PortaProにカルダスケーブル

 


 
 以前ここでこっそりと触れていましたが、HD650のケーブルをカルダスからALOに交換する際、カルダスケーブルのコネクタ部分を外すのに難儀した挙句、金属端子だけが抜けるという失態をやらかし、あ~ぁ……とケーブルだけほったらかしになっておりました。一方、部屋で使うコンパクトタイプのヘッドホンは(音質は微妙ですが)Zinoを追加したことにより、すでに10年近く使っているPortaProはローテーション的に余裕が出たといいますか、ちょっと冒険してもいいコロかなと思い、くすぶっているカルダスケーブルを取り付けてみようと思った次第です。いわゆるリケーブルってやつですね。

 最初に断っておきますが、“オーディオ的な”ハンダ作業はドシロートです。綺麗な山など望むべくもありません。ハンダもオーディオ用ハンダを用意するのが望ましいのでしょうが、ぶっちゃけ壊れてもいいや、音がでればいいやぐらいのつもりだったのと、思いついたら夜だったので、手近にあった電子工作用のハンダを使いました。ちなみに、私のこれまでのハンダ作業履歴といえば、PS2の裏面の基板をメンテでいじったのと、ゼンハのマイク付き片耳ヘッドセットのケーブルをXbox360のヘッドセット用端子に移植したり、メカニカルキーボードのスイッチユニット(108個)を総入れ替えしたり、ぐらいでしょうか。

 音質面を追求するなら素直に専門家に頼みましょう。私は遊びでやっているだけです。あと、常識をお持ちの諸兄には無用な忠告ですが、下記にあるような改造は自己責任でお願いします。へ、ヘッドホンが壊れても家が燃えても知らないんだから!
 

 
 :プラグから金属端子だけ抜けちゃったカルダスのゼンハイザー用ケーブル
 :工事前のノーマルPortaProと移植予定のケーブル

 
 ……用意した道具は、テスター、ニッパー、定規、ピンセット、クラフト用ナイフ(カッターナイフ)、ハンダごて、ハンダ、ハンダ吸い取り線です。私は省略しましたがプラスチック用の接着剤を用意するとなお良いですね。

 まず、PortaProのドライバー部分を本体(?)から外し、スポンジも外します。ケーブルがつながっている部分はカバーで覆われており、2カ所のツメではまっています。構造的に上に引き抜けば外せますが、接着剤で固定されています。私はさっそく右ユニット側で片方のツメを折りました(笑)。接着面をカッターで裂きながら外すと良いと思われます。また、私は左右を間違えないようにドライバーユニットには油性ペンで「L」「R」と書きましたが、良く考えたら別に油性ペンじゃなくてもテープとかで印をつければいいと思いました……。

 カバーを外すと内部では2本の線がそれぞれハンダで取り付けられています。赤い色を付けられた方が信号の流れる線、もう片方はグランドです。念のためテスターの導通チェックモードで赤印側が信号線かどうかを確認します。ケーブルの先にあるステレオプラグは、先端から左チャンネル、右チャンネル、グランドの順番です。グランドは最終的に1つになるため、ステレオプラグ側では根元側の1カ所だけです。

 続けて、カルダスケーブル側も、テスターで何色の線が信号線かを確認します。左チャンネルのケーブルは赤と黒でそのまま赤が信号線でしたが、右チャンネルのケーブルは白と緑で、白が信号線でした。

 さて、ドライバー部分につながっているノーマルのケーブル(のハンダ)を外しますが、その後に残るハンダも吸い取り線で除去しました。この作業が必要かどうかよくわかりませんが、追加でハンダを盛ると違う種類のハンダが混じって、それってどうなのかなぁ、と思ったり。まぁこのあたりは精神衛生上の問題に近いですが。で、後はカルダスのケーブルを取り付けます。線が何気に太いので取り回しは少々苦労しますが、なんとか収まる感じでした。ユニット側を溶かしてしまったりとか見た目はそのまんま素人のハンダ作業ですが、とりあえず問題なく音が鳴ったので、ケーブルを折りたたみつつカバーを取り付け(何気に難しい)、スポンジを戻し、完成です。ハンダ部分のカバーはドライバーのボディに密接しているパーツなので、再生中はそれなりに振動に晒されます。また、ケーブルの取り回しによる負荷もかかります。カバーは接着剤などで確実に固定するのがいいと思います。
 

 
 :ノーマルのPortaProのドライバー部分からカバーを外したところ
 :カルダスのケーブルを付けたところ。赤印が信号線側

 
 できあがったブツですが、職場では「LANケーブル」と揶揄されてきたカルダスの水色のケーブルがPortaProの水色とビミョーにシンクロしてますな(笑)。自作っぽいY分岐の真っ赤なケーブルもPortaProのクラシックな外観にはそれなりになじんでいるように見えます。ただし、Y分岐部分はストックのケーブルより、あるいはゼンハイザーのヘッドホンで使った時より短くなっているので、ヘッドホンを装着する際などにY字の又の部分がアゴに当たったりします。私は折りたたまないのであまり関係ありませんが、折りたたみ機構については、カルダスのケーブルはノーマルのケーブルほど柔軟性が無いので実質的に機能しなくなったと思います。あと、ノーマルよりケーブル自体が重くなっているので、ドライバー部分は従来よりも下方向に引っ張られ、結果的に耳に押し当てられるような形になります。それ自体はネガティブなことではありませんが、ドライバー部分と耳との距離を開ける「LIGHT」ポジションでは、ノーマルケーブルの時のにように浮いた感じにはならなくなります。

 音質ですが、ハンダ作業部分は音質的に貢献できないとしても、そもそもの線材が持つポテンシャル分は向上したようで一安心です。鳴らし始めはちょっと高音域に曇りがありましたが、徐々にクリアに、落ち着いていきました。PortaProのキャラクターであるパワフルな低音域はより緻密になり、中~高音域は艶や厚みが増し、全体的に解像度が向上したようです。高音域は常識的というか、華はありませんが、中音域から綺麗につながっていると思います。音場の広さや空間表現はさほどではありませんが、これは元のキャラクター通りといったところでしょうか。素直なグレードアップといった塩梅で、端子を壊してしまったケーブルの再利用の結果としては大満足です。メジャーな製品であるPortaProが自分だけのヘッドホンに生まれ変わったのはちょっと嬉しいですね。