USB Audio Player PRO + HERUS

 当ブログでは2013年11月に「HERUS」を紹介し、Androidでは「USB Audio Recorder PRO」というアプリで聞いていましたが、2014年に入って同じ開発者から「USB Audio Player PRO」というアプリがリリースされていました。有り体に言うと、「USB Audio Recorder PRO」をプレーヤーアプリとして使っていた人が欲しかったプレーヤー機能が全部入ったアプリ、ということになるでしょうか。

「USB Audio Player PRO」メインの再生画面
「USB Audio Player PRO」メインの再生画面

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HERUS用にUSB OTGケーブルを作る

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 当方でも紹介した「HERUS」をAndroidスマートフォンで使っていると、USB OTGケーブルで片方がUSB Bという仕様のUSBケーブルが欲しくなります。Resonessence Labsのページでは地味に紹介されていたりしますが、ここは頑張って自作してみようと。

 コネクターと線材をバラバラに用意するのもいいですが、USBの規格的にマズかったりするとイヤなので(多分大丈夫でしょうが)、市販のケーブルの片方を改造する半自作にしました。なんとなくの要件は以下のとおり。

  • スマートフォン用でmicroUSB BのUSB OTGケーブル
  • もう片方はフルサイズのUSB B
  • microUSB Bコネクターはライトアングルタイプ
  • 可能な範囲で高品質なケーブル、を元に改造

 

 被験体となったのは、高級オーディオ用USBケーブル……といきたいところですが、ここはひとまず、コネクターが金メッキなぐらいでほかは普通のスペックと思われるUSBケーブルを選びました。USB A→Bのケーブルで、USB Aの側を改造するだけです。

 microUSBコネクターは自分で調達する必要があります。ライトアングルなどと呼ばれる90度横向きにケーブルが出るタイプにしたかったので、eBayで香港の業者からコネクターのパーツ(10個セット)を買いました。10個もいらないですが、練習用に作ったり失敗したりするので結果的に安心して作業ができました。

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 コネクターの、外から見える接点の信号や順番はもちろん規格で決まっていますが、ケーブルをハンダ付けする側の端子配置はコネクターのメーカーによって差があります。届いたパーツは上側に端子が3つ、下側に2つ付いているタイプでした。USBケーブル内部の線は赤が1番、白が2番、緑が3番、黒が5番と、それぞれ決まっているので、指定の場所にハンダ付けしていきます。4本の信号線の周りを覆っている網状のシールドは、まとめて1本の線にして、microUSBコネクターの側面にある、プラグの外周パーツとつながったケースグランドにハンダ付けしました。この時点で被験体となったUSBケーブルの線材自体はきわめて普通であることが判明しているのですが、一応オーディオ用ハンダを使っておきました。

 USB OTGケーブルというのは内部構造的には単純で、通常のUSBケーブルでは使われない4番を、短いリード線を用意して(写真の黄色の線)、5番の端子につないでしまうだけです。5番には2本の線がつながることになります。

 配線が済んだら、コネクターのケースに入れれば完成です。ハンダ付けはぶっちゃけ上手くないので、やり直したりしてひどい感じになってますが、テスターの導通チェックモードで隣の端子や線とショートしていないかどうか、だけは入念にチェックします。被験体になったケーブルにはメッシュの外装シースが使われているのですが、これはコネクターのケースの内部にまで通すとケースが閉まらなくなるので、手前で切り、端は熱収縮チューブでおさえました。

 今回買ったコネクターに装着できるケーブルは恐らく直径4mmで、一般的なUSBケーブルを想定していると思われるので、高級オーディオ用USBケーブルを被験体にできなかったはこのあたりの事情もあります。太いケーブルをまとめるのは不可能ではないでしょうが、そういうテクニックや道具は持ち合わせていないので……。

 ケーブルの中身を見てしまったのもありますが(笑)、今回の改造で、無駄な接点やパーツが減ったという以外、オーディオ的進化はあまりないと思いますが、使い勝手は少し改善した感じでしょうか。

Resonessence Labs HERUS

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 Resonessence Labsの「HERUS」(ヒールス)を買ってみました。USBバスパワー駆動が可能で、DSDにも対応した小型・高性能なDAC/ヘッドホンアンプです。

