Nokia Lumia 800

 ノキアの「Lumia 800」(香港版)です。OSはWindows Phone 7.5で、新生ノキアを象徴するモデルですね。

 ディスプレイは3.7インチ、800×480ドットの有機EL(AMOLED)で、ボディサイズは61.2×116.5×12.1mm、重さは約142gとなってます。大きさと重さは、分かりやすく言うと「iPhone 4S」とだいたい同じです。カメラは800万画素ですが、現状では、少なくとも私の個体は中心に青い曇りが出るので過信は禁物な感じです。IIJ mioのSIMカードで使っていますが、ファームウェアを現時点で最新の「1600.2487.8107.12070」にしたところ、電池の持ちは良くなったようです。IIJ mioのSIMはAPNを指定通り設定すれば問題なく使えますが、アンテナピクトは立ちません。これは「Nexus S」でも同じです。ちなみにこの「Lumia 800」に技適のマークはありませんので利用は自己責任となっております。

 「Lumia 800」とほぼ同じデザイン、近しいスペックで「Lumia 900」も登場していますが、「Lumia 900」のほうはディスプレイが4.3インチと大型化されているものの、解像度は800×480ドットのまま。この北米(AT&T)向けモデルはAT&TのLTEをサポートしているのが大きな特徴ですが、仮に日本に持ってこれたとしてもLTEどころかW-CDMAも使えるかどうかアヤシイ、というか対応周波数帯の仕様を見る限りでは使えない感じ。じゃぁW-CDMAは日本で使えるけどLTE非対応の英国版「Lumia 900」は、解像度そのままで画面がデカくなっただけということになり、精細感的にはけっこう残念な感じでは……ということで、「900」の存在を知った上で「800」を選んだ次第です。

 普段は4.7インチの「GALAXY NEXUS」(SC-04D)を使ってますけど、1280×720ドットと精細感や密度は目を見張るものがあります。が、単純にデカすぎるんですよ、画面(=ボディ)が。4インチ以上は物理的にもうちょっと無理があるっていうか、片手オペレーションではホントに指が隅に届かず限界を感じるので、今後はそのあたり、真剣に考えて選びたいと思いました。個人的にですが、今後の理想は4インチ以下でなおかつHD以上の解像度って感じでしょうか。

 Windows Phone自体はメーカーによる独自色がほとんど出せないサダメのようで、「Lumia 800」のOS部分でノキアらしい部分といえば、着信・アラームの音や、UIのテーマカラーに「nokia blue」が用意されているぐらいでしょうか。もっとも、「Lumia 800」のボディカラー、Cyanでデフォルトに選ばれているテーマカラーは「ブルー」で、「nokia blue」はもっと濃い青なため、Cyanとはマッチしません(笑)。

 侮れないのは着信・アラーム音の類。ノキアが好きな人にとっては、有名な着信音「Nokia Tune」に特別な思いを抱く人もいるかと思いますが、着信音はいずれも完成度が高く、突き刺さるように刺激的ではなく、かといって聞き流してしまうほど地味でもない、非常に質の高い音が揃っています。

 アラーム音はさらにすごく、といっても個人差はあるでしょうが、ノキアのアラーム音は本当に目覚めやすいというか、鳴った時の“急に起こされた感”が無く、かつて「Nokia N82」で初めてアラーム音を使って起きた時は「こんなにスッキリと起きられるのか」と驚いたものです。「Lumia 800」では、当然ながら「N82」から音自体は変更されていますが、いずれも秀逸なアラーム音が搭載されています。

 ノキアは世界市場で圧倒的なシェアを誇っていたフィーチャーフォン主体の時代から世界中に研究機関を設けており、当時(ノキアが日本市場にいた頃)は日本でも電車の中の利用動向など、継続的に調査を行ない、世界中のケータイの“使われ方”“文化”といった面に踏み込んでノウハウを蓄積していました。現在のスマートフォンメーカーのようにハイエンドモデルから攻めていくスタイルはある意味では簡単ですが、途上国を含めローエンドの端末まで幅広く手がけていたノキアにとっては、“一般大衆”がどのように使っているか、というのは重要なテーマだったわけです。上記の着信音なども、そうした研究成果の末に生み出されたと言われたら納得できるような、磨き上げられた説得力があるのは確かです。

 ちなみに、ご存知のように当時もノキアはストレート型端末が主流だった訳ですが、剛性を確保した設計がなされており、日本では折りたたみ型が主流だったこともあって、“犯罪現場で犯人がすぐに壊せなかった端末”として警察から感謝されたこともあったそうです。

 アラーム音などもそうですが、スペック表には表れない、名門メーカーとしての意地や誇りのようなものが、数年ぶりに手にしたノキアの端末から感じ取れ、「この人たち、ぜんぜん死んでないじゃない」と嬉しく思ったところです。

 そうした意地のようなものは、UI面ではWindows Phoneの仕様上、影が薄くなっているものの、逆にボディデザインには色濃く反映されています。

 ワンピースのボディは美しく仕上げられており、平滑度、上下端に向かう緩やかなカーブ、セミグロスの塗装といずれも非常にレベルが高いですね。スピーカー(とおそらくマイクも)を下部の面にまとめ、CEなどの印字もここに集約し、背面の目障りな印字を無くすなど、ミニマルな外観へのこだわりは相当なもの。上部のUSB端子のカバーはシーソー式に跳ね上がる方式で、閉じている時は無駄な溝も存在しないという徹底ぶり。FCCのID表記に至ってはSIMスロットを開けたわずかな場所にシールで貼られています。

 正面を覆うGorilla Glass採用のディスプレイはカーブドガラスですが、「Nexus S」や「GALAXY NEXUS」のように凹んでいるのではなく、わずかに反り返った形状です。といっても大部分は平らで、上下端がボディデザインに沿って傾斜している、という感じです。もっとも、ハイライトの入り方は平面とは少し異なるので、サイクロップレンズを平たくしたような不思議な印象になっています。

 ワンピースボディは剛性感が高く、140g超でずっしとした“塊感”を感じますが、やはりこのくらいのサイズは持ちやすく、少なくとも大きさの面ではモバイル機器の最適解でないかと思わされます。Windows Phoneのカスタマイズ性の低さはAndroidユーザーからするともどかしい部分ですが、アプリがどの端末でも使えるというのは、プラットフォーム全体を俯瞰すると、Androidには無い安心感ともいえます。iOS/iPhoneとAndroidの中間といったところでしょうか。Windows Phone自体、大きく方向転換した7.5が登場してからそれほど時間が経っているわけではないので、何事も徹底して粘るマイクロソフトの諦めの悪さに期待したいところです。