「NVR510」でIPv6+DS-Lite、いつ何時でも混雑しないネット環境に

ヤマハ「NVR510」

 会社から帰ってきて動画サイトを見ようとしても、重くてまともに見られない……結構前から一部のよく利用していたストリーミング配信サイトで感じていましたが、これまでは、てっきりサービス提供側がサーバー増強をサボってるのではと勝手に考えていました(笑)。しかし実態はそうではなく、ピークタイムと呼ばれる、主に20~24時台を中心に、自宅のインターネットの通信速度自体が遅くなっていることが分かってきました。

 影響がモロに出ていた、あるストリーミング配信サイトは、最大で6000kbpsというデータで配信しているので、はっきりいってかなりヘビーです。なので、原因が分かっていない頃は、重いのは仕方がないかなぁと諦めていましたが、2017年の春頃からアニメ専門系などの比較的まっとうな(?)ストリーミング(の最も高画質なやつ)でも、ピークタイムにはぐるぐるとロード・キャッシュの読み込み中の表示が頻繁に出るようになり、あ、これはサービス提供側ではなく、インフラやプロバイダー側に原因があるなと思うに至りました。

 ピークタイムだとほぼすべてのストリーミングサービスがまともに見られない場合がある、というフン詰まりが極まった状況は、結果的には、私がプロバイダーで契約していた、帯域優先のオプションプランが原因だった、ようです。つまり、設備増強の放置と思われる環境の劣化に徐々に蝕まれ、この春になんか一線を超えてしまった、みたいな推測です。帯域優先ではないノーマルな接続IDも付与されていたので、そちらで接続したところ、ピークタイムの激しい混雑についてはある程度は改善されました。

 しかし同時並行的にいろいろと改めて調べた結果、仮にフレッツ光を1Gbpsにアップグレードしても、このままでは未来はない、結局ピークタイムは混雑に悩まされる、という気がしたので、ゴールデンウィーク直前だったこともあり、固定のインターネット環境をまとめて刷新し、連休中にじっくり設定してみようと決心しました。

 我が家(賃貸アパートの一室ですが)の固定のインターネット回線は2010年の契約からそのままで、はっきりいって契約内容も仕組みの理解も、ほったらかしでした。上下200Mbpsの「フレッツ 光ネクスト マンション・ハイスピードタイプ」で、契約時は最新の仕様ですし、昔はいつでも速度が出ていたので快適で問題はなかったわけですが、7年が経過し、実際にピークタイムに看過できない影響が出はじめるにいたり、ここらで刷新して、「今後10年戦えるか」というテーマで、いろいろと勉強しながら新しい技術・方式を取り入れることにしました。

 なお、下記では絶対的な料金の安さは追求していませんので、安くなければ意味がないという方は、そっ閉じてください。

 あと、本稿はアホみたいに長いです。

 

はじめに

環境の刷新に優先順位をつけましょう

 今回は変更点が多いため、まず優先順位を明らかにしておきます。前述の「今のままでは未来はない」というのは、従前のプロバイダーに失望したのはさておき、構造的にはIPv4というインターネットの根本的な接続規格に由来します。これを、自宅の環境としてIPv6中心に移行するのがまず大前提としました。そこから必要な環境や好みの環境を選んでいきます。

 おおまかな意思決定の流れは以下のような感じです。

  • 混雑回避、諸々の観点から「IPv6 IPoE」方式にしたい
  • フレッツ光を「ギガライン」化し、回線スペックを底上げ
  • IPv6接続のプロバイダーは情報が多くて信頼できそうなIIJにする
  • IPv4共存技術はIIJが採用する「DS-Lite」になる
  • DS-Liteに対応するルーターが必要、買えるのは実質的にバッファローかヤマハ
  • 技術的にチャレンジングだがメリットが多く制御や信頼性に優れたヤマハ(業務用)にした

 これらを踏まえた上で、実際にやった流れは以下のような感じです。

  1. 「フレッツ 光」を「ギガラインタイプ」に変更
  2. 「フレッツ・v6オプション」を設定
  3. ヤマハ「NVR510」を購入
  4. HGW「PR-S300SE」のUNIポートと「NVR510」のWANポートを接続
  5. 「IIJmio FiberAccess/NF」を契約
  6. 「NVR510」に「DS-Lite」に必要な設定を加える

IPv6

IPv6環境に移行しましょう

 IPv6は通信速度を直接規定しているわけではないですが、設備や通信経路が異なるため、現在のIPv4の設備に起因する混雑(通信速度の低下)を回避できるという目論見です。先達によるそのような報告もあったので、これはほぼ確実視していましたし、実際にそうでした。

 IPv4からIPv6への移行というのはインターネット業界、通信業界ではわりと前から叫ばれている大問題で、ざっくり言うと「もうこの規格の番号が足りないので新しい方式に移行してくださいお願いしますホントに」みたいな状況。ここでは詳しくは触れませんが、すでに大手通信事業者やGoogleなどのサービス大手も、IPv6への対応が進んでいます。

 なので、実はそこかしこでIPv6への対応というは行われているのですが、ユーザー側の現実としては、まぁぶっちゃけ大手のプロバイダーはこれまであんまり積極的にアピールしてこなかったように見受けられ、機器の進化や設定の自動化などもドラスティックには進まず、まだまだIPv6が体制にはなれていないという段階だと思います。

 2016年末ですが、IPv6の普及状況については以下が詳しいです。

>> IPv6デフォルト化が進展するも、トラフィックのほとんどがGoogle(動画)、次なるステップは国内コンテンツ/サービス側の対応
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1032172.html

IPv6に移行する手順を確認しましょう

 では「IPv6に移行」とは、具体的に何をするかというと、まずNTT東西の「フレッツ光」では、「フレッツ・v6オプション」(月額無料)を契約します。これで基本的なインフラである光回線にIPv6アドレスが割り当てられ、IPv6のIPoE接続に対応できるようになります。

>> フレッツ・v6オプション
https://flets.com/v6option/

 今回、2010年に契約した「フレッツ 光ネクスト マンション・ハイスピードタイプ」から同「マンション・ギガラインタイプ」に変更するにあたって、自動的にこのv6オプションも追加されました。前回の契約が2010年と古いためか、同オプションが付いておらず、今回のギガラインへの変更にあたって自動的に付加されたようです。無料ですし、IPv6接続を使わない人には関係ないので、現在は基本的に付加していく方針のようです。

>> フレッツ 光ネクスト マンション・ギガラインタイプ 工事費について
https://flets.com/next_gigaline/mn/const_fee.html

