東芝 FlashAir

 東芝の無線LAN搭載SDHCメモリカード「FlashAir」(SD-WL008G)が3月10日に発売されたので買ってみました。

 以下は長くなったので簡単に書いておくと、FlashAirは無線LANアクセスポイントとなり、スマートフォンなど接続した端末のブラウザで中身を見たりコピーしたりできるというものです。

 同じように無線LAN搭載のSDカードとして「Eye-Fi」がけっこう前から販売されています。今までEye-Fiの対抗となる製品がほぼ出てこなかったのは、よくよく考えてみると少し不思議なくらいですが、この東芝のFlashAirはさまざまな意味でEye-Fiとは異なるアプローチになっており、単なる二番煎じになっていないのが興味深いところです。

 今のところラインナップは1つで、SDHCの8GB、Class 6というものです。容量や速度については今後の動向を見ながら拡充が検討されていくようです。8GBのメモリーのうち、ユーザー領域は7.2GBで、無線LANの仕様はIEEE802.11b/g/n、セキュリティはWEP、TKIP、AES(WPA/WPA2)となっています。通常はWPA2-AESが使われます。なお、Webサイトなどで紹介されている機能のうち、いくつかは対応カメラの登場を待つ状態となっており、現時点で利用できるのは「ワイヤレスデータ転送」のみと、シンプルな内容です。

 無線LANについては、国内の無線認証(技適)だけでなく、北米、欧州の認証も取得していることで35の国と地域に対応し、今後も拡大される見込みです。これにより、外国旅行に持参した際には胸を張って利用できるというわけです。もっとも、従来から無線認証の有無がエンドユーザーレベルで問題になることは少ないですが、この製品がグローバルで販売されることを念頭に置いて開発されているという証でしょう。カードの裏側には認証番号やマークや印字されています。

 Eye-Fiはデジタルカメラとデジタルビデオカメラでの使用が前提でしたが、FlashAirはSDHCカードに対応する一般的な機器なら基本的に対応できます。もちろん、カメラが主要な用途として想定されていますが、仕組みとして標準的なものを利用しているので、カメラ系にとどまらず幅広く利用できるのが特徴です。私はデジタルカメラで利用するつもりですが、アイデア次第でカメラ以外でもいろいろ活用できそうです。カメラ系の対応機種はWebサイトで案内されています。


 
■FlashAirに保存されているデータをブラウザで表示

 メモリー部分については特筆すべきところはありませんので、気になるのは無線LANの通信部分です。無線LANを利用した通信機能としては、「ワイヤレスデータ転送」「P2P」「サーバーアップロード」の3つが用意されていますが、「P2P」「サーバーアップロード」はカメラ側の対応が必要ということで、現時点では利用できません。ちなみに、「P2P」機能はFlashAir対応機器同士でデータ転送を行う機能です。「サーバーアップロード」機能はオンラインサービスやブログにデータをアップする機能で、公衆無線LAN経由にも対応すると案内されています。

 「ワイヤレスデータ転送」機能が現時点で使える機能ですが、これはFlashAirが無線LANアクセスポイントとなって、クライアントの接続を待ち受けるというものです。考え方はEye-Fiのダイレクトモードと同じです。SSIDとパスワードはFlashAirに初めて接続した際に設定できます(次回接続時には設定画面が出なくなります)。専用ソフト「FlashAirTool」(Windows版のみ)を使ってSSIDを設定・変更することも可能です。

 FlashAirに対しては、スマートフォンやパソコンなど無線LANに対応した機器から、前述のSSIDを検索・選択して接続します。するとFlashAirからはローカルIPアドレスが割り振られ、無線LANルーター、あるいはモバイルWi-Fiルーターなどに接続した場合と同じ状態になるわけです。もちろん、インターネットには接続できるわけではありません。確か4台まで同時接続ができたと思います。

