣れを要する問題と思われ、購入したばかりの今は判断が難しいところです。通常のボール操作からひねり操作に移行するにはボールをつかむ指の動きなどが発生するため、ひねり操作が検出されるまでの間にポインタが少々動いてしまうという挙動が発生します。大きな問題ではないのですが、ページスクロールはポインタがアクティブウィンドウの中にあることが条件なので、ひねり操作のために指を動かしたらポインタが少しズレてウィンドウの外に出てしまい、スクロールしない、というケースはそれなりに出てきてしまいます。

 
ひねりのガイド
 ポインタが微妙に動いてしまう、というのはあまり変わらないのですが、実は指一本でもひねり操作が行えます。従来のスクロールリングを思わせるボール外周のメッキパーツに指(やや爪側)を乗せ、それに沿うかたちで指先を移動させボールを回転させると、うまい具合にひねり操作がすぐに検出されるのです。この操作にも慣れてはいませんが、親指をよっこいしょとつまむ位置まで持っていくのは手首の動きまで発生するので、そっちよりかは慣れやすそうな雰囲気です。

 
ルビー支持を克服せよ
 最後のほうでナンですが、最も基本的な要素であるボールの操作感について。ボールペンの先のようなルビー球支持の現代的トラックボールは、恥ずかしながら初めて使うということもあり、ベアリングタイプのように購入直後は動きが渋い、ということがあるのかどうか、この先馴染んでくるのかどうかがちょっと読めません。読めませんが、今現在のところ回転感に関してはスムースで適度な重量感があり、あまり不安は感じていません。

 ただ唯一の不安点は、動きだしの挙動です。静止状態から動き出すまでがちょっと固く、微少な操作が行いにくい状況です。これは指先の力の入れ具合と慣れにも依存するのでアレですが、使い倒したベアリングのEM5と比較すると、滑り出しや回転の終わりに滑らかさが少なく、クローズボックスを押す時など、ラスト5mmの操作が「ククッ」っとちょっとぎこちなくなってしまいます。

 個人的に、トラックボールによる操作は、適当な大移動と、最終的な微調整という動作の繰り返しで成り立っていますが(マウスでも似たようなもんですが)、この最終的な微調整のポインティングの部分で今一歩SBTに慣れていないというのが正直なところです。これがボール表面やルビー表面に脂などが馴染むことで改善されるのかどうかが経験不足により分からなく、杞憂であればいいのですが、まぁ、いずれにしても、遅かれ早かれルビー球支持に移行する時がやってくると思われるというか、もとより入力デバイス難民と化していた我々に選択肢は残されておらず、これまでもそうであったように新たな支配者たるSBT環境を受け入れるべく体を慣れさせていく、というのが当分の間続きそうです。

 
追記 2009/04/13
 実利用時間で数時間が経過した段階で、動きだしの渋さなどはかなり改善されてきました。が、やはりベアリング支持のそれとは根本的に異なる仕組みから、同様のフィーリングに到達することは難しそうな気配です。

 せっかくなのでボタン部分について。EM5では独立した山型モールド付きのボタンが採用され、チキチキと軽快なクリック音でしたが、SBTではボタンがボディと一体になったデザインで、ポチポチといった少し低めのクリック音になっています。

 クリック感はEM5などのボタン独立タイプと比べると少々難がある仕様です。というのも、クリックする場所によりクリックの重さが変わってしまうからです。慣れれば同じ場所をクリックするようになるので、クリック感の重さのムラは感じにくくなりますが、なにかの拍子にいつもと違うポジションをとるとクリックの重さで如実に「場所が外れてる感」が出てしまうのは賛否が分かれるところかもしれません。

 もっとも、薄型のボディとあわせ、外見的にはかつてなくシンプルで綺麗にまとまっているので、そういった部分とトレードオフになったのがクリック感や、汚れや指紋に対する(見た目の)耐性ということになるのでしょう。
 