 また、NTTに申し込んだ直後に、プロバイダー側のIPv6のオプション契約も無料だったためか自動的に追加され、メールで連絡が来ました。通常、プロバイダー側ではフレッツ側とは別に、IPv6接続に関するオプションを追加で契約します。

 そして、それに対応する設定を済ませて接続すれば、IPv6でネットに接続した、ということになります。プロバイダー側のIPv6接続のオプションが有料か無料かは、プロバイダーにより異なるようです。

IPv6の内容でプロバイダーを選びましょう

 一般的に、プロバイダー側が提供しているIPv6には、IPv4同様の「PPPoE」(PPP over Ethernet)方式と、より本来のIPv6の姿に近いとされる「IPoE」(IP over Ethernet)方式がありますが、ここでは後述の「DS-Lite」などの関係もあって、旧来はネイティブ方式と呼ばれていた、IPoE方式で契約するものとして進めました。

 IPv6接続をIPoE方式で提供するプロバイダーというのは、2017年5月時点では大手がだいたい対応している段階です。ただ、私がそれまで使っていたプロバイダーは、IPv6でもPPPoE方式のみで、IPoE方式は提供されていませんでした。また大手でも、契約前の段階で技術情報を公開しているプロバイダーというのはあまりなく、「IPv6で通信速度が速くなる」とかの端折りすぎな説明をしているプロバイダーもあり、自分はちょっと満足できないかも、という懸念から、候補から外しました。

>> 【試してみた】IPv6「ネイティブ接続」(てくろぐ、2011年7月)
http://techlog.iij.ad.jp/archives/210

 今回、IPoE方式かつ後述の「DS-Lite」にもしっかりと技術的に言及されていた、IIJの「IIJmio FiberAccess/NF」を契約しました。つまりプロバイダーの変更です。

 IIJというのは、日本のインターネットを黎明期から支えてきたインフラ企業ですし、実際に技術情報の開示や紹介も積極的で(それがネガティブでも)、私から見る限り信頼のおける企業です。

 反面、コンシューマー向けサービスでも、とくに固定通信サービスは法人向け販売のノリが消えないというか、堅苦しさや価格優位性の低さみたいなところは確かにあるのですが、今回の環境刷新には、より信頼できるところにしたい、という想いもありますので、ひとまずはIIJに託してみようという感じです。

余談1:IPv4の混雑を理解しましょう

 概ね2016年頃からでしょうか(すごくテキトーです)、どこのプロバイダーでも、ピークタイムに通信速度が出ないという問題が顕著になっているようです。私はIIJのIPv4をメインで使っていないので実感としては分かりませんが、IPv4での混雑というのはIIJでも例外ではないようです。テレビで利用できるものも含めて、高画質な動画のストリーミング配信サービスがよりカジュアルに利用されるようになり、IPv4設備を増強できる速度(場合によってはNTT側と調整も必要)と、利用実態がどんどん噛み合わなくなっているといえるようです。

 もう少し突っ込んで状況を見てみましょう。昨今のネットの混雑はプロバイダーが批判の矢面に立たされることが多いわけですが、総務省が公開している、2017年4月26日に開催された「接続料の算定に関する研究会(第3回)」の配付資料の中で、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)が提出した資料(下の画像)に、現状の問題とNTT東西への訴えが簡潔にまとめられています。

日本インターネットプロバイダー協会の提出資料。総務省「接続料の算定に関する研究会(第3回)」配布

 「現状」の1行目にしれっととんでもないことが書かれていますが、「NGN内部に設置される網終端装置(NTE)」とは、NTTのビル内に設置されるプロバイダーの設備で、まずNTTの回線網(NGN)を通ってやってくるユーザーのパケットがプロバイダーの設備に受け渡される結節点です。IPv4接続におけるピークタイムの速度の低下はこの処理の逼迫が原因とされています。そしてここが、多くのプロバイダーでは日常的に輻輳(ふくそう)状態というのです。

 網終端装置の増強は物理的な場所や電源などの問題もあるので、ビルを管理するNTTの規準に照らして調整されるわけですが、増強が遅々として進まない(申請から6カ月後などという話も)とか、ユーザー数が規準に満たないので拒否されている! というのがここでの訴えの内容です。今増えているのはユーザー数というより、1人のユーザーが使うトラフィック量なので、NTTの増設規準は現実に即していないと指摘されているわけです。

 研究会の議論の今後が注目されますが、NTT東西の規準と現実とのギャップは大きくなっており、IPv4接続の混雑はプロバイダー全体の問題になっているようです。

>> 総務省 接続料の算定に関する研究会
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/access-charge_calculation/index.html

余談2:トラフィックの爆発的増加を確認しましょう

 せっかくなので日本全体のブロードバンド回線のトラフィックの傾向も確認してみましょう。総務省が2017年8月15日に公表した「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」によると、国内のブロードバンド回線の総ダウンロードトラフィックは2016年5月から2017年5月までの過去1年間で約4割も増加しています。グラフでは2015年から伸びが加速していることも分かります。ISP間のトラフィックなどを除いた、ISP 5社の契約者に限ったダウンロードトラフィックでみても、45度ぐらいの右肩上がりの直線で、鈍化する兆しはありません。

国内ブロードバンド(固定回線)の総トラフィック 総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」添付資料

 また、国内のブロードバンド契約数の増加が頭打ちにある中、1契約あたりのダウンロードトラフィック(推定)は、過去1年間で37%増加し、国内総ダウンロードトラフィックの増加傾向を裏付ける形で、急激な増加の推移をみせています。

1契約あたりのトラフィック 総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」添付資料

 1日の中でトラフィックが突出するピークタイムの傾向は、過去5年で大きな変化はなく、21時~23時に集中している様子が見て取れます。

 過去5年間、毎日ピークタイムが同じなの? と不思議に思えますが、“マス”の傾向というのは往々にして、「私のまわりでは○○が多い」といった個人の知覚(認知バイアス)を超越したところにあります。ピークタイムの存在は「大衆の暮らし方」そのものが強く影響しているわけですから、インフラやサービスの進化とは別の速度で変化していくもの、ということでしょう。

時間帯別のトラフィックの変化 総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」添付資料

 まとめると、(ネガティブな意味での)ピークタイムが変わらず存在している中で、1契約あたりのトラフィックが激増している、というのが2015年以降で顕著な傾向ということになります。余談1 で書いたISP団体の悲鳴が、シンプルに裏付けられているといえそうです。