 次に、スマートフォンやパソコンなど接続した機器でWebブラウザを開き、URLに「http://flashair/」(あるいは http://192.168.0.1/)と入力しアクセスすると、FlashAirのメモリーに保存されているデータが(ブラウザ上に)表示されます。そして、必要なデータをスマートフォンなど端末側に保存すれば、データの転送が完了するという訳です。メモリー側は動いているので、この状態でFlashAirが装着されたカメラで撮影を行えば、リアルタイムにデータが増えていくのを確認できます。画像はサムネイルが表示され、それなりに高速に表示してくれます。サムネイルは元画像にリンクされています。

 保存や表示内容はFlashAirというよりブラウザ側の挙動によるので一概には説明できませんが、Androidでは標準ブラウザ、Chromeで問題なく動いています。機会があってiPhoneや“新しいiPad”でも試しましたが、元画像の表示はSafari上では縮小されるものの、保存するとちゃんと元画像のサイズでした。

  

 メモリー内のデータにWebブラウザでアクセスできるという汎用的な方法を採用することで、クライアントを選ばない仕組みになっており、専用アプリが要らないのは比較的分かりやすいといえます。また、FlashAirに保存されているデータは画像に限らずすべて表示され、ブラウザの操作により端末側にコピーすることができます。もちろん、端末側でそのデータが扱えるかどうかは別問題です。

 現時点での課題は、写真データの一括コピーができず、写真を1枚ずつ保存する必要があるという部分ですが、ブラウザで表示しているので、パソコンであればダウンロードツールを使うことができます。Webブラウザでの表示においては、分類やソートなど表示方法も拡充してほしいところですが、ここはHTMLの見せ方次第ともいえるので、ファームウェアのアップデートで改善されることを期待したいですね。スマートフォン用アプリが出てくれば、こうした使い勝手は大幅に改善されるかもしれません。

 なお、このWebブラウザでアクセスするFlashAirのWebサーバー機能では、ブラウザ上の操作でデータの削除はできません。これはFlashAirが装着されたカメラ側との整合性をとるためで、あくまで閲覧や端末へのコピーが基本となります。削除はカメラなどFlashAirが装着されている機器側で行います。

 Eye-Fiのダイレクトモードは、基本的にスマートフォンのアプリのみに対応し、アプリのみがEye-Fiと接続できる仕様です。また、自動転送を基本としているため、スマートフォンに“自動的に送られてくる”という感覚で利用するものでした。一方、FlashAirの「ワイヤレスデータ転送」はスマートフォンなどから“取りに行く”という感覚で、ユーザーの任意のタイミングで操作や転送を行うことになります。この点では、Eye-FiとFlashAirは正反対の感覚といっていいでしょう。

 
■無線LANの自動起動モード

 転送方法と並んで気になるのは無線LANの通信機能を起動させるタイミングです。カメラ側の電池の消費を考えると、無線LANを常時ONにしているのは現実的ではありません。FlashAirでは装着した機器の電源が入ると自動的に無線LANがONになる(SSIDが見えるようになる)自動起動モードが、デフォルトとして設定されています。起動モードの変更は前述のWindows用ソフト「FlashAirTool」で行えます。

 起動モードは関係ありませんが、無線LANがONになってから実際にSSIDが見えるまでには、だいたい20~30秒程度の時間がかかるようです。

 自動起動モードにはタイムアウト時間が設定されており、デフォルトでは5分です。1分、3分、5分、10分から選択できます。タイムアウト時間とは、無線LANが接続されていない時間を指しています。タイムアウトで無線LANがOFFになった場合は、カメラの電源を入れ直すなどすれば再びONになります。

 ここで気付いた人もいるかもしれませんが、この自動起動モードは、別にカメラに装着されている状態でなくてもかまいません。FlashAirに対し電源が供給されれば起動するのです。つまり、SDHC対応のリーダーライターやパソコンのSDHC対応カードスロットなどに装着しても、自動起動モードであれば無線LAN機能が起動します。節操がないといえばそれまでですが(笑)、Webサーバー機能では画像に限らずすべてのデータを表示できる点を組み合わせて考えると、この単純さは使い勝手の幅を広げてくれるでしょう。