蔵書管理しやしゃんせ

 
 途中で飽きるかなと思っていたら、あまり止まることなく増え続けているラノベですが、なにぶん手を出したのが最近ですから、長く続くシリーズものの1巻をまず買って、面白ければ2巻、3巻と順に買っていく、というパターンもしばしば。一方で、他のタイトルも並行して読んでいるわけですから、「アレは最新巻が○○日に発売、ソレは3巻まで持ってて面白かったから4~5巻目まで買ってもいいかも……そういやコレは何巻目まで持ってたっけ? あれれ?」 といった事態が起こりうるのですな。家のPCでAmazon.co.jpを前に悩む分には書棚に見に行けってだけのハナシですが、外出先だとそうもいきません。まぁ、ラノベに限らずコミックをたくさん集めている人も、同様の状況に直面することはあると思います。

 そこで、パソコンを使った蔵書管理、というところに行き着くのですが、ここでは、ソフトウェアを使ったオフライン主体のものと、Webサイトで提供されるオンラインサービスの2種類に大別できると思います。もっとも、ソフトウェアでオフライン主体といっても、最近ではAmazonなどのデータベースと連携する機能が充実しているので、オフラインというより1台のパソコンで管理する、という考え方が正しいかもしれません。

 もう一方の、ブラウザでアクセスして利用するオンラインサービス型では、Amazonなどのデータベースとの連携はもちろん、外出先でもWebサイトにアクセスすれば蔵書のデータベースを管理できるのが最大の特徴でしょう。会社やネットカフェ、移動中のノートパソコンからも利用できますし、一部では携帯電話からのアクセスにも対応しています。

 
MediaMarkerを使ってみる
 そんなわけで私はオンラインサービス型として「MediaMarker」(メディアマーカー)を試してみました。総合トップの微妙なロゴはともかく、検索や登録から未読・読了などのステータス、購入金額の管理、ジャンル、タグ、コメントの共有など、なかなか機能が豊富です。書棚のデータにあたる「バインダー」は公開・非公開が可能なので、自分専用としても使えます。

 この手のサービスは、始めるときの膨大な登録作業をいかに簡単に済ませるか、というところがミソだと思います。私にしても、始めてしまえば、月に数冊~十数冊の登録で推移するでしょうから、最初に登録しようとしている100冊程度はまぁどうとでもなるレベルとしても、とりあえず一番最初の登録作業が難関というか、めんどくさいわけです。

 
バーコードリーダーも使う
 そこで、登録をより簡単にするのがバーコードリーダーなのですな。コンビニのPOSレジでおなじみのアレです。上記の蔵書管理ソフトやオンラインサービスでもバーコードリーダーに対応しているものが増えていると思います。入力の簡単さからいって、100冊以上を登録しようとする人は必須といっても過言ではないかもしれません。最初だけでなく、継続的に登録する際にも、ピッと簡単に済ませられるのはなかなかポイントが高いと思います。また、キーワード検索の結果から選択する場合では、類似したタイトルやバージョン違い的なものまで表示され迷うことも多いので、ISBNを読み取ってドンピシャで指定できるのはちょっとした安心感もあると思います。

 昔と違って現在ではUSB接続のものも売られており、ざっと調べたところでは秋月電子エフケイシステムで売られている製品がお値段的に手頃ではないかと思いました。このあたりでは、USB接続型なら最安は5000円台となっています。ヤフオクならもう少し安いものもあるようです。

 ワタシはといえば、いかにもレジ機器っぽい形状はちょっとなぁ、とか思っていたので、エフケイシステムのペン型バーコードリーダー「PEN-400PX-U」を買ってみました。金属ボディがなかなかソソる一品ですが、レジっぽい形の製品よりはお値段は少し高め。サイズや太さは4色入りボールペンやこだわりグリップ系ボールペンぐらいのもので、使わない時も邪魔にならない感じです。スタンドも付いてきました。