 我が家ではDSDネイティブ再生の環境が無かったのと、DSD音源はクラシックを中心に買い始めていたので、そろそろ何か欲しかったというのもありますが、「HERUS」は現時点でのハイレゾ音源フォーマットにフル対応と考えると、4万円を切る価格は手頃ともいえるので、DSD対応DACの入門機として買ってみました。

 据え置き型のDACと比べると、出力が1系統のみで切り替えられないので、ヘッドホン専用です。USBバスパワー駆動が可能という特徴からしても、ノートパソコンと組み合わせて、外出先でも手軽にハイレゾ音源を、というのが想定されている姿かと思います。

 「HERUS」のスペックなど詳細は上記のリンク先のように日本語のWebサイトがあるのでそちらに任せます。セットアップですが、予め「HERUS」のドライバーをインストールして接続し、我が家のWindows 7で使っているプレーヤーソフト「JRiver Media Center」(以下JRMC)(Ver.19.0.67)では、オプションでオーディオの設定から「Resonessence Herus Audio」(WASAPI)を選び、その下のBitstreamingの項目でカスタムのDoP 1.0を選択したぐらいでしょうか。若干手探りなので(笑)、実は間違っているとか、もっと良い設定がある可能性もありますが……。

 公式のWebサイトにも書かれていますが、初期設定ではボリュームが最大なのでその点だけ注意して再生します。「HERUS」本体にはボリュームはおろかボタンひとつ無いので、ボリュームの調整もプレーヤーソフト側で行います。ロゴマークは通電中に青く光るインジケーターになっていますが、デコード中のフォーマットの種類を色などで判別することはできないようです。USBに接続直後の、スタンバイ中の僅かな時間は赤く光りますが、基本は青く光るだけのようです。

 

 

 「JRMC」は内部では64bitで処理を行いますが、設定すれば、CDなどの16bit/44.1kHzといった、1980年に規格化されたCD-DAの比較的おとなしい音源を、アップサンプリングして対応するDACに出力することが可能です。「HERUS」はPCMで24bit/352.8kHzまで対応しているので、「JRMC」のDSPオプションで入力サンプリングレートごとにアップサンプリングの値を指定すれば、元のデータはCDでも最大24bit/352.8kHzにまでアップサンプリングして「HERUS」に渡せます。ちなみに「JRMC」には、DSD以外をすべてDSDに変換(?)して出力するモードもあります。「JRMC」の話を差し込んでいるので少しややこしいですが、ここでアップサンプリングしているのは、あくまでプレーヤーソフトの「JRMC」においての話で、「HERUS」の内部でアップサンプリングしている訳ではありません。アップサンプリングされた結果、高いサンプリングレートになったデータでも「HERUS」に入力できる、ということです。

 352.8kHzなどという高いサンプリングレートになると、アップサンプリングの是非はともかくとして、いわゆるアップサンプリングのイメージを超えた、割と別次元の、非常に繊細で緻密な音になります。一角だった氷山が全部見えてしまったような(?)感じでしょうか。192kHzまでのアップサンプリングは聞いたことがありますが、それと比較しても、音が個別に繊細になっている印象があります。元のCDの音により相性はありますが、最近の作品でも録音状態があまりよろしくなかったようなタイプの音源には、効果が高いように思えます。ままあることですが、既存のライブラリをすべて聴き直したくなる感じです。

 DSD音源に関しては、これまでネイティブ再生の環境が無かったので比較対象は無いのですが、PCMに変換して再生していたこれまでと比較すれば、やはり“生音”な感覚がグッと強くなります。FLACで24bit/192kHzの音源も、キレやメリハリのある感じが、私のこれまでの環境と比べれば際立っていますね。

 

CD(FLAC)をアップサンプリング、24bit/352.8kHzで再生
CD(FLAC)をアップサンプリング、24bit/352.8kHzで再生

ハイレゾ配信のFLACファイル(24bit/192kHz)を再生
ハイレゾ配信のFLACファイル(24bit/192kHz)を再生
ハイレゾ配信のDSFファイル(1bit/2.8MHz)を再生
ハイレゾ配信のDSFファイル(1bit/2.8MHz)を再生

 
 「HERUS」は全体的に、非常に高い透明感があり、分離やスピード感、立体感に富み、ディテールも綺麗に整って、高域から低域までバランスよく、そしてパワフルに聞かせてくれます。「HD650」のようなヘッドホンでもそれなりに余裕をもって駆動してくれているようです。簡単に言うと、爽快、痛快な印象でしょうか。