 
■無線LANのマニュアル起動モード

 無線LANのもうひとつの起動方法はマニュアル起動モードです。これは、FlashAir内に予め用意されている画像の、プロテクトを解除する(無線LANをON)、再度プロテクトをかける(無線LANをOFF)という、ちょっとユニークな方法で操作します。画像のプロテクトというのはデジタルカメラならどの機種でも用意されている、カギのマークのアレです。上の写真はカメラの操作画面のようで紛らわしいですが、JPEG画像を表示しているだけで、この画像に対しプロテクトをかけたり解除したりすることがトリガーとなります。

 プロテクトを解除した状態、すなわち無線LANがONの状態でカメラの電源を切った場合は、再度電源を入れただけでは無線LANはONにならないので、無線LAN操作用の画像に一旦プロテクトをかけ、再度解除することで無線LANが起動します。

 前述の自動起動モードの場合は、この画像のプロテクトによる無線LANの操作は行えません。

 マニュアル起動モードで無線の操作に使う画像ですが、FlashAir内の「DCIM」フォルダの中にある「100_TSB」というフォルダに保存されています。注意が必要なのは、デジタルカメラなどでメモリカードのフォーマットを行うと、この画像を消してしまうということです(FlashAirToolで戻せます)。自動起動モードには影響はありませんが、マニュアル起動モードに設定していた場合、この画像がないと無線LANを起動する手段が(一時的とはいえ)なくなってしまうので注意が必要です。この仕様はパッケージ付属のマニュアルでも別紙で注意喚起がなされています。フォーマットしてしまった場合は、前述のWindows用ソフト「FlashAirTool」を使って「カードの初期化」を実行することで元に戻せます。ただし、初期化なのでSSIDなどの設定も出荷状態に戻ります。

 なお、カメラによっては「100_TSB」というフォルダ自体を見られない場合があります。その場合はマニュアル起動モードは利用できないので、自動起動モードで利用することになります。

 
 このほか、CFアダプターを用いて、対応機種でないデジタル一眼レフカメラにFlashAir装着しても、無線LANを起動させることができます。当然、利用は自己責任です。なお、CFを利用するようなデジタル一眼レフカメラは、カードスロットへの電源供給をカットする、軽いスリープモードのような機能を備えている場合があるので、そうした設定を変更する必要があるかもしれません。私が持っているニコンのデジタル一眼レフカメラでは「半押しタイマー」なる設定がそれで、この設定を長時間の設定や無限(=OFF)などに設定してやることで、FlashAirを問題なく使うことができました。これはEye-Fi利用時でも同じです。カメラ側の電池の消費は気持ち早くなるので留意する必要はありますが。

 上の写真のニコン「D3」はType II対応のCFスロットなので、写真のサンワサプライのCFアダプター経由でFlashAirを装着できますが、D3は「100_TSB」フォルダを認識しないため、マニュアル起動モードは使えず、自動起動モードでのみ利用できました。ちなみにニコンでは「D4」「D800/E」「D700」など新しいモデルはCFスロットが薄型のType I になっているため、写真のType IIのCFアダプターは装着できません。で、恐らく、SDHC対応のCFアダプターはType IIの製品しかないと思われます……。

 CFではなくSDHCカードに対応しているリコー「GXR」はどちらの起動モードでも問題なく利用できました。

 
■Webサーバーの機能拡充、アプリの登場に期待

 現時点では、Webブラウザでアクセスして1枚ずつ端末に保存するという内容ですが、スマートフォン上で利用する目的なら、ひとまず大きな不満はありません。スマートフォン用アプリがどういった仕様になるのかは分かりませんが、FlashAir側にデータをアップロードするような仕組みがあっても面白いかもしれません。

 8GBで、ヨドバシカメラでは6980円と、先端ユーザーには不満が残りそうな面もありますが、このあたりは今後のラインナップの拡大に期待したいところ。東芝のような大企業がリリースし、かつEye-Fiの対抗馬としては十分に興味深く、ポテンシャルを秘めていると感じます。