 ペン型なので、当然ながらレジっぽいやつより読み取り時の操作は一癖あります。レジっぽいやつは、ウィンドウ部をかぶせたり、照査される光をバーコードに当てたりするだけでいいですが、ペン型はバーコード上をなぞる操作が必要です。もっとも、慣れればたいしたことは無いのですが、例えば1000冊を一気に読み取る、なんて場合なら、さすがにレジっぽい形状の方がいいかもしれません。

 ペン型での操作のコツは、なぞる速度を一定にする、けっこう速くなぞっても大丈夫、なぞる最初と最後に余白をもたせる、といったところでしょうか。ペン先が軽く接触していれば、けっこう斜めの角度(45度まで)でも大丈夫で、おそるおそるではなくサッと一気になぞると良いかんじです。ちなみに、なぞる方向は右から左、左から右のどちらでもOKです。

 USB接続型ということでパソコンに手軽に接続できますが、PS/2接続型でも基本的には同じで、専用ドライバなどのインストールは不要です。バーコードリーダーの類は、パソコン側からはキーボードとして扱われます。つまり、バーコードから読み取られたデータは文字列に変換され、それがキーボード的なものからの入力としてカーソル位置に入力されるだけなのですな。なので、ISBNやJANの数字をキーボードでカタカタ手で入力するのと、バーコードリーダーで読み取って入力するのは、パソコン側からすれば同じことなわけです。10~13桁とかの数字の手入力の手間を省くっていう、ただそれだけです。もっとも、何十冊にわたって10桁以上の数字を間違いなく入力するってのがめんどくさいわけで、そこがペンでなぞるだけになるなら、個人的には導入の価値があると思った次第です。まぁ、ただ入力デバイスが好きなだけという説もありますが……。どうでもいいですがそのへんに置いてあったハードディスクに貼り付けてあるプロダクトナンバーのバーコードとかも読めましたし、とりあえずふつーのバーコードの類だったら普通に読めます。

 バーコードリーダーでちょっと面白かったのは、設定もバーコードを読み取って行うところです。マニュアルとして、設定変更のためのバーコードが記載された取扱説明書が付いてきます。基本的に業務用なのでさまざまなシステムに対応できるよう、いろいろな設定が用意されているのですが、例えば読み取った文字列の前、あるいは後に特定の文字を常に追加する、などです。デフォルトでは読み取った後にEnterキーを1回入力する設定になっており、こういった挙動も変更できます。また、USBプラグの近くにある台形のユニットからは、バーコードの読み取りに成功すると音がでるようになっているのですが、これを無音にしたり、音程や音の長さを変更することができます。最初は「ピー」だったのを、音が低めの「ピィィィ」とか、高めの「ピッ」とかに変えられるわけですな。

 
実際に登録しやしゃんせ
 さて、ペン型バーコードリーダーのハナシはともかく、実際に登録です。手元には100冊ぐらいのラノベがあるので、これを登録するわけですが、この手のサービスは、Amazonでキーワード検索した結果をポチポチと選んで、持っているリストとして登録するというのが一般的です。

 MediaMarkerには一括登録フォームが用意されており、バーコードリーダーを使うなら、ここに読み取ったISBNをじゃんじゃん入力していけば、Amazonを参照して情報を一括登録できます。前述の通り読み取った文字列に改行が追加されるので、一括登録フォームへの入力では読み取る度にキーボードやマウスを操作する必要は無く、次々にバーコードを読み取っていくだけです。ちなみに私の環境では、バーコードリーダーでの入力時、日本語入力モードをオフにしておかないと、バーコードリーダーからの改行コードが正しく認識されませんでした。

 一括登録時には、初期値としてタグや読了などのステータスを予め決めておくことができます。なのでラノベを一括登録するときはタグに「ライトノベル」と入るようにしておきました。ラブコメとかファンタジーとか内容を反映させたタグも入力したいのですが、一括登録という作業では初期値を頻繁に変更するとかいうことになり、ちょっとめんどくさいのでそこは諦めました。

