アルティメットニッパー

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 模型製作で使うニッパーに新たな風を起こしているという、ゴッドハンドの「アルティメットニッパー 5.0 SPN-120」を買ってみました。以前から気になっていたものの、店頭に入荷するとすぐに完売してしまうので機会を逃していましたが、Amazonで入荷するとTwitterの公式アカウントでアナウンスされていたのを見て、(適正な価格で)購入することができました。

 仕事をし過ぎて同業者から「○○○さんは実は7人いる」とか噂される有名ガンダム系プロモデラーが愛用しているとか、ホビー誌で紹介されたとか、最近ではいろいろ話題も出てきていますが、とりあえず切れ味がウリのこのニッパー。ニッパー自体はあれば便利とかいうものではなく模型製作の基本ツールですから、素人でも恩恵にあずかれそうです。

 
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 気になる切れ味は、すでに多くのWebサイトで報告されているように、薄刃ニッパー、精密ニッパーなどと呼ばれるほかの製品よりもさらに一味違い、格段に軽い力で切ることができます。私が持っているタミヤのゲートカット用薄刃ニッパーと比較して、体感で半分ぐらいの力で切れる感じでしょうか。パチン、という抵抗も少なく、カット後に小さなパーツが飛んでしまう、やってしまいがちなあの現象もかなり減る印象です。カットした時のプラスチックの白化も、刃の角度を考えてカットすれば最小限に抑えられます。まな板に包丁のような関係の片刃仕様で、さらに超薄刃ということで、デザインナイフで切っている手応えに近いかもしれません。

 超薄刃ということで、取り扱いには注意が必要で、「力を入れ過ぎない」という点はかなり書かれています。また、切っている最中にひねらないようにも書かれています。公式のWebサイトには刃が折れた時の動画も掲載されていますし、このあたりの慎重に取り扱わなければいけない点は、切れ味とのトレードオフというところでしょう。

 

 
 製品としての仕様は地味に進化しているようで、私が購入した製品では、開き過ぎ防止ピンがピヨッと出ていますし、力の入れすぎで刃が過度に衝突して折れるのを防ぐため、内側にはナットにより繰り出されたボルトによる、ストッパー機構が付いています。

 刃は職人が刃研ぎをして仕上げているとか、製造工程もなかなかこだわっています。切れ味の耐久性も、切れるものとして最大の3mm径のプラ棒を10万回カットしても切れ味が落ちないと謳われているので、相当なもののようです。ちなみにメーカーのゴッドハンドでは、他社製品を含めてニッパーの刃研ぎサービスを有償で受け付けているので、ヘビーユーザーでも安心な部分ではないかと思います。

 

普通は手にしたことがない「片刃」である

 
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 実際に使う上で気にしておくべきなのは、この製品が「片刃」であるという点でしょうか。パッと見は分からないのでアレですが、切るための刃は左右のうち片方にしか付いていません。まな板と包丁のような関係で、刃でないほうは、刃を受け止めるだけで尖ってはおらず、切断能力はありません。

 この片刃であるという点は、超薄刃であることや切れ味と並んで、使う上でも最も特徴的な部分です。まず、片刃であるために、通常のパッケージのアルティメットニッパーは「右利き用」です。右手に持つと、人差し指で操作する側、つまり刃としては手前側、あるいは上側にくるのが刃、という位置関係です。切れるのはこちら側だけです。ゴッドハンドでは左利き用もラインナップしていますが、右利き、左利きと分かれるのは一般的な両刃のニッパーには無いポイントです。

 片刃ではまた、刃がカットする方向は一方向で、刃がないほうは切ってくれないので(笑)、パーツとゲートの形や位置関係を見て、どちらから刃を進めるのが良いか、気にしておく必要があるでしょう。

 ほかにも、ニッパーでありながらこれまでにない超薄刃となると、今までなかった場面に出くわすことあります。前述のように「カットしている最中にひねるな」と刃折れ防止の注意喚起がなされていますが、そういう場面が皆無ではないのです。

 このあたりデザインナイフの感覚に近いかもしれませんが、超薄刃で切れ味が鋭いため、厚みのあるゲートでは、カットが終わっても、刃がプラスチックの間に挟まったままになってしまうことがあるのです。パーツをランナーから切り離す最後のゲートなら問題ありませんが、それ以外の場合は留意しておく必要があるでしょう。刃がないほうを意識して、刃のほうも引き抜きに注意するとか、刃が挟まったままにならないよう、手先の感覚にクセを付けておくとよさそうです。

 超薄刃なので場合によってはカット後に挟まる、というのは、極小パーツをカットした時にパーツが飛びづらいという特徴と表裏一体の関係でもあるので、なかなか痛し痒しな部分でもあります。いかにも挟まりそうな厚めのゲートはほかのニッパーを使うなど、使い分けるのも懸命な策でしょう。

 
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 タミヤ 「 薄刃ニッパー」(左) ゴッドハンド 「アルティメットニッパー」(右)

ゴッドハンド 「アルティメットニッパー」(上) タミヤ 「 薄刃ニッパー」(下)

 

  • 切れ味が鋭く、軽い力でゲートをカットできる
  • カット時にパーツが飛びにくく、ゲート跡の白化が少ない
  • 片刃仕様のため、パーツとゲートの形状に合わせて刃を当てる向きを考える
  • 超薄刃のため、厚いゲートではカット後に挟まる場合がある

 
 鋭い切れ味に超薄刃、馴染みのない片刃仕様と、使ってみると意外に特徴の多いアルティメットニッパーですが、白化や後処理を軽くしたいガンプラの素組みはもちろん、極小パーツの多い戦艦などのプラモデルでも非常に重宝しそうです。