 ESSのDACチップを知り尽くしたメーカーということもあり、高効率、省電力、小型の筐体、そして高度なプログラムが揃い、PCオーディオの時代を象徴するかのようなアイテムといえるかもしれません。「本体が薄いと音も薄い」などと言われていた時代はもう過去のものなのでしょうか? 「HERUS」は少なくとも、「ノートパソコンと一緒に簡単に持ち運べる、バスパワー駆動の、ハイレゾ音源フル対応のDAC/ヘッドホンアンプ」として、5万円以下のクラスでは今後リファレンスになり得る高いパフォーマンスを持っていると思います。ミニプラグではなく標準プラグとしたのも、高性能なヘッドホンの利用にも耐えうるという自信の表れでしょう。

 出張先のホテルの部屋で、あるいは喫茶店での作業中に、これまでなら自宅でしか楽しめなかった最先端のハイレゾ音源を、何事もなかったかのように余裕を持って再生できるとしたら、そしてそれを十分に堪能し感動できるとしたら、「HERUS」の持つ価値は、価格や仕様以上に高まると思います。

 

Androidで「HERUS」を使う

 

 

 「HERUS」に発売前から注目していたもうひとつの大きな特徴は、iPhoneやAndroidスマートフォンでの、バスパワー駆動での動作をアナウンスしていたことです。スマートフォンに関しては、iOS、Androidともに、OS、ハードウェア、プレーヤーアプリのいずれもが流動的で、現在は決定的な利用方法が確立する直前といった雰囲気ですが、iOSはオンキヨーがDSD対応のプレーヤーアプリ「HF Player」をリリースしたことで、一歩先んじている状態でしょう。

 AndroidはOS標準の状態だと16bitでしか出力できないとされ、アプリ「Neutron Music Player」などでも出力側は16bitと表示されます。また、外部DACに対しデジタル出力するにはスマートフォン本体がUSB OTG(On The Go)に対応している必要があり、これはメーカーやモデルにより対応状況はさまざまです。

 Androidで現在、Root奪取が不要の簡単な手法として広がっているのは、録音アプリ「USB Audio Recorder PRO」を使い、USB OTGケーブル経由でUSB DACを接続・認識するというものです。「USB Audio Recorder PRO」は動作確認用のapkファイルが配布されていますし、動作が確認されたDACおよびスマートフォンの機種リストが公開されているので、ある程度目星を付けることはできます。

 我が家にある中では、「Nexus 7 (2013)」(Android 4.3)と「GALAXY SIII Progre (SCL21)」(Android 4.1)がUSB OTG対応で、「USB Audio Recorder PRO」が動作しました。「Nexus 7」は公開リストの注記にあるように、OSのAndroid自体の言語設定をEnglish(US)にしないと「USB Audio Recorder PRO」でUSB DACを認識できないという謎仕様でしたが、一度接続・認識させた後は、言語を日本語に戻しても認識されるようになりました。「GALAXY SIII Progre」は特に変更する点はありません。「ハイパワーUSBデバイスが接続~~ デバイスにアクセスできません」みたいな警告が通知エリアに出た時は、挿しなおせば大丈夫でした。

 ※追記 「Nexus 7」は上記の初回のセットアップを済ませている状態からAndroid 4.4にバージョンアップしましたが、「USB Audio Recorder PRO」は問題なく動作しています。

 音は、パソコンでの再生に比べるとやや痩せた印象にはなりますが、冷静に考えれば、スマートフォンで再生できる音としては格段にパワフルで豪華なものです。効率の良いイヤホンでは無音時のバックグラウンドノイズが少し気になりますが、平均的なレベルではあります。スマートフォンのように移動中での利用を考慮すると、特にヘッドホンはクローズドタイプ、小型タイプなど、選び方に別軸の要素が加わるので、なかなか悩ましいところです。

 利用しやすさ、使い勝手という部分では、USBオーディオインターフェイスを使う録音アプリである「USB Audio Recorder PRO」に依存する部分が多いので、プレーヤーとしては快適ではありません。このアプリは録音がメインなので、再生機能は確認用でしょうから仕方ないでしょう。24bit/192kHzのFLACファイルや、24bit/48kHzのWAVファイルを再生できますが、DSD音源(DSFファイル)は対応していないので、再生できませんでした。