>> 総務省 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban04_04000213.html

 (余談2:2017年8月19日追記)
 

光コラボは今後にしましょう

 IIJでは、多くのプロバイダーやMVNOが始めているように、「IIJmioひかり」という、NTT東西がフレッツ光を卸提供する仕組み「光コラボレーションモデル」を採用した、光回線・ISPの一体型サービスを開始しています。「IIJmioひかり」でも、IPv6 IPoE接続が有料オプションで提供されています。

 光コラボの詳しい仕組みや料金的なメリット(基本的には安い)、IPv4でやっぱり混雑しているなどの直近の課題について詳しくは触れませんが、上記のようなIPv4におけるNTTとの問題では、新規のプロバイダーである光コラボ系は、より苦しい立場にあると推察されます。

 またそもそもの仕組みとして、光コラボ採用のサービスを利用するには、敷設済みの「フレッツ光」回線の「転用」という切替作業があり、これは番号ポータビリティのような感覚なのですが……2017年5月現在、「転用」は一度きりの片道切符で、「フレッツ光」には戻れなくなります。

 これはNTT西日本のQAページでも回答されていますが、どうしても「フレッツ光」に戻りたい場合は、光コラボ側を解約して、フレッツ光を新規申し込み、かつ新規工事になるようです。さすがに、この光コラボの転用の仕様は、将来的に後悔しそうとかの不安が拭えない気がしたので、少なくとも今回は、光コラボ系はプロバイダーの候補から外しています。

>> 一度コラボ光へ転用しましたが、NTT西日本のフレッツ光に戻ることを検討しています。フレッツ光に戻る際に工事は必要ですか。
http://qa.flets-w.com/faq/show/4691

IPv4との共存

IPv6でもこれまでのIPv4と共存しましょう

 IPv6接続でこれまで問題とされていたのは、IPv6接続のみでインターネットに出た場合、そのままではIPv6に対応しているWebサイトにしか接続できない、ということです。GoogleとかYouTubeはWebサイトやサービスがIPv6対応なので接続できますが、一般的な(IPv4の)Webサイトを見るには、今までの「IPv4 PPPoE」接続も有効にしておく必要があります。そんな環境では、IPv4で接続するWebサイトは混雑具合が従来のままですし、「IPv6に移行」というテーマの本質は達成できません。

 「IPv6 PPPoE」はユーザー宅に特別なトンネルアダプターが必要というハードルが高い環境で始まった一方、「IPv6 IPoE」方式は、フレッツでIPv6関係の申し込みが終わっていれば、従来の装置(ONUなど)がそのまま使えるという、導入のハードル的にはより望まれた方式です。

 ただし「IPv6 IPoE」接続のみでも、やはりIPv6のWebサイトにしかつながりません。IPv4対応のみというWebサイトやインターネットサービス(サーバー)がこの世界に存在している限り、経路のどこかにIPv4で接続するための仕組みが必要になります。

 そうした、ユーザー側でもサーバー側でもIPv6への過渡期が始まっている状況で、少なくともユーザー側のインフラではIPv6接続のみにできて、IPv4接続の設定や設備を不要にできるのが、IPv4/IPv6共存技術の「IPv4 over IPv6」という、カプセル化・トンネリング技術です。

 詳細は割愛しますが、ユーザーに近い、NTT局舎までやその先のプロバイダーまので回線はIPv6網のみを利用しつつ、必要なIPv4接続はIPv6でトンネリングして、プロバイダー側で仕分けし、IPv4のWebサイトに接続できるという仕組みです。クルマ(IPv6)に自転車(IPv4)を積み込み(カプセル化)、高速道路で移動(IPv6網でトンネリング)して、拠点に付いたら自転車でさらに目的地(IPv4のWebサイト)に移動する、みたいなイメージでしょうか。

 IPv4/IPv6共存技術のうちのひとつは「DS-Lite」(Dual-Stack Lite)という名称で、標準化団体により定義され技術仕様も公表されています。もうひとつ商用化されそれなりに使われていると思われるのは「MAP-E」というIPv4/IPv6共存技術で、できることや結果は概ね同じだと思いますが、経路や設備の仕組みは若干異なります。

 さすがに大手プロバイダーでIPoE方式を提供するようなところは、「世の中の大半のサイトが見られません」などというサービスを提供できないので、「MAP-E」か「DS-Lite」のどちらかに対応しているようです。「このルーター借りとけば大丈夫だから」みたいな雰囲気で対応機器がレンタルされるようで、契約前だと詳細はよく分かりませんでした。

 IPv6 IPoE接続や「DS-Lite」は、IIJの公式ブログの紹介が分かりやすいですし、勉強させていただきました。

>> DS-LiteでIPv4してみませんか?(てくろぐ、2014年10月)
http://techlog.iij.ad.jp/archives/1254

>> IIJmioひかりの混雑の理由とバイパス手段(IPoE・DS-Lite対応)(てくろぐ、2016年4月)
http://techlog.iij.ad.jp/archives/1879

IPv6 IPoE接続の実態を調べてみましょう

 IPv4共存技術はプロバイダーを選択すると決まることになるので、私はIIJが推進するDS-Liteを選択することになります。DS-Liteは市場的にはMAP-Eよりも後発になったようで、IIJが中心になって提供している形だと思います。

 「フレッツ 光ネクスト」におけるIPv6 IPoE接続は、回線の仕組みや政策・経緯の関係で、実際にはすべて、VNE(Virtual Network Enabler)事業者とよばれる会社が、プロバイダーに代わって回線をユーザーに提供しています。

 例えば、IIJでIPv6 IPoE接続を行う場合、その回線は、VNE事業者のひとつであるインターネットマルチフィードから提供されています。ユーザーはIIJと契約しますし、普段は意識する必要はない仕組みですが、例えば回線速度の測定サイトなどにアクセスすると、プロバイダー情報にはIIJではなくインターネットマルチフィードと表示されることになります。

 ちなみにインターネットマルチフィードはIIJグループの会社ですが、VNE事業者という枠組みが当初は3社限定でスタートしたという経緯からか、同社にはNTTドコモなどのNTTグループ各社やNEC、富士通、ソフトバンク、新聞大手各社の資本も入っています。

 2009年12月にNTT東西によって選定された最初のVNE事業者は、BBIX、日本インターネットエクスチェンジ、インターネットマルチフィードの3社です。日本インターネットエクスチェンジは、後に設立された日本ネットワークイネイブラーに代わっています。VNE事業者はその後、朝日ネット、ビッグローブ、NTTコミュニケーションズ、フリービットが加わり、一部の事業者はサービスの提供を開始しています(2017年7月時点)。