HDR-CX560Vを買うの巻

 


 
 動画撮影という類の行為にはあまり接することなくこれまでやってきたのですが、Ustreamの撮影その他諸々を程良く依頼され、いい機会だとばかりにビデオカメラに手を染めてみました。とはいっても特にこだわりがあるわけではなく、まずは今どんな製品が出てるのか改めて調べてみるところからはじめ、Ustream配信におけるビデオカメラの位置づけ、必要な道具の類に現実的な資金投入範囲であたりをつけ、まぁ普段の買い物からすると比較的適当な勢いで中古屋のショーウィンドー前に佇むことになりまして。

 最初は前モデルのラインナップで安くあげようと思いましたが、ひとしきり悩んで(中古の)現行モデルの「CX560V」にしました。注目したポイントは、広角端が35mm換算で26.3mmとワイコン無しでも十分広角なところ。比較対象とした「CX500V(520V)」では驚くべきことに省かれていた外部マイク入力端子を(当たり前ですが)備えているところ、センサーサイズが下位モデルと比較して1/2.88型とまともなこと、などなど。

 ちなみに写真の状態は、純正レンズフードがラインナップされていないので、UN製のラバースクエアレンズフード「UNX-8115」を装着しています。一眼レフではフード必着派なので、無いと不安なんですね……見た目的にもバランスは良いと思いますが、フラッシュとナイトショットの赤外線は被って使えない感じでしょう。取り外し自体は比較的簡単です。ビデオカメラ本体のボディカラーはブラックが欲しかったんですが、お店の中古の棚にはシルバーしか無く、ここは妥協した点ですが、黒いレンズフードを付けたらちょっと引き締まった感じになったでしょうか。

 


 

 最初の目的はUstreamですし、Ustream Producerなど無料の配信ソフトを使い、今のところSD解像度で配信することもあり、カメラ本体の録画する機能についてはあまり求めていませんでした。が、現行モデルということで自動的に現代的なスペックになっておりますので、何かの折に活用できればと。SD解像度の配信に制限される、というあたりとも関連しますが、ライブカメラとしてパソコンに取り込む方策は、大金で機材を揃えるとかでないなら、現実的には映像のスルー出力をコンポジット端子→USB変換というのが大勢のようです。

 で、先達の例に習い、USBキャプチャーツールとしてバッファロー「PC-SDVD/U2G」を買ってきました。特に問題なく動作し……と言いたいところですが、「CX560V」のA/Vリモート端子から出力したS端子の映像はUstream Producerではうまく取り込めず、赤白黄のコンポジットでの運用となりそうです。

 また、この方式ではビデオカメラはひたすら録画前のスタンバイ状態で、それをスルー出力した映像をライブ映像として配信することになります。その際、(少なくともCX560Vでは)ファインダー画面上の各種表示はスルー先には表示されませんが、メニューを表示させた場合や、何かモードを変更した場合はスルー先にもドバっと表示されるので、ズームイン・アウト以外の設定は事前に最適な値を出して固定しておく必要があります。また顔認識のフレームはスルー先に常時表示されるので、顔認識を使ったオートフォーカスは実質的にUstream配信では使用できないと思います。ほかにもスリープ機能はオフにし、ACアダプターを接続しての運用となる見込みです。

 


 

 カメラの映像をライブ配信に使うのは「PC-SDVD/U2G」(あるいはアイ・オーの「GV-USB2」あたり)でひとまず解決しましたが、ほかに問題となるのはマイキング、ライティングだろうとメドを付け、ライティングについては配信場所にでかいランプを追加して解決したつもりに。暗い場所に強い現代的なカメラとはいえ、明るいにこしたことはないのですが、間接光にするか、多灯にするかなど、こちらもやり始めたらキリがありませんので、ひとまずホワイトバランスを調整しやすいようにミックス光源を避けて色温度を統一し、「なんか暗くね?」というのは回避できるというレベルでOKとします。

