Calyx M with X-batt

 デジタルオーディオプレーヤー(DAP)として使っている「Calyx M」向けに、換装用の大型バッテリー「X-batt」の発売がアナウンスされたのが……2015年の春の前だったでしょうか? 日本でもJaben Japanのオンラインストアにて受付が開始され、私は最も早いタイミングと思われる3月中旬に注文しました。4月に発売との当初の案内から、5月初旬、5月末、と順調に延期され、6月中旬に届きました。

駆動時間は

 素の「Calyx M」だと4時間前後とかで、DSDだともう少し短くなるため、運用面で駆動時間の短さをカバーしてきた訳ですが、「X-batt」は換装用の大型バッテリーということで、こうした駆動時間の短さを解決するのが一般的に考えられるメリットです。

 外装は、色こそ完全に同一には揃えられなかったようですが、デザインや質感は本体と同一で、安っぽい感じはありません。「X-batt」の印字も、刻印に塗装が施された、しっかりとしたものです。

 「X-batt」の仕様は、8000mAhのバッテリー、というだけです。本体ファームウェアの更新や特別な設定は必要なく、初期状態のCalyx Mの裏蓋と、そこにくっついている3100mAhのバッテリーを取り外し、代わりに「X-batt」を装着するだけです。上側は噛み合わせ、下側はビス止めなので、自由に分離できるわけではなく、ガッチリと固定されます。内蔵バッテリーの換装なので、3100mAh+8000mAhになるのではなく、3100mAhが8000mAhに置き換わる形です。増加分は4900mAhです。

 単純かつ体感的な捉え方では、駆動時間が倍以上になる、程度の認識でいいと思います。ちなみに急速充電などには対応していないので、「X-batt」では空から満充電まで8時間程度かかる模様です(笑)。

 「X-batt」装着後の本体は、厚さが倍、重さは公称230gから407.5g(実測値)に増加と、プレーヤーとポータブルアンプの2段重ね運用と同じような規模になります。この大きさ・重さのデメリットについてはもう見たまんま想像したまんまなので多くを語る必要はないかもしれませんが、私自身の心持ちとしては、「Calyx M」の音を気に入っているので、(変な追加パーツが出てきても)最後まで付き合ってやろうというのが正直なところです(笑)。

分かりやすいデメリットはさておき

 「X-batt」のメリットは、結果から言うと、音質の向上と、駆動時間の延長です。

 古来よりオーディオにおける電源は、音質に密接に関わる要素として、今に至るまでさまざまな取り組みが行われてきました。

 Jaben Japanの商品紹介ページでも「電流の安定による音質の向上」と密かに言及されていますし、この「X-batt」がそうした性格をコンセプトとして持たされた商品なのか、また度々延期された理由がオーディオ的アプローチに起因するものだったのか、私は知りませんが、結果として大容量で安定した電源を得て、音質の面では大きく変わったと感じました。

 特定の音域がわずかに変わった、というものではなく、全面的に向上したと感じます。一聴してすぐに分かるのは低域で、重低音域にまで深く沈み込むようになり、制動力を感じさせる、引き締まった感じになりました。相対的には、賑やかで厚みのあった低音域全体では少しスッキリしますが、質感はしっかりと残され、よりバランスがとれたような印象になりました。

 音場のひろがりと、各音の要素の独立性、定位のようなものがしっかりと描かれるようになり、例えばボーカルは、ほかの音に侵食されにくく、各音も芯のある存在感になりました。

 ボリュームへの耐性も上がったようで、いつもよりボリュームを上げても、音の各要素のバランスが保たれている印象です。ボリュームを少し上げて、慣れ親しんだ距離感や空間を変えても、破綻や飽和を感じさせにくくなったと思います。

 大きく重くなり、音質は向上と、持ち前のキャラクターがさらに進化してしまった感じですが、全面的に、各音域の音の要素がリバランスされたような雰囲気で、商品としてのステージがひとつ上に上がった、というのが偽らざる感想です。ノーマルの「Calyx M」でこれまで聴いてきた楽曲を、もう一度この「X-batt」バージョンで聴いてみたくなる、そんなアップデートになっています。