 DS-LiteやMAP-EなどのIPv4共存技術は、これらVNE事業者が採用する方式に依存する形になります。ただ、VNE事業者側でも、あまりこの部分の情報までは公開していないようです。一方で、前述のようにインターネットマルチフィードはIIJグループということもあってか、「transix」(トランジックス)というサービス名で提供しているDS-Liteの、動作確認済み機器(ルーター)の情報を公開したり、具体的な設定方法を公開したりしています。今回の環境刷新のように、機器をなるべく自分で用意して設定したい、という場合には大変助かった部分ですし、契約前の段階でも見通しが良かった部分です。

>> DS-Lite 接続確認機種情報
http://www.mfeed.ad.jp/transix/ds-lite/index.html

<2017年9月25日追記>
 「MAP-E」方式のうち日本ネットワークイネイブラー(JPNE)が提供するもの(サービス名称:v6プラス)については、NTTがレンタルしているホームゲートウェイ(HGW)にソフトウェアが配信され、HGWに「v6プラス」機能が追加されるという仕組みのようです。またJPNEでは、「v6プラス」の紹介ページで、v6プラス対応の市販のルーターについても情報も公開しています。

 やや注意が必要なのは、このような「IPv4 over IPv6」技術は、自宅のIPアドレスを固定して使うような目的には向いていない場合があるということです。私には現在のところあまり関係ないのですが、自宅にサーバーを設置し公開しているとか、自宅のLANに設置したNASに外出先からアクセスするといった用途が必須な場合は、「MAP-E」や「DS-Lite」がどのような挙動をしているのかしっかりと確認することをおすすめします。
<追記ここまで>

プロバイダーをIIJに変更しましょう

 「FiberAccess/NF」は、「フレッツ・v6オプション」の工事が完了した直後の、5月4日深夜0時頃に申し込みましたが、20分程度で開通し、サービスの提供が開始されました。申し込んだのが深夜であるとか、ゴールデンウィーク中であるなどの、空いている要因はあるかもしれませんが、驚きの速さでした。

 IIJの「FiberAccess/NF」というのはびっくりするほどシンプルな接続サービスで、ルーターなどの機器レンタルはおろか、メールやウイルスチェックといった、大手プロバイダーでよくあるサービスは(標準では)軒並み付属しません。私にとってこれは都合がよく、サービス料金は通常のプロバイダーのだいたい倍近い2000円(税抜)で、まぁ私的にはたいして金額に変化はないのですが、インターネットマルチフィードを含めしっかり設備の増強やメンテに励んで欲しいと思いながら契約しました。

 ちなみに「FiberAccess/NF」はIPv6 IPoE(とDS-Lite)専用のサービスというノリですが、従来の「IPv4 PPPoE」方式での接続IDとパスワードも発行されるので、ルーターに設定すれば、IPv6とは関係のない「IPv4 PPPoE」での接続も可能です。

>> IIJmio FiberAccess/NF
https://www.iijmio.jp/guide/outline/nbd/

 フレッツ光上でのIPv6 IPoE接続というのは、IPoEという仕組み上、接続IDやパスワードは無いので、プロバイダーに申し込んで開通したら、対応ルーターでLANケーブルを接続するだけという、若干不安になるほど簡単なセットアップ手順になっています。PPPoE接続のように、ユーザーがローカルの装置に接続IDを設定した上で、任意にボタンをポチっとして「接続する」「切断する」という仕組みはなく、LANケーブルが正しく対応ルーターにつながっていれば、「IPv6 IPoEでインターネットに接続されている」という状態になります。

 またこうしたことから、フレッツ光の1回線に紐付けられるIPv6 IPoE接続のプロバイダー契約は、1種類だけになります。IPv4のように、プロバイダーを複数契約し同時に2つまで接続できる、という使い方は、フレッツ光のIPv6接続ではできません。

ヤマハ「NVR510」

ヤマハのルーター「NVR510」を導入しましょう

 ここらでやっと、ガツンとした出費の話題が出てきます。長々とした上述のように、IIJの「FiberAccess/NF」を契約し、IPv6 IPoE接続でDS-LiteによるIPv4共存技術を使う、というところまで固めたら、次に「DS-Liteに対応している固定ルーター」が必要になります。

 本来「IPv6 IPoE」接続自体は特別な機器が不要という形ですが、DS-LiteやMAP-EなどのIPv4共存技術に対応するためには対応するルーターが必要になります。「FiberAccess/NF」では機器がレンタルされないので、自分で用意する必要があるという形です。

 インターネットマルチフィードの「transix」の紹介ページでは、やや古い情報のため不安はあったのですが、動作確認済みのDS-Lite対応ルーターが紹介されており、この中で、普通にヨドバシカメラなどで買えそうなのは、バッファローのルーターか、ヤマハのルーターということになりました。実際にはもっとDS-Lite対応のルーターがあるかもしれませんが、現在のヤマハのルーターは業務用ということもあってか技術関連情報が豊富だったのは、大きな要因になりました。

 個人的にヤマハのルーターを選んだ理由はほかにもいくつかあります。コンシューマー向けであるバッファローの製品とは異なり、ヤマハの「NVR510」は有線LAN専用の業務用ルーターであること、ひかり電話の接続をサポートしており、NTTからレンタルしているHGW「PR-S300SE」のルーター部分(装置の上半分)を使用せず、ひかり電話の接続を含めてまるごとヤマハ側に一本化できること、個人でも買えるとはいえ業務用なので内部のスペックや信頼性が高いこと、などです。

 反面、拠点間の接続のためのVPN機能なども製品の特徴のひとつですが、まぁサーバーの公開などもしていない、ただのアパートの一室ですから、私は使わないだろうと思います。っていうか業務用なのでVLANとかLANマップとかエラーをメールで通知とか、使わない機能は山ほどあります(笑)。

 PCからネットへの接続を捌くNATセッションのスペックについては、65534セッションと、現実的にはPC100台以上を余裕で捌けるような小規模事業所向けのガチな業務用スペックで「こいつぁ動画サイト複数同時視聴とかのやんちゃも余裕だぜ!」とか盛り上がってましたが、本命である「IPv6 IPoE」+「DS-Lite」の接続では、ローカルに設置したルーターのNATセッションはそもそも通過するので関係がない、ということに途中で気が付き、ウチではあんまり関係がないスペックということになってしまいました。