 手元にあったのは100冊すこしですが、バーコードリーダーでの読み取り作業自体は15分もかからずに終わってしまいました……。どちらかというと書棚から出したり入れたりしていたほうが時間がかかっていたかもしれません。思いの外早く終わったのでついでにコミックも入力してみました。ちなみに書棚がパソコンと離れていて、本をパソコンの前まで持ってくるのがめんどくさい、という人は、ノートパソコンにバーコードリーダーを接続して自らが書棚の前におもむく、というのがいいかもしれません。オフラインならテキストエディタに一端入力して、後から一括登録フォームにコピペすればいいですし、無線LANが使えるならその場で登録できると思います。

 MediaMarkerは基本的にAmazonの情報を参照しているので、Amazon側の情報のブレもそまま反映されてしまうのは仕方ないというか微妙なところ。例えばAmazonで、コミックの「ケメコデラックス!」は出版社が「メディアワークス」となっていますが、4巻だけは「アスキー・メディアワークス」で登録されており、MediaMarkerの表示では出版社でソートすると4巻だけ違う場所に表示されてしまいます。もっとも、これはMediaMarker側がISBNに含まれる出版社コードもソートに反映させれば解決するような気もしますが……。

 
 外出先から確認したいという当初の目的からすれば、本領を発揮するのはこれからということになりますが、バーコードリーダーの導入はともかく(笑)、興味がある人は試してみると面白いのではないでしょうか。
 

HP 2133とUbuntu 8.10

  ∵∵∵以下は2008年11月の情報です∵∵∵
 

 
 ネットブックが盛り上がっておりますが、ネットブック的なわりと先駆け的プロダクツとして知られるHPの「HP 2133 Mini-Note PC」を中古で買ってみました。発売時にけっこう心惹かれるものがあったものの、なんだかんだで手を出さずじまいだったところ、惹かれポイントその1であった英語キーボードのみというラインナップが日本語キーボードのみに変更されてしまい、ああもうどうでもいいやと思って諦めていたのですが、一向に止まないネットブックの新製品発売で各機種を比較していたところ、やはりスペック的にはネットブックの仕様が固まる前に出された(からなのか?)2133が一歩抜き出ている印象でした。購入した2133「ハイパフォーマンスモデル」のキーボード以外で個人的に評価したのは、1280×768の液晶、1000BASE-Tの有線LANポート、ExpressCard/54スロット、2GBのメモリ、Windows Vista Business(XPダウングレード権付き)など。PC Watchでの詳細レビューはコチラ、同じくXPダウングレードのレビューはコチラ

 録画専用マシンを組もうかどうか迷っていたので、1000BASE-Tの有線LANポートとExpressCard/54スロットはネットワーク内でブリブリ働いてもうためには必須となる予定です。ExpressCardはeSATAカードを入れてeSATA接続のハードディスクをぶら下げます。まぁ、録画マシンとして活かせるかどうかは、それほど本気でもないというか、実際に録画マシンとして稼働させたら一歩も動かせなくなるので、実験的に動かす程度になるかもしれません。実際に稼働させていると、ネットブックというよりホットブックと言いたい感じでなかなかにアツくなる筐体なのですが、まぁそのあたりはいろいろトレードオフな結果なのだと思います。

 で結局なにがしたいのかと言えば、自宅のPC(Mac)が1台ドナドナしたせいでWindows PCが1台のみというひさびさにサビシイ環境を埋め合わせするため、といったところですが、きっかけは10月の末に最新版がリリースされたLinuxディストリビューション「Ubuntu」(ウブントゥ)を入れてみようと思ったからなんですね。ではUbuntuを入れてナニをするのかといえば、とくに考えてなかったりするんですけど、とりあえずはWindowsとデュアルブート構成にしつつ、サブマシンとしてのLinuxがどこまで使えるのか、といったところを試してみたかったわけです。普段さわっていないOSをイロイロさわるのは楽しいですから。