 プレイリスト作成機能はありませんが、擬似的なプレイリスト再生機能があります。これは、ディレクトリの中の楽曲ファイルを指定すれば、同一ディレクトリのファイルを順番に再生するというもので、次曲ボタンとシャッフル再生が用意されています。プレーヤーとしての利用なら、このプレイリスト画面(Play Listタブ)がメインになると思います。

 初期設定の状態ではまずバックグラウンド再生ができず、アプリの画面を表示している状態で電源ボタンを押して画面をスリープさせると再生できなくなりますが、これは設定を変更すれば可能になります。設定変更後、ホームボタンを一度押すなどしてほかの画面に移動するとバックグラウンド再生に移行し、そこでは電源ボタンを押して画面をスリープさせてもバックグラウンド再生が継続します。バックグラウンド再生を有効化していても、「USB Audio Recorder PRO」を画面に表示している状態で画面をスリープさせると、バックグラウンド再生には移行せず再生が止まります。

 これらの設定を駆使すれば、一応スマートフォンを使った移動環境でもなんとか使える感じでしょうか。ただし、バスパワー駆動の関係で電池の消費は多いので、電池残量には注意する必要があります。

 やはりAndroidでもオンキヨーの「HF Player」か、それに類するアプリが出てきてからが本番ということになるでしょうが、再生だけでなく、デジタル出力でDACに出力するとなると、現在のAndroid(4.3とか)の環境では、「USB Audio Recorder PRO」のように出力段を丸ごとアプリ側に内蔵するようなアプローチか、Androidウォークマンなどのようにハードウェアを含めて作りこむアプローチになると思われ、アプリに関しては、OS側の進展が無い場合、なかなか時間がかかるかもしれません。
 
 ※追記2 長々と書いといてなんですが、上記のうち「GALAXY SIII Progre」は「USB Audio Recorder PRO」を使わなくても「HERUS」から音を出せました……。接続する順番か何かの都合で音が出ないことはあり、そこで勘違いしていました。最近のGALAXYシリーズはUSB OTG関連で独自の対応をしているので、USB Audio Classもサポートしているのだと思います。プリインの音楽プレーヤーアプリやGoogle Playミュージックアプリなど標準的なもので再生して「HERUS」から音が出ました。ただ、「GALAXY SIII Progre」については単体でハイレゾ音源の再生はサポートしていないのと、USBから何bitで出力されているのか明示されないので、詳細な仕様までは確認できていません。

ウォークマン用 自作ラインアウトケーブル

 「ウォークマン F800」導入にかかるもうひとつのおハナシは、ウォークマンのドックコネクタであるWM-PORTに接続するアナログのラインアウトケーブルを自作してみたというものです。自作といってもケーブルや各パーツは商品として売っているもので、自分がしたのはケーブルを切って剥いてハンダ付けしただけです。今回作ったような内容のケーブルは、オヤイデの店頭などでも売っていたりしますから、この世に存在しないものを作ったわけではありません。プラグとか線材、ケーブルの長さを自分好みのものにしたかったというのが主なところです。

 ステレオミニのプラグはL型がオヤイデの「P-3.5 SRL」で、オヤイデ直販のほかヨドバシでも売っていました。ストレートのプラグはViablueの「T6S」で、これはリンク先の「feketerigo(フェケテリコ)」の通販で買いました。どちらも1個1000円前後です。WM-PORTの端子部分はオヤイデや千石電商で売っている「ウォークマンケーブル自作用ドックコネクタキット」という自作用キットで、こちらは1個420円です。ハンダは、銀が4.7%含まれたオヤイデの「SS-47」を使いました。

 ケーブルは国内で探してもよかったのですが、外装に色の付いたものにしたかったのと、音の傾向がつかめているということから、「Moon Audio」で販売されている切り売りのケーブルを注文しました。2種類頼みましたが、どちらも4フィート(1.2m)で買ってみました。

 青いのはカルダスのヘッドホン用ケーブルで、4×24(24AWGの線が4本)、4芯+シールドのケーブルです。線材は銅で、1フィートあたり8ドル、計32ドルです。赤いのはMoon Audioオリジナル(ですよね?)のケーブル「SilverDragon」で、バージョンは少し前の「V2」です。線材は銀で、こちらは少し高く1フィートあたり18ドル、計72ドルです。SilverDragon V2も4芯+シールドですが、コットンのヒモが4芯と一緒に撚り線になっていました。あとSilverDragon V2にはMoon Audioの製品にみられる黒のメッシュのスリーブが付いてきましたが、けっこうケーブルが曲がりにくくなるので、用途から考えて外しました。

 外径はどちらも約5mmです。オヤイデのプラグはケーブル外径6mmまで対応しますが、ドックコネクタキットが外径5mmまでなので、そこにあわせています。色は鮮烈な青と赤……と言いたいところですが、それほど鮮やかではなく、理科室の人体模型の動脈と静脈を思い出させる色です(笑)。

  

 ハンダ付けは、オヤイデのL型プラグでグランドをハンダ付けするのにちょっと苦労しましたが、まぁこれは私はあんまりハンダ付けの(種類の)経験が少ないことも影響していると思います。Viablueのプラグはバラすとハンダ付けする端子だけになるので作業はしやすかったです。ドックコネクタキットは……説明書が付いているので迷うことはありませんがとりあえず小さいので先の細いハンダこてが必須なのと、少量のハンダ付けを心がける、予備ハンダで万全を期すといったところでしょうか。チップ抵抗はピンセットがいるのと、作業全体でそうですがミニバイス(万力)かハンダ付けヘルパーがいると思います。あとハンダの作業の基本ですが、コテの先端をつねに綺麗にするスポンジですね。ハンダ付けする製品側に慣れてないので公開するのがためらわれるデキですが、テスターで逐一導通を確認しながら作業をしまして、ひとまず完成となっています。

 2種類のケーブルを買ったので、カルダスのケーブルはWM-PORTのコネクタに直付するウォークマン専用にし、SilverDragonはステレオミニプラグで汎用的なものにしてみました。どちらもL型プラグはポータブルヘッドホンアンプに接続する想定なので、ケーブルの向きとして先端側にL型プラグを付けています。

 ヘッドホンアンプと接続するラインアウトケーブルといえば10cmそこらの短いものが主流ですが、今回はあえて1.2mと、イヤホンなどと同じ長さにしてみました。

 これは、プレーヤーをヘッドホンアンプに重ね、バッグに入れて持ち運ぶのではなく、バッグにヘッドホンアンプは入れたままで、プレーヤーだけをポケットに入れたり手元で操作したりできるようにするためです。

 「CK4」を選んだ際には物理ボタンがあることも重視していましたが、タッチ操作全盛の今ではそうした条件が非常に選択肢を狭めているのは確かです。「ウォークマン F800」は右側面にボリュームボタンと「W.ボタン」が搭載されていますが、「W.ボタン」で呼び出せる機能はタッチ操作なので、結局のところすべてがタッチ操作です。ボリュームボタンもラインアウトケーブル接続時には無効になります。

 Bluetoothに対応しているので、AVRCPで接続されたBluetoothアダプターで選局や再生・一時停止などの操作が行えれば、まとめてバッグに入っていても問題ないと考えていましたが、ボリュームの整合性からか、実際の「F800」は音の出力がしっかりと排他制御されており、Bluetoothを接続するとラインアウトを含めほかからは音が出なくなります。また、Bluetoothの優先度は高くなっており、ラインアウトで音を出している最中にBluetooth接続を確立すると、ラインアウトから音は出なくなり、Bluetoothに切り替わります。

 最後の隠し玉的に考えていたBluetoothのAVRCPによる操作が、ラインアウトと同時に行えないことが判明した時点で、これはいよいよ根本的に考え直す必要があると思い、妥協点を含みつつ、しばらくこれで試してみようと考え至ったのが上記の“長いラインアウトケーブル”というわけです。

 個人的に、ヘッドホンアンプは服のポケットに入れたりせず大前提としてバッグに入れていることがまず大きな要因ですが、ヘッドホンアンプとプレーヤーを重ねて持ち運ぶのは、楽曲の操作という意味で限界があります。「ちょっとこの曲じゃなくて次の曲かな」「そういやあのアルバムの曲ちゃんと聞いてない」といったように、気分に従えば従うほど突発的に楽曲を操作することになりますが、バッグに入っていてはなかなかスムーズに操作できません。それでも今までは物理ボタン搭載モデルにこだわっていたので、バッグに手を突っ込んでブラインドで操作できましたが(といってもできるのは一時停止と選曲ぐらいですが)、タッチ操作となるといよいよブラインドでは操作できなくなります。