>> ギガアクセスVoIPルーター NVR510
http://jp.yamaha.com/products/network/routers/nvr510/

>> NVR510 発表時のニュースリリース
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2016/16052501/

 そして、これら個人的な重視ポイントの代わりに、業務用機器としてはけっこう安いと考えられるものの、バッファローのヤツの2倍という価格で「NVR510」を購入することになります。

 もっとも、上でも少し触れていますが、「NVR510」の導入により、NTTから借りて使用する装置(ホームゲートウェイ/HGW)は、装置の下半分の回線終端装置(ONU)部分だけの利用にすることができます。ひかり電話の接続を含めた固定回線用ルーターをすべて自前で用意して設定できるというのは、個人的にはこれまで実現できていなかったので、重視・尊重したいところでした。

 仮に今後、引っ越したらNTTからレンタルするHGWが変わって設定もまたやり直しとか、イケてるのかイケてないのかよくわからないあの住友電工?のHGWのルーター部分をひかり電話の都合で使い続けなければいけないとかの不満や懸念が今後は一掃されると考えると、「この業務用スペックで今後10年は戦えるのでは」というのもなんとなく現実味を帯びてくる、気が、少し、するわけですね……。

 ちなみに「NVR510」は、ヨドバシの店頭だと業務用機器のコーナーに行かないと棚には並んでいないですし、パッケージは茶色のダンボールで、簡素なデザインで型番が印刷されているだけ。LANケーブルも同梱されていません。以下で書いているあれこれも業務用ゆえの仕様であるという部分は多いので、的はずれな期待は禁物です。

設置した「NVR510」

余談3:「小型ONU」は今後検討しましょう

 「NVR510」はさらに、NTT東が2015年から提供している板ガム数個分のサイズの「小型ONU」にも対応しており、「小型ONU」の差込口が搭載されています。こちらの利用(=HGWの交換)も検討しましたが、「小型ONU」“のみ”の提供は、一度宅内に訪問しての動作確認が必要とのことで、「腐海の底」などと人から言われる部屋の中に来ていただくのは私の気が大いに引けるので今回は断念しました。

 最近のNTTからレンタルされるHGW(500番台とか?)は「小型ONU」を内蔵・搭載した製品として提供されているようで、116では、この最新のHGWに交換した上で、「小型ONU」をHGWから引っこ抜いて自前の機器に接続する分には、まぁアンタなら自己責任ってわかってそうだし、それでいいんでは? (意訳)みたいな案内もされました。とはいえ、HGWを交換してもそのほとんどが無駄になるので、こちらも見送ることにしました。

 そもそも、「小型ONU」“のみ”の提供(HGWを小型ONU単体のみに交換すること)も、NTT東の116の電話口ではけっこう粘らないと引き出せず、裏メニューみたいになってました(笑)。すでに先達の報告もあったので、「いや、小型ONUのみで借りている人がいます」とかの譲らない路線で食い下がったところ、「念のため確認してみます」といなされた上で「どうやらできるようですが……」と変化していきました。まぁ実際問題として、ユーザー側の自己責任みたいな部分が大きくなりますし、積極的には提供しないというのが、裏の基本方針なのだと推察されます。特にひかり電話は、契約はあるのにユーザー側が用意した機器で設定を失敗してました、なので重要な通話ができませんでした、などという事態は、NTT的にも回避したいケースだと思いますし。

 引っかかったのは、この「小型ONU」対応のHGWへの交換は、宅内訪問は必要なく「お客様で交換・接続していただき元の機器は送り返してもらいます」とか言われたのに、「小型ONU」“のみ”の提供だと担当者の宅内訪問が必要と案内されたのは、どういう塩梅なんでしょうかね? 上記のような懸念から、ユーザー宅の環境でひかり電話の動作を確認するとかなんでしょうか?

HGWの回線終端装置(ONU)だけを使いましょう

 2010年からレンタルしているHGWの「PR-S300SE」は、実はギガビット対応済みということで、「ギガライン」化に際しても交換不要という形になったわけですが、「NVR510」などの自前で用意した「ひかり電話対応の市販のルーター」と接続するための方法は、グレーだと思っていた手法が、調べを進めると実はNTTから普通に案内されていました。

 HGWの中間にある「UNI」ポートのカバーを開けると出てくるLANケーブルを外すと、ONU部分とルーター部分の接続が切れるので、ONUから自前のルーターのWANポートに直接接続できるようになるというものです。

>> 「ひかり電話ルーター」のレンタル契約を解約せずに市販のひかり電話対応ルーターを利用する方法について
https://flets.com/hikaridenwa/use/uniport.html

 ひかり電話を利用している場合、通常、HGW上半分のルーター部分は、ひかり電話(インターネットに接続しませんが、IPv6です)のためにどうしても活かしておく必要があるわけですが、「NVR510」は市販品でありながらひかり電話に対応しているため、HGWの上半分の利用をバッサリとカットし、下半分のONUだけを利用できるわけですね。

 ちなみに「PR-S300SE」の電源は、HGWの上下どちらの部分にも供給されるため、UNIポートを外してルーターをONUから分断しても、ルーターに電源だけは入っている状態です。ここで、ひかり電話の契約がある場合、HGWの電源投入前にルーターを分断していると、電源投入後、ルーター部分にある「登録」ランプだけがずっと点滅したままになります(ひかり電話の契約を確認中の状態らしい)。

 そこで、UNIポートはルーターと接続した状態(つまり従来の状態)でまず電源を入れ、「登録」ランプが点滅から点灯に変わった後にUNIポートのLANケーブルを抜くと、「登録」ランプは点滅に戻らず、点灯したままになります。これがいいのか悪いのかわかりませんが(笑)、ずっと点滅しているのがアレなのでこうしています。

「PR-S300SE」とかのルーター付きHGWは、下半分がONU、上半分がルーターです

「UNIポート」カバーを開き、ONUに直で接続が可能

「NVR510」を接続しましょう

 ここからは「NVR510」を具体的に設定する方法について見ていきます。設定は環境とサービスの契約内容に依存するので、汎用的な話ではなく、けっこう限定された内容になります。

 「NVR510」をセットアップするにあたっての環境ですが、回線は「フレッツ 光ネクスト マンション・ギガラインタイプ」です。光配線方式でエアコンのダクトから室内に光ケーブルが引き込まれ、上記のHGWのONU部分にそのまま接続されています。ひかり電話も契約しています。

 ONUのカバーを開けたところにあるUNIポートからは、短いLANケーブルで「NVR510」のWANポートに接続しています。ひかり電話として使う電話機のモジュラーケーブルは「NVR510」のTELポートに接続します。