 実はLinuxに手を出すのはこれが初めてではなく、7~8年前にVAIOの505(N505)にターボリナックスを入れて「モバイルLinuxや!」と意気込んだものの、LANのドライバが無くネットに接続できずに敗れ去るという過去があったりします。あの頃からすればLinuxディストリビューションも隔世の感があるのですが、その代表格ともいえるのがUbuntuということになるかと思います。個人的にはトラウマ的敗退を喫しているモバイルLinuxの夢再び、といったところでしょうか。
 

 ひとまずは、XPにダウングレードしたほうがより快適というので、XPにダウングレードしました。XP用のドライバはHPのサイトからダウンロードできるのでラクですが、インストールする順番も書いておいて欲しかった気もします。その後はUbuntuのisoファイルをダウンロードし、CD-ROMを作成してCD-ROMブートでUbuntuをインストールします。そのままだと描画がヘンになってフリーズするので、F6の起動時オプションに xforcevesa と記述してインストールを開始します。2133のBIOSはF.04だったんですが、最新のF.05だとCD-ROM起動に失敗する報告がいくつか上がっていました。BIOSはダウングレードもできるようですが、あんまり頻繁にいじりたくはないところです。クリティカルな問題に出くわさない限りBIOSはそのまま、ってばっちゃが言ってた気がする。

 10月30日にリリースされたUbuntuの最新版は「Ubuntu 8.10」ですが、2133が発売されたころにリリースされていたのは「8.04」なので、いくつか存在していた、2133にUbuntuをインストールする際のテクニク集も8.04ベース。8.10インストールの際には役に立つところとそうでないところがあり、そのあたりは少し苦労しました。

 主だったところでは、グラフィックドライバ、無線LANドライバ、内蔵ヘッドホンジャック・マイクあたりが鬼門で、8.04を2133に入れる場合では特に無線LANドライバがめんどくさいことになってました。しかし8.10では無線LANドライバの問題は解消されており、インストール後に出てくる推奨ドライバを有効にすれば問題ないようで、WPA(AES)でひとまず動いています。ヘッドホンジャックの認識問題も無いです。マイクは認識していないですが、よくわからないのでひとまず放置してます。どうでもいいですが、2133にはなぜか無駄にステレオマイクが内蔵されています。

 最大の鬼門はやはりグラフィックドライバで、私は基本的によくわかっていないので、ご丁寧にVIAから提供されているUbuntu 8.04用のドライバはうまく機能させられませんでした。うまく機能させられる方法はあると思いますが分かりません。なので、オープンソース?のドライバ「openchrome」を使いましたが、これはVIA提供のドライバのインストールと違ってかなり簡単な手順で済みました。

 
 再インストールのたびに、参考にしたページを探してまわるということを繰り返したりするので、自分用メモとして他所様から拾い集めたり改変したりしたものを続きのエリアに残しておきます。基本的にUbuntuインストール直後を想定した内容です。Synergyに関してはコチラの内容なので完全に他所様ソースです。以下、続きのページを参考にされる場合はいろいろ注意しましょう。PCがブッころんでも知りません故。

【2008/11/20】
 11月4日にVIAからUbuntu 8.10用ドライバのベータ版がリリースされています。リンク先のVIAのページでOSを「Ubuntu 8.10」、プラットフォームは「CN896+VT8237S」を選択し、Driverの枠から「Beta Unified 2D driver Ver85a-43862(04Nov08) (593.3K)」をダウンロードします。v2DInstallでインストールするとエラーは出なかったものの表示が乱れたため、Ubuntuのフォーラムで2133のTipsとして公開されている情報を元にxorg.confを書き換え、さらにDiverをviaにし、ログイン時の解像度が不自然なのでMonitorセクションをデフォルトに戻しました。当然ながら、前述・後述のopenchromeとVIAのベータドライバは排他利用です。

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