AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

 焦点距離35mmのレンズは以前から腰を据えて使ってみたいと思っていましたが、28mmやズームレンズ、60mmのマクロなどを先に揃えてしまい、ちょっと後回しになっていた感じでした。そうこうしているうちに2014年になると、f/1.8という比較的まともな価格帯で買えるレンズ「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」が登場したので、(マニュアルフォーカスやオールドレンズの選択肢はひとまず置いておき)最新のレンズの写りや機動性というものを試してみたいと思い、買ってみました。

 ニコンは、ノクトニッコールの再来と言われる「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」の開発で次世代型の計測装置「OPTIA」を導入し、このレンズでは特に、ボケ味の美しさとともにサジタルコマフレアの低減を特徴に挙げています。その後に発売された「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」でも同様に高い点像描写力やサジタルコマフレアの少なさが特徴に挙げられており、同じ計測技術で開発されていることが期待されているわけです。

 「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」にはEDレンズが採用されていますが、ナノクリスタルコートは施されておらず、デザインとしてのゴールドリングも無い、外観はいたってふつーのレンズです。ニコンの単焦点レンズではf/1.4がハイエンドで、f/1.8はそれらより一段グレードが落ちる代わりに、小ささや軽さ、価格面で、性能とのバランスが非常に良くなってくるレンジです。「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」も小型で軽いので、スナップ撮影などに気軽に持ち出したい時にはありがたい部分です。最短焦点距離が撮像面から0.25mと短いのも地味に効いてくるポイントだと思います。

 発売直後ではないので、すでにさまざまな人が紹介していると思いますが、絞り開放(f/1.8)でもシャープでコントラストが良好なのは、さすが最新のレンズ。スカっと見通しの良い絵が得られます。ボケも綺麗で、雰囲気をしっかりと作り出せます。

 焦点距離35mmのレンズは広角レンズに分類されますが、撮り方によっては広角レンズの雰囲気を抑えて写すこともでき、構図次第でどちらのイメージも持たせられるという二面性を持っている、というのが私が35mmに抱いているそもそもの印象です。良くも悪くも使い手次第、といったところでしょうか。

 写せる角度、あるいは撮影後の手応えという意味では、肉眼の視野のうち、“自然に意識を向けている視野の角度” に近い、と感じることもあります。見たままが撮れている、というと言い過ぎかもしれませんが、わりとそれに近い印象を受けています。スナップで街中を歩いていると、広角、望遠といったレンズの特性で絵を作り出す、あるいは切り取るというより、レンズの画角が、意識としての視野と一体となって、結果的にレンズの存在や画角の持つイメージが希薄になっていく感じです。前述の最短焦点距離が短いという点は、こうした35mmレンズの持つ二面性を広げたり、マンネリ化を打破する時に役立ってくれます。

 もちろん、f/1.8という、ズームレンズでは難しい、明るい特性がもたらすピント面の操作やボケのコントロールは、画角だけではない三次元的な変化を作れます。以下でピックアップした中では、後半の渋谷の街中の写真が、絞り開放のf/1.8です。夕方や夜間にも強いので、活躍できるシーンは多そうです。