 「NVR510」の背面にある4つのLANポートは、現在3つを利用しています。メインのPCからLANケーブルを接続したのと、そのほかいろいろな機器をつなげているスイッチングハブとの接続に1本、無線LANのアクセスポイントになっているAtermから1本接続しています。Atermはルーター機能を使用していないので、いわば無線版のスイッチングハブとなり、無線LANで接続しているスマートフォンやタブレット、Switchとかのゲーム機も、ルーティングは「NVR510」の配下にある形です。

NECのヤツ、スイッチングハブ、NVR510、PR-S300SE

「NVR510」を「かんたん設定」でセットアップしましょう

 設定の始め方ですが、マニュアルなどにあるように、「192.168.100.1」(初期設定)にブラウザでアクセスすると、Web GUIが表示され、設定できるようになります。

 ケーブルなどの接続を終えたら、まずはWeb GUIで初期設定をウィザード形式で進められる「かんたん設定」のページに進み、「基本設定」で機器の時刻の設定と、ログインユーザーのパスワードを設定します。

<2017年7月2日追記>
 ひかり電話の設定ですが、私のようなIPv6 IPoE接続の場合、「かんたん設定」の「プロバイダー接続」でIPv6 IPoE接続の設定を済ませる前に、ひかり電話の設定をする必要があるようです。IPv6 IPoE接続のプロバイダー接続情報を設定した後だと、「かんたん設定」の「IP電話」の中にある「ひかり電話」の設定ウィザードが開始できず、(必要な設定をコマンド入力で追加しない限り)ひかり電話を使用できない状態のままになります。 また後述しますが、「SIPユーザー名」にはひかり電話の電話番号を入力するのがよいようです。
<追記ここまで>

<2017年9月25日さらに追記>
 ファームウェア「Rev.15.01.09」で上記の順番に関する問題は解消されました。
<さらに追記ここまで>

 その後は、「かんたん設定」の「プロバイダー接続」に進み、ウィザードに従って新規に設定します。プロバイダー接続の登録は、最初に(小型ONUを使わないので)WANポートを選択し、次に回線の自動判定が行われ、表示にしたがって「PPPoE 接続」「IPv6 IPoE 接続」などの項目を選んでいきます。

 上記で長々と触れたように、IPv6 IPoE接続では、ユーザー側にあるルーターに接続IDなどの情報を入力する必要がないため、ウィザード上では接続名称を任意で決める程度のことをすれば設定が完了します。GUI上のボタン操作で接続・切断という概念もないため、Web GUIのダッシュボードでも常に接続されている表示になります。「DS-Lite」の設定については後述します。

 この後、「FiberAccess/NF」にてIPv6とは別に提供されている、「IPv4 PPPoE」接続のための接続IDとパスワードも手元に用意して、「かんたん設定」から2件目のプロバイダー接続の設定として新規に入力します。こちらは、設定が完了すると、「かんたん設定」のプロバイダー接続の一覧ページから、接続・切断の操作を行えるようになります。ダッシュボードでは、割り当てられているIPv4のグローバルIPアドレスや、接続時刻、切断時刻なども確認できるようになります。

 余談ですが、業務用らしく(?)、これらプロバイダーの接続・切断の際には、「NVR510」本体から「ピポ♪」「ポピ♪」というブザー音が鳴ります。また、「NVR510」本体の起動が完了した際にも「ピー」と音が鳴ります。コンシューマー向け製品ではまず無い機能なので新鮮です。

「NVR510」にコマンドで「DS-Lite」を設定しましょう

 ここまでは、「かんたん設定」のウィザードに従って、「プロバイダー接続」の設定を追加しただけです。ここまでで、まだ完了していない重要な設定は、IPv6 IPoE接続である意味で要にもなる「DS-Lite」です。

 ごくごく基本的な内容で利用する分には、これまで紹介したWeb GUI上の設定で問題なく、「かんたん設定」から追加した設定には、セキュリティ上、最低限必要なIPフィルターなども自動的に追加・適用されます。

 IPv6 IPoE接続に関する設定も、Web GUI上の操作でほぼ完結できるのですが、私が設定している時点(ファームウェア Rev.15.01.06)では、「DS-Lite」の動作に必要な一連の設定は、コマンド操作で追加するしかないと思われます。GUI上で作れるかもしれませんが、ちょっと分かりませんでした。

 ちなみにWeb GUIの「かんたん設定」→「VPN」→「拠点間接続」で、一般的なIPIPトンネルについて設定できるのですが、下記にもあるように「DS-Lite」の設定に必要な終端アドレスは“IPv6アドレスで指定する必要がある”ためか、これがWeb GUI経由だと通らないようです。

 もっとも、一から記述を考えて設定しなければならないわけではなく、前述のインターネットマルチフィードのページでは、前モデルである「NVR500」の動作確認結果とともに、「DS-Lite」の動作に必要な設定例が案内されています。「NVR500」と「NVR510」は、コマンドに互換性がありますし、ヤマハのルーターとして特殊な記述になっているわけではなく、「DS-Lite」の動作に必要なルーティングやトンネリングの設定が記述されているだけです。

>> DS-Lite 接続確認機種情報 YAMAHA NVR500 設定例(インターネットマルチフィード)
http://www.mfeed.ad.jp/transix/ds-lite/contents/yamaha_nvr500.html

 あ、ちなみにヤマハのルーター用コマンドでは「DS-Lite」という語句は(多分)出てこず、該当するキーワードは「トンネリング」「トンネルインターフェース」などになります。

 私は「DS-Lite」の設定について、先達の報告も参考にしながら、トンネリング部分は以下のように設定しました。

tunnel select 1
tunnel encapsulation ipip
tunnel endpoint address 2404:8e00::feed:100
ip tunnel mtu 1460
ip tunnel tcp mss limit auto
tunnel enable 1

 上記のうち「tunnel endpoint address」の後に指定しているIPv6アドレスは、上記の「transix」の設定例で紹介されている、NTT東日本エリア用のアドレスです。NTT西日本エリアの場合は違うので、上記リンク先で確認してください。

 この記載している設定内容は、そのままコマンド実行時の命令文でもあるので、上記をそのままWeb GUIのコマンド実行欄に入力して実行すれば、設定に反映されます。後述もしていますが、ヤマハが提供しているコマンドリファレンスブックで、例えば「トンネリング」や「tunnel」コマンドの項目を調べれば、上記が何を記述しているのか、簡単に理解できます。