 マイクについてはビデオカメラに装着するソニー純正の小型のガンマイク「ECM-HGZ1」をまず購入しましたが、テーブルについた状態でのトークイベントのような形での配信が想定されるので、マイクを独立させ、より話者に近いほうがカメラのアングルに左右されず理想的だろうと考え、バウンダリーマイク(壁・床・机上用マイク)としてオーディオテクニカのステレオマイク「AT9920」も追加しました。いきなりビデオカメラ本体にマイク入力端子があってよかったという事態です(ふつうは有ります)。この「AT9920」は離れた周りの音もそれなりに拾いますが、テストをした限りではマイクの近くにいるひとの声は大きく、クリアに拾ってくれるので、テーブルで複数人が思い思いにトークを繰り広げるような場面では活躍できそうです。各人にワイヤレスピンマイクを用意するなんて予算も運用ノウハウも無いですからね……。

 さて、人生で初めてビデオカメラを購入して1週間で、そつなく配信イベントは成功するのでしょうか……詳しくはTwitterなどでお知らせできる予定です。
 

Jam for Windows 2.1

 


 
 Oh! SID!! に続いてローファイなネタです。紹介する「Jam for Windows 2.1」はマルチフォーマットのミュージックプレーヤーソフトで、SNDHファイル、すなわちAtari STの楽曲ファイルの再生(エミュレーション)がメインのソフトです。

 Jam for Windows 2.1は、SNDHファイルによるAtari STサウンドのエミュレーションをメインとするソフトですが、バージョン2.1ではMOD(Amiga)、SID、MP3、OGGなどもサポートされています。UIは常識的で分かりやすく、あまり迷うような部分はないと思います。プレイリストにも対応しているので、ウィンドウにsndhファイルを放り込み、気に入った曲だけを残していけばお気に入りのリストができあがります。

 SNDHファイルは拡張子がそのまま「.sndh」のファイルで、Atari STに搭載されているサウンドチップ、YM2149を駆動させる“楽譜”に相当するファイルです。Atari STが作曲マシーンとして活用された経緯からか、コモドール64のSIDサウンド、SIDチューンのデモシーンと並んで、Atari STのデモシーンにも数多くの楽曲が提供されています。YM2149の基本は3音の矩形波+ノイズで、聞きなれたファミコン同様の構成ですが、精度の高い制御ができるようで、音色としては同じチップが搭載されたMSXに近くなると思います。

 音関連でユニークな点として、設定画面にモノラル←→ステレオの分離設定があり、これを調整することでモノラル楽曲の音のパートを左右に分離し、強制的にステレオにできます。もっとも、強引な左右への割り振りになるので、分離設定の値を高めると定位の中央に位置する音が完全に無くなります。スピーカーではまだ聞けますがヘッドホンだと脳内の音像が左右に分断され違和感が非常に強くなります。個人的にはヘッドホンで5%ぐらい、スピーカーでは15%ぐらいの値で使っています。

 使い勝手の面でプチ難点を挙げるとするなら、プレイリストウィンドウが分離・移動できず、サイズも変更できない点でしょうか。せめてリストウィンドウの上下の伸長ぐらいは対応してほしいところです。

 さて、カンジンの楽曲ファイルですが、「SNDH Atari ST YM2149 collection」で多くのファイルが提供されています。また、Jamを配布している「The Cream Headquarter」でも、Tao/Cream、Jochen Hippelなど一部の作者の楽曲ファイルが提供されています。Tao/Creamはノスタルジックで渋いテイストの楽曲が多く、Atari STのシーンの中でもお気に入りのアーティストです。また、Jochen Hippelはさまざまなテイストの楽曲を残していますし、Atari STのシーンでもSIDチューン同様に無数の楽曲とアーティストの中からお気に入りの曲を選ぶことができます。

 
■SIDプレーヤーとして
 


 
 JamはSNDHファイルの再生用として使っていますが、SIDファイルの再生にも便利だということに、このエントリーを書いている時に初めて気が付きました……。JamにおけるSIDファイルの再生は、ファイルを読み込んで再生するだけなので、HVSCのアーカイブをフォルダ階層ごと管理したり、STILを表示したりといった機能はありませんが、楽曲の再生では曲長を認識しており、プレイリスト上で自然に扱うことが可能です。これがナニゲに貴重だったりします(笑)。