 ワイヤードでプレーヤーだけをバッグから引きずり出すというのは、発想として奇抜というわけでもない(?)でしょうが、ヘッドホンアンプとプレーヤーは重ねてセットで、と盲目的に考えていたので、私の中ではちょっとした運用方法のパラダイムシフトなわけです。

 メリットは、タッチ操作オンリーといったプレーヤーの形にとらわれないこと。今回のウォークマンのようにタッチ操作主体でも問題なく、アルバムアートを見ながらじっくり選んだり、気分でアルバムを渡り歩いたりと思いのままです。状況としては、プレーヤー+イヤホンで運用するカジュアルなスタイルに近いかもしれません。気のせいかもしれませんが。

 デメリットは、イヤホンのケーブルに加えてさらに1本、バッグから出るケーブルが増えて、見た目を含めて煩雑になることです。バッグを下ろしてどこかに置こうとすれば、慣れていないとケーブルが絡んだり引っ張ったりで訳がわからないことになります。見た目の部分では、今回あえて赤と青で目立つ色にしたのですが、最近では街中で「beats」の赤いケーブルをよく見かけるようになってきましたし、このダブルワイヤードスタイルが……っていうのは無理があるんでしょうね……。まぁ、おとなしく黒いケーブルを使えば、少なくとも見た目の意味不明さは和らぐと思います。あと、都市部ではすれ違いざまにケーブルを引っ掛けられないようにちょっと気を使います(笑)。

 もっとも、ボリューム操作は相変わらずバッグの中のヘッドホンアンプに手を突っ込むことになりますが、ボリュームに関しては微調整はしても緊急的な操作はそれほど必要ないと思うので、これまで通りな感じです。

 ポータブルヘッドホンアンプの愛用者として、その運用方法に一石を投じる、というのは言い過ぎでしょうが、同じような悩みを持っているなら、まずは安価な延長ケーブルなどで上記のダブルワイヤードスタイルの具合を確かめてみるのも、もしかしたらいいかもしれません。

ウォークマン F800

 標準でFLACファイルの再生に対応したということで、Android 4.0を搭載した「ウォークマン NW-F800」シリーズを買ってみました。64GBモデル(NW-F807)です。合わせて、WM-PORTを使用するラインアウトケーブルを自作してみました(別記事)。Androidということでソフトウェア層でいろいろ遊べそうという点と、現実的なサイズ、ラインアウト出力が容易という点が個人的に選んだポイントです。

 Android搭載のウォークマンは「F800」で2代目で、800×480ドットの液晶、CPUにTegra 2と、内容は初代Androidウォークマンの「Z1000」シリーズを踏襲していますが、ディスプレイが3.5インチと手頃なサイズで、音楽再生だけに使うなら調度良い感じです。標準搭載の音楽再生アプリ「W.ミュージック」がFLACに対応ということで、CDからリッピングしたようなふつーのFLACファイル(16bit/44.1kHz)ならタグでさまざまにソートして管理したり再生したりできます。

 もっとも、Androidなのでプレーヤーアプリも後から追加して試せます。Googleの標準アプリとしてGmailやYouTubeなどと一緒にプリインストールされている音楽プレーヤーアプリ「Play ミュージック」でもFLACファイルが再生できたので、ちょっと拍子抜けした感じはありますが(笑)。「Play ミュージック」アプリは、ローカルに保存された楽曲ファイルだけでなく、米国で提供されているロッカー型の音楽サービス「Play ミュージック(My Music)」と連携するストリーミングプレーヤーにもなるので、存在意義としては小さいわけではありません。「Play ミュージック」サービスではアップロードする際に基本的にMP3とかに変換して保存されるので音質を追求する再生には向きませんが、任意に選んだ楽曲について似たような楽曲を25曲リストアップしてプレイリストにする「インスタントミックス」機能が楽しくて便利です。一度再生した曲はキャッシュで保存もできますが、基本的に通信環境ありきの内容なので、「F800」で移動中に使うならテザリングやモバイルWi-Fiルーターが必要になります。

 インターネットラジオのアプリもAndroidなのでさまざまなアプリを導入できます。個人的に気に入っているのは「XiiaLive」ですが、このような、これまでスマートフォンで使っていた軽めの音楽系アプリも「ウォークマン F800」ならラインアウト出力で楽しめることになります。もっとも、MP3やインターネットラジオなら、イヤホン直挿しで手軽に楽しんだほうがいろいろ楽ではありますが。通信を使った音楽の楽しみ方というのはこれまでiPod touchやスマートフォンでしかできませんでしたが、ウォークマンという枠組みの中でこれらが扱えるのはAndroid化によって実現された部分で、積極的に試したいとことろです。

 さて、これまでプレーヤーはColorflyの「CK4」をメインに使ってきましたが、パーツの素性はいいですし、とくに綺麗な中・高音域は魅力的で、今後も一点突破的には使いそうです。一方、少なくとも私の環境ではタグを認識してくれない影響で、再生するという行為に関しては、フォルダの中のファイルをファイル名順に再生する原始的なものでした(フォルダ内のランダムプレイやリピートはできます)。気に入ったアルバムを聞くだけならそれでも問題ありませんが、その日、その時の気分に合わせて自由に、曲単位で組み合わせる、といった“楽しく聞く”といった使い方は「CK4」では実現できませんでした。プレイリストをその場で作れるとか、「Play ミュージック」サービスのインスタントミックスのように、いかに抽出してみせるかというのは、何千という単位で曲を持ち運べる時代には必須だと思えます。

 最近になって、自宅のパソコンには「JRiver Media Center」(JRMC)を新たに入れて楽曲を管理・再生していますが、当然ながら「F800」に転送したFLACファイルは、「W.ミュージック」アプリを含め、音楽プレーヤー系アプリでタグ、カバーアートともに認識し、問題なく再生できます。

 「W.ミュージック」で特徴的なのは「おまかせチャンネル」でしょうか。「Z1000」シリーズでも搭載されていますが、「12音解析」により曲を分析し、「アクティブ」「リラックス」「ダンスフロア」「朝のおすすめ」など、さまざまに分類してくれます。12音解析は、パソコンのウォークマン用楽曲管理ソフト「X-アプリ」で行えるほか、本体上でも行えます。私は「X-アプリ」を入れていないので本体上で行いましたが、100曲を超えると1時間以上はかかるのと、解析中はアプリをバックグラウンドにすることもできないので、空いた時間に済ませておきます。前述のように気分で曲を選びたい際にはこうしたアプローチがありがたいですね。チャンネルという名前が象徴しているのですが、各チャンネルはランダムな順番で再生され、分類後にカスタマイズすることはできないようです。有線のチャンネルを選ぶような感じで、ランダム性を楽しむといったところでしょうか。チャンネルを選んだ際の(ランダムに決まる)1曲目は、解析により判定されたサビの部分から始まるので、すぐにチャンネルの雰囲気が感じられるようになっています。12音解析による分類の精度はかなり高いと感じられるので、ユーザーが介入できる余地を増やしたモードや、Googleの「Play ミュージック」のインスタントミックスのように、“指定した曲と似ている曲”とかの分類・リストアップにも対応してほしいですね。

 一方で、「W.ミュージック」アプリの普通のプレイリストについては、初代「Z1000」でも同じようですが、非Androidのウォークマンの発想を受け継いでいるのか、アプリ上で作成できず、パソコンの「X-アプリ」で予め作成し転送する仕組みです。「JRMC」などでプレイリストを作成して転送しても、プレイリストファイルの存在は認識するものの楽曲はゼロとなり使えませんでした。このあたりはツールを使うとか、拡張子やフォーマットを変更するなど、使いこなしにコツがいるようです。(※本体上でのプレイリスト作成は、2012年12月提供予定のソフトウェア・アップデートで対応される予定です)

 もっとも、そこはAndroidなので、「W.ミュージック」アプリにだけ有効な高音質化技術にこだわらないなら、「PowerAmp」などほかの音楽プレーヤーアプリに移行してしまうのもひとつの手です。「PowerAmp」は当然ながらアプリ上でプレイリストを作成できますし、ロック解除画面でも操作できたりと、プレーヤー単体として見ても非常に完成度が高いです。このように音楽プレーヤーとして基幹部分のひとつであるプレーヤーも自由に選べるのが、Android化したウォークマンの最大の強みでしょう。このあたりは、これからいろいろと試行錯誤したいと思います。