 このほかにも、コマンド操作で設定を追加したのは、「IPv4 PPPoE」接続として設定したプロバイダー接続を、自動的に再接続しないようにするというコマンドです。もしかしたら不要な設定かもしれませんが、私の環境では、PPPoEを切断してもしばらくすると再接続していたので、コマンドで再接続の無効を明示しました。

pp select 1
pppoe auto connect off

 上記の1行目は、「ゲートウェイの pp 1 について設定する」という宣言で、どのゲートウェイに対してのものなのかを示します。初期設定ではコンフィグファイルに記述されないのが、2行目の内容です。

 PPPoE接続を複数設定していた場合は、ルーター内のゲートウェイとして「pp 2」なども存在しているので、Web GUIのダッシュボードや詳細設定の「ルーティング」から、番号を確認します。

 このゲートウェイの一覧には、上述のコマンドで設定した「tunnel 1」も表示され、IPv4のトンネリングについてもゲートウェイとして設定されていることが確認できます。

 また、このトンネリングを設定すると、ダッシュボードに追加できる「トラフィック情報(TUNNEL)」パネルにて、トンネリングしているIPv4のパケットをモニターできるようになります。初期設定でダッシュボードにある「トラフィック情報(LAN)」は、IPv4とIPv6のどちらもモニターしますが、「トラフィック情報(TUNNEL)」でパケットがモニターされていれば、該当する接続はIPv4ということになります。

IPv6のYouTubeを再生した後、とあるサービスでストリーミング動画を再生。「トラフィック情報(TUNNEL)」にもパケットが出ているのでIPv4で接続していることに

「NVR510」のコマンド操作に少しは慣れましょう

 「NVR510」は、小規模なオフィスなどを対象とした業務用の製品ということもあり、設定や管理を複数の手段で行えます。基本的には、WebブラウザでアクセスするWeb GUIと、telnetやSSHのクライアントでアクセスし、テキストコマンドで操作するCUI主体の、2つの方法が用意されています。コマンドについては、Web GUI上にも「管理」ページの「保守」項目に、ルーター設定用のコマンドを入力・実行できるページが用意されています。

 私は技術者やインフラエンジニアではありませんから、基本的には見よう見まねで進めていくことになるのですが、この「NVR510」の設定について、すべてWeb GUIで完結したかといえば、上記で紹介したように、一部はコマンド操作で行うことになりました。

 そもそも「NVR510」において、コマンド操作での設定というのは、ありとあらゆる項目を設定できる、正統的で最も高度な手法であり、そしてただの一般人にはそれなりにテクニカルな手段です。このルーターにおいて、Web GUIでの設定というのは、コマンド操作でできるうち、特に重要なものをピックアップして分かりやすくしている、という形に過ぎません。実際にすべての設定内容は、コンフィグファイルとしてテキストデータで管理され、管理者であればいつでも表示・取得できます(PPPoE接続の設定内容ではパスワードなども記述されているので、取り扱いには注意が必要です)。Web GUIから操作して設定を追加しても、コマンド操作で設定を追加しても、最終的にはこのコンフィグファイルに、コマンド内容とともに設定内容が記述されています。

 ヤマハのWebサイトでは、600ページ以上もあるルーター用のコマンドリファレンスブックがPDFでダウンロードできるようになっており(Webサイト版もあります)、設定できる全ての項目を確認できます。比較的平易な文章でその意味が解説されサンプルも掲載されているので、フィルターであるとかトンネリングであるとかの必要な部分は目を通しておくと非常に参考になります。

 設定内容以外でも、例えば、LAN内のPCやNASなどに対して、DHCPサーバー機能で何番のローカルIPアドレスが払い出されているのか確認したいということがあります。ヤマハのスイッチングハブを使っていれば「LANマップ」機能で見られると思いますが、そうでない場合、Web GUI上では一覧を確認できないようです。このようなケースでは、コマンドで「show arp」と実行すれば、現在払い出されているローカルIPアドレスの一覧が表示されます。

 ひかり電話がちゃんとつながっているかどうかは、受話器を上げたり電話をかけたりすれば分かりますが、コマンドで「show status ngn」と入力しても分かります。実行ログに「sip:0ABCDEFGHI@ntt-east.ne.jp」などと表示され(0A~Iは電話番号)、「起動OK」と表示されていれば、発着信ができる状態のはずです。

「NVR510」の細かな設定を詰めましょう

 このほか、Web GUIからですが、設定で変更したのは、「詳細設定」→「IP電話」→「TELポート」の設定で、「着信の許可」について、「SIPユーザー名と一致した場合のみ許可する」に変更しました。

 ヤマハのVoIP対応ルーターでは、VoIPサービスに対する不正なパケットを受信した際に、電話機の着信音が鳴ってしまうという、仕組み上はやや仕方がない系の問題があるようです。ヤマハからは上記の対策方法が2008年に案内されています。我が家ではIP電話サービスは利用せず、ひかり電話のみですが、接続してしばらくしたら、怪しい(本来ありえない)SIPアドレスからの着信があり、受話器をとっても無音でした。

 上記の設定に変更すると、このようなSIPへの不正なパケットについては着信が拒否されるようになります。

 ただし、設定により拒否したパケットであっても受信すればログに残るので、ダッシュボードの通話履歴には赤い色の行で、怪しいSIPの着信履歴が表示されることになります。

<2017年7月2日追記>
 ひかり電話の環境で上記の設定をする場合、「SIPユーザー名」の欄には、ひかり電話で利用している電話番号を入力しておきます。そうしないと、普通の電話の着信もすべて拒否してしまうようです。
<追記ここまで>

>> 無言電話がかかってくる / 不正なSIPパケットを受信する(ヤマハ FAQ)
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/FAQ/VoIP/troublevoip-ans.html#9

 あと、ケーブルを接続していないTELポートは、そのポートへの誤着信を防ぐため、「使用しない」に設定を変更することが推奨されています。

 ヤマハの通信機器事業は、IIJと似たような部分があり、こうした技術情報や課題、その対策といった情報をいち早く公開しています。現在は業務用機器として提供している側面はありますが、コンシューマー向けにルーターを販売していた昔からのスタンスのようですね。

>> RTpro ヤマハネットワーク周辺機器 技術情報ページ
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/

「DS-Lite」の快適ぐあい

「DS-Lite」で接続、実際どうなんでしょう

 何度も書いてきましたが、「DS-Lite」は、IPv6 IPoE接続により、設備の面で混雑を効果的に回避しながら、課題になるIPv4接続もトンネリングで解決し、IPv6網のみを使用してそのメリットを最大限に活かせるという、わりと快適、いやヒッジョーに快適な環境になっています。少なくとも2017年5月時点では。