 SIDファイルには、ひとつのファイルに複数の楽曲やSEが納められている場合もありますが、こういったファイルの場合、Jamのプレイリスト上では各曲が個別に登録されるので、気に入った曲だけをリストに登録できて、これまた便利です。

 SIDのチップは2種類あるので、楽曲指定のチップを使っているのかどうかとか(聞き比べれば分かりますが)、エミュレーション精度については私の不勉強なところもあってちょっと言及しかねるのですが、リスト管理対応でとりあえず再生、気分によってはランダム再生、という場合なら、かなり普通に扱えるプレーヤーソフトだと思います。
 

X100eに英語キーボード

 

  

 
 当初からの予定通りX100e用の英語キーボードを注文し、届いたので取り付けてみました。

 IBM時代からThinkPadには「保守マニュアル」が用意されており、部品を交換可能な本体部分の分解方法や、ネジやベゼルなど詳細な部品と部品番号が掲載されています。そして、部品番号を調べれば、IBMの保守用部品の販売窓口にて電話で注文でき、郵送で受け取ることが可能になっています。基本的には、保守マニュアルの中でユーザー自身で交換可能とされている保守用パーツを発注するための仕組みだと思います。本体はレノボが販売していますが、保守用部品の販売はIBMが行なっています。

 今回は、X100e用の英語キーボードを1つ注文しました。電話口で担当者に型番を告げると在庫の有無を確認してくれるので、FAXで注文票を受け取り、住所などを記入して、代金の振込票(オンラインバンキングなら振込結果画面をプリントアウトしたもの)といっしょにFAXで返送すれば、すぐに発送してくれます。6日に注文し、6日扱いとなるように代金を振り込んだところ、7日に発送処理が行われていました。運送会社はペリカン便でした。ちなみに在庫がないパーツは入荷まで最大で1カ月程度かかると言われました。

 価格は、英語キーボード(45N2971)が5240円、送料が1000円、消費税312円で、合計6552円でした。
 
 
 ThinkPadの多くのモデルでは、2つのメーカーがキーボードを製造しており、今回注文したX100e用の英語キーボード(米国英語)なら、FRU番号で「60Y9366」「45N2971」の2つがあります。これまでの実績からミネベア、Chiconyの2社と推測されますが、X100eの保守マニュアルでは判別できず、部品注文の際に電話口で調べてもらった限りでも、どちらの番号がどのメーカーか、分からないということでした。ただ、今回の注文時に在庫があったのは「45N2971」だけだったので、結果的に迷う余地はあまりなく「45N2971」を注文しました。

 届いた英語キーボード(45N2971)はキートップを外すとオレンジ色のラバードームが表れました。X100eに搭載の日本語キーボードが半透明の白色のラバードームだったことや、パンタグラフの構造も異なっていることから、別のメーカー製と考えてよさそうです。ちなみに、外した日本語キーボードのFRU番号は「60Y9397」で、番号的にも60Y系と45N系は違うメーカーのようです。

 キータッチは、今回購入した英語キーボードの方がクリック感が極わずかに明瞭で、コクッというラバードームがへこむときの動きが、びみょーながら分かりやすくなっている印象です。ややメリハリが付いたことでクリックポイントまでの荷重は重くなったとも感じられますが、いずれにしてもかなり微妙な差で、その場で打ち比べなければ分からない程度です。個人的にはクリック感にメリハリが出て良くなったと感じられたので、ちょっと嬉しいポイントでした。

 一方、個体差か構造上の問題か分かりませんが、カーソルキーの左脇にある「PgUp」キーだけは、対となる「PgDn」と比べてかなりタッチが軽くストロークもほとんど無いため、使いづらいと感じました。もっとも、ほぼ使う予定はないキーなので影響は限定的と予測していますが。
 

  

 
 英語キーボードそのものの意義についてはもうメンドくさいので(笑)あえて挙げませんが、Ubuntu 10.04 LTS上では、「キーボード」で英語の設定を追加し、Anthyなど日本語入力の設定に日本語入力開始・終了キーを設定するだけで必要な設定は終了します。私はWindowsでAX配列を使用して英語キーボードの右Altに日本語入力切替キーを割り当てているので、Anthyでも右Altを切替キーに設定しています。
 

X100eとLucid Lynx

 


 
 X100eにLinuxとしてUbuntu 10.04 LTS(開発コード : Lucid Lynx)を入れてみたのは前回書いた通りですが、なんとかハードウェア面では常用レベルまでもってこれた模様、な感じ。しっかりと動く環境まで到達するのに、なかなかアノ手この手が必要なところとかもぅ途中で「OSは遊びじゃねぇ!」とかのたまってしまいましたが、プリインOSがいかに偉大かということが分かります(笑)。すでに先人がX100eに10.04を入れてあれやこれやと試行錯誤されているので、私は基本的にそれらをなぞっているだけです。

今後やっつけるべき課題

 新たな方法の発掘やアップデートの提供により今後も状況は変わっていくと思いますが、現時点の不満なポイントを挙げてみると、最も気になるのはディスプレイ輝度がOS起動の度にリセットされる点でしょうか。サスペンドからでは問題ないですが、OSが起動すると輝度最大でログイン画面が表示され、毎回輝度を下げるボタンを連打しています。電源投入直後のThinkPadロゴ画面(BIOSレベル?)では前回の輝度を覚えてるっぽいのですが……。起動時と終了時のUbuntuロゴ画面の解像度も、AMD提供のディスプレイドライバだとVGA解像度を引き伸ばしたようになり、ちょっと昔のOSっぽい感じに。このあたりはAMD提供とかのドライバーアップデートで改善されるのが望ましいんでしょうけど、まぁ今でもどっかの設定ファイルをいじれば直るんだと思います(←いろんな問題に共通することですが)。

 Bluetoothも「切」の状態を覚えてくれず、起動するたびに「入」になってます。スピーカーボリュームは位置を覚えてるんですけどね。タッチパッドの無効化も、GUIで指定する設定ではBackspaceキーを押すとリセットされ、少々面倒な設定ファイルを書かないと完全無効化はできない模様です。タッチパッドもそうですが、縁にあるタッチパッド用クリックボタンがけっこう邪魔で誤操作してしまう困り物。プリインがWindows 7なのでマルチタッチ操作ができるタッチパッドをデフォルト装備としたんでしょうが、個人的にはタッチパッドの装備自体が腹立たしい仕様です。内蔵ハード関連ではほかに、左Ctrlキーの近くにある内蔵マイクが、認識されているっぽいものの、実質的に機能していない感じです。カメラは動きました。

UbuntuマシーンとしてのX100e

 Ubuntu 10.04 LTSを入れた、単純なハードとしてのX100eですが、ディスプレイについては個体差かどうか判断できないものの、ノートパソコンの液晶にありがちな青の強い傾向の液晶で、AMD/ATIのドライバーと一緒にインストールされる設定機能で、青のガンマ値を下げ、コントラストを上げる調整をしました。

 発熱はそれなりで、ACアダプタ使用時には底面がなかなか熱くなります。ファンも回るので無音ではないですが、もともとデスクトップパソコンや外付けHDDが動いている我が家では目立たない存在です。発熱する場所は裏側の中央からバッテリーにかけての横一帯。表のパームレストのあたりがあまり発熱の影響を受けないのは、腐ってもThinkPadというところでしょうか。HDDの搭載位置もパームレストからはズレています。

 一方、単純化を進めて細かなスイッチやインジケータ類は大幅に省かれていますが、HDDアクセスランプまで省かれたのはちょっと不満なところ。また、ラッチレスでディスプレイの開け閉めにスライドボタンは使わず、中央右側が指をかけられる形状になっているものの、慣れないうちは中央の縁にあるタッチパッドのボタンを下からグッと持ち上げて「あれ開かない」なんてことに。まぁこのあたりはThinkPadを昔から使っている人には不満なポイントというだけで、価格からすれば妥当なハードウェアかな、とは思います。

 バッテリー使用時はグラフィック関連の処理も抑えられるからか、テキストエディタを動かしているくらいの簡単な作業なら発熱はさほどでもなく、ファンもあまり回らない感じです。駆動時間は、標準付属のバッテリーで満充電の状態から4時間弱との表示。

 この記事の原稿は、試しに明け方のファミレスにX100eを持ち込んで、Geditで作成してみました。Geditの使い勝手はともかくとして、日本語入力を含めて全体的に軽快で、なかなかサクサク書けますな。日本語環境はscim-bridgeとAnthyという組み合わせですが、学習とかどれぐらいしてくれるんでしょ……。
 


 
 
テキストエディタが。

 今後、実運用段階で最も問題となりそうなのは、日本語文章を入力するためのテキストエディタ探し、でしょうか。このあたりはちょっと勉強不足だったのですが、プログラミングツールとしてのエディタは各種そろっていますが、秀丸に相当するような日本語文章の作成にも重宝するテキストエディタはなかなか無いようで、いろいろ試しながら探すしかないようです。個人的には、ひとまず全角・半角スペースの表示や改行コードの表示などができるとありがたいのですが。もっとも、wineというWindowsソフトの実行環境があり、それを使って秀丸を利用することもできるようですが、なんちゅーか半分ぐらいは趣味で選んだLinuxなので、できることならLinuxのソフトの中から探したいとか考えていたりします。

いまどきのLinux / Ubuntuって

 全体的な印象ですが、個人的にはUbuntu 8.x以来のUbuntuではあるものの、とにかくGnomeなどのGUIがさらに綺麗になったという印象です。Takaoという新しいフォントのせいかよくわかりませんが、GUIのデスクトップ環境はウィンドウのテーマやフォントなどを含め全体的にさらに洗練されており、10年ほど前のGnomeやKDEがWindowsのニセ物感アリアリだったのに対し、現在のレベルならWindows 7などよりもむしろ分かりやすく、好印象な見た目になっていると思います。アイコンに関しては、一目でなんとなく機能が分かる程度の差異化は図られているので、この面では、何度見ても間違い探しみたいに覚えられないWindowsのコントロールパネルのアイコンセンスをはるかに凌駕していると思います。最小化からの復帰やワークスペースを移動した際のシュッとウィンドウが移動する演出も小気味よく動作し、少なくともX100eでは軽快に動いています。

 メッセンジャーサービスの統合クライアントや、メール、Twitterなどのマイクロブログを統括して扱えるソフトが組み込まれているのも興味深く、個々の機能はそれぞれのソフトから提供されますが、入り口の部分や通知の表示などの部分で、OS標準機能のような印象になっています。Ubuntu OneというDropboxのようなサービスが組み込まれているのも面白いですが、権限のポリシーなどもあり、Dropboxほど使い勝手は良くないようです。

 Ubuntuソフトウェアセンターは、iPhoneのApp Storeのように、Ubuntuに対応したソフトウェアがジャンル別などで紹介される機能で、ソフトウェアを手軽に探せるのは、これから始めようという私のような人間にはかなり便利な機能です。
 


 
 ドライバなど個々の製品に起因する問題はまぁ、後からOSを入れるんですから簡単には解決できない問題だと思いますが、GUIはWindowsと比べてまったく見劣りしないレベルですし、インストールするだけで最低限の稼働は可能です。NICのドライバをセットアップできずに投げ出した10年前とは違います(笑)。とりあえずの安定環境までもっていければ、後は軽快。コンソールの画面に出しましたが、64bit版を入れたのでAdobe AIRのようにちょっと詰まる場面もありそうですが、しばらくは試行錯誤しつつモバイルLinuxを楽しみたいと思います。