 上記のようにIPv4 PPPoE接続は予備として設定していますが、普段は切断してあり、現在我が家はIPv6 IPoE接続と「DS-Lite」のみでほとんどを過ごしています。MMORPGのサーバーへの接続はもちろん、自分がこれまでに利用してきたかなりの種類のサービスに接続してみましたが、問題は起きていません。特殊な接続方法でプログラミングされているアプリでない限り、問題は起きないとみてよさそうです。

 一点、これは業務利用ですが、会社のVPNサーバーに対し、自宅のLAN内のWindows 10 PCをクライアントとしてL2TP/IPsecでVPN接続を行った場合のみ、「IPv4 PPPoE」も接続しておく必要がありました。

 会社のサーバーの仕様にもよるでしょうし、厳密な検証はできないのですが、「DS-Lite」のみでもVPN接続自体は認証に成功するものの、その後の実際のパケット(イントラネットの表示など)は、「IPv4 PPPoE」接続を有効にしていないと受信できないという感じです。「IPv4 PPPoE」接続のタイミングは、VPN接続の確立後でも問題ないようです。私の理解が足りていない部分もけっこうあるとは思いますが……。

 会社へのVPN接続は常時でも頻繁でもないですが、必要な時に接続できないとけっこう困ります。ただ現状では、会社へのVPN接続時以外は「IPv4 PPPoE」接続は不要のため、前述のコマンド操作で自動の再接続はオフにした上で、念のためWeb GUIの「詳細設定」「ルーティング」では、ゲートウェイの優先順位について「IPv4 PPPoE」接続である「pp 1」を上位にしています(接続した場合は、優先的に利用するという設定のハズ)。

「DS-Lite」で速度を計測してみましょう

 「DS-Lite」は相当快適であると事前につかめていたため、フレッツ光の回線がギガラインに切り替わる前から、通信速度の計測を行いました。2つの測定サイトでそれぞれ5回連続して計測して、それぞれ平均値を出し、空いている時間帯やピークタイムに計測して、後の「DS-Lite」の快適ぶりを可視化するというものです。

 ただ、せっせと計測していたのがゴールデンウィーク中だったというのは人口動態的に留意が必要ですが(笑)、ピークタイムでもバカみたいに快適という傾向は、連休が終わっても変わっていません。

 まず従来のプロバイダーで、フレッツ光も上下200Mbpsのハイスピードタイプだった、完全に以前の環境。4月29日の昼過ぎで下り173Mbps、185Mbps、ピークタイムの最中である21時半ごろで22Mbps、46Mbps、24時半ごろで36Mbps、84Mbpsといった塩梅でした。

 5月1日の22時半ごろは19Mbps、96Mbpsと差がありましたが、5月2日の22時半ごろは0.6Mbps、2Mbpsと、5回計測の平均で2種類のサイトで計測したにもかかわらず、近年記憶にないほどの鈍行ぶりでした。実感としても非常に遅く、YouTubeはおろか、普通のWebサイトの画像もダイヤルアップ時代みたいな速度でツツ~っとロードしてました。なにか障害とか特殊な要因が、絡んでいたかもしれません。

 5月3日早朝にギガライン化を果たすと、ベースが格段に底上げされ、かなり快適になりました。5月3日の朝9時で311Mbps、383Mbps、20時半ごろでも296Mbps、309Mbpsと快適ですが、残念ながら、回線が良いせいなのか、連休後半戦スタートでリア充が外出して回線が空いているせいなのか、判然としません(笑)。

 ここまでは、IIJに変える前のプロバイダーで、「IPv4 PPPoE」接続です。

 IIJの「FiberAccess/NF」を契約し「DS-Lite」の環境を構築したのは5月4日以降です。ここで、計測に使っていた一方のサイトが、どうやら計測できる速度が300Mbps台後半で頭打ちになっているのではないかとの疑惑が私の中に持ち上がり、以降の計測をやめました。

 IPv6網のみを使う「IPv6 IPoE」+「DS-Lite」の環境では、1種類の計測サイトのみを利用しましたが、接続先のサーバーは複数ありました。ここからは、どの時間帯でも400Mbps後半や500Mbps後半、私の環境では最高速度に近いと思われる600Mbps後半も何度も叩き出すなど、ベストエフォートのサービスとしてはこれ以上望んでもしかたない程に高速な結果ばかりになりました。

 Pingの応答速度も、都内や首都圏のサーバーであれば最高4ms、2桁台でも15msなどかなり速く、オンラインゲームなどでも非常にポイントが高い環境といえそうです。あ、自宅は東京・23区内です。

快適すぎる環境を実感しましょう

 これらの結果は想定通りではありますが、実際にそうした環境に移行できて、感慨もひとしおというところです。

 また、実感としての快適さは、想像以上です。冒頭に書いたような、会社から帰ってきて、何か見ようかな~とおもむろに動画サイトを開いても、なんの気兼ねもストレスもなく、最高画質の設定で、早送りもシークもサックサクでストリーミング動画を楽しめます。6000kbpsのストリーミング動画もローカルファイルのようにサクサク見られます。

 IPv6の設備が混雑し始めるのがいつになるのか、まだ分かりませんが……ひとまず最近は、これまで無意識にけっこう我慢していたのかな? と思えるほど、日々快適さを噛みしめ、実感しているところです。

“「NVR510」でIPv6+DS-Lite、いつ何時でも混雑しないネット環境に” への2件の返信

  1. IPv6+DS-LiteはグローバルIPを他のユーザと共有しているため、特定のポートを使う通信ができないので、VPNの中身をやり取りするにはpppoeで提供される自由に使えるグローバルIPアドレスが必要になります。
    特定の通信だけPPPoEに流すようなコンフィグを書いておくとIPv6+DS-Liteの環境とIPv4PPPoEの環境を共存できますよ!サーバ公開するときなどに便利です。
    以下のブログでそんな感じで共存させています。
    http://nasunoblog.blogspot.jp/2016/10/ipv6-ipoe-and-ds-lite.html?m=1

  2. やはりVPNの不通はグローバルIPアドレス関連でしたか。情報ありがとうございます。現在はVPN接続の度にIPv4を接続して、用事が終わると切断しています。頻度がそれほどでもないのでこれでも問題ないですが、紹介いただいたブログの例も参考にして、コンフィグをもう少し勉強してみたいと